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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL08110101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇シンガポールの看護師不足

日本で看護師不足が問題となって久しい。医療の高度化や老齢者の増加など以前にも増してマンパワーが必要になってきているからである。そのため、看護師の絶対数は増加してきているものの必要数に追いつかない。実際、就業している看護師数、準看護師数は合わせて1982年には約54万人だったが、2001年には約107万人、2006年には約119万人となっている。人口に対する割合はそれぞれ222:1、117:1、108:1である。また、実際には就労していない者も多く、2002年の厚生労働省の推計によれば、潜在看護師(資格はあるが就労していない者)は約55万人いるとされていて、これは有資格者の1/3にものぼる。

シンガポールでは、サービス業、特に医療はこの国が提供できる重要な産業と目されている。医療ハブをめざしているからである。海外から積極的に患者さんを受け入れようと考えている。そのためには必要とされる看護師の数も当然多くなる。こうした状況は国内需要一辺倒の日本とは根本的に違うが、シンガポールの看護師不足も深刻なようである。

老年人口の割合などに大きな違いがあるため単純な比較はできないが、2001年の看護師の人口に対する割合は306:1と日本の約1/3でしかなかった。シンガポール政府はその後改善に努め、2007年には249:1となった。2015年までには220:1にするとしている。看護師の養成可能数も2001年の年間728人から現在では1875人と約2.6倍になっている。

しかし、看護師を目指して入学したものの途中で方向を転換する者も多いとのことである。具体的な数字は挙げることはできないが、この割合は日本よりも高いようである。また、折角、看護師になっても、離職率が高い。結果、シンガポールでも潜在看護師の割合が多く、有資格者約22000人のうち18%にあたる約4000人が看護師としては働いていない。3交代勤務など労働条件が厳しいことや、看護師に対する社会的評価が十分になされていないことも原因であると考えられている。このため、看護業務に対するイメージや価値の認識を高める努力をするように国が指針を出したり、毎年8月1日を看護師の日と決め、大統領自らがリセプションを主催したり、病院経営者に看護師に何らかの謝意を表わすように促すなどの対策が取られている。

シンガポールは看護師不足の当面の解決策として外国籍の看護師を多く受け入れている。現在、すでに看護師の約15%が外国籍の者で占められている。
日本でもEconomic Partnership Agreementの一環として外国人看護師、介護福祉士を受け入れることを決定し2006年9月にフィリピンと協定を結んだが、実現されていない。同年11月に協定が結ばれたインドネシアから今年、第一陣の看護師、介護福祉士合わせて230人余りが来日し研修が始まったが、看護師不足を補うには到底足りそうにない。日本の言語的特殊性、文化の違いが障壁となっていると推察される。

シンガポールは英語圏である上、多言語(公用語は4つ、英語、中国語、マレー語、タミール語)、多文化(中国系75%、マレー系14%、インド系8%)国家であり、外国人も多い(居住人口480万人のうち、外国人が既に100万人を超えている)。こうした背景から、外国人の看護師を受け入れやすく、また、活躍の場も広くなっていると考えられる。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
小栗 千枝

◇水毒の話

今回は水毒についての話です。
水の毒、って何でしょう?
毎日ビールを飲んでいるお父さん、花粉症や喘息などのアレルギー疾患で悩まされている方、必読です!


水毒とは?
水毒は、東洋医学の言葉です。東洋医学では体の生理現象を気(き)、血(けつ)、水(すい)に分け、これらがバランス良く体の中を循環していることを健康の基本と考えています。
気とは、簡単に言うとエネルギーです。
血は栄養成分です。東洋医学では食べた物が形を変えて血になり、体中を巡りエネルギーを各器官の細胞に運びます。
水とは、体の中にある液体です。人間の体は約60%が水で、体の中で大きな部分を占めています。体に余分な水がたまっている状態が水毒です。


水毒の症状
1)体が重い、だるい 2)むくみ 3)頭重感 4)鼻水、鼻づまり、喀痰 5)めまい、乗り物酔い、耳鳴り 6)アレルギー鼻炎、アトピー性皮膚炎の浸出液、喘息、蕁麻疹 7)手のこわばり、リウマチ 8)悪心、嘔吐 9)冷え性 10)風邪を引きやすい

東洋医学的にみると、頭痛、吐き気、体が重いなど二日酔いの症状は水毒ということが分かります。また、鼻炎や喘息などのアレルギー疾患も、部分的に水が溢れている状態です。(アトピー性皮膚炎については、遺伝的な素質、環境や食物に対するアレルギー、心因性など、水毒の他にもいろいろな要因が関係しています)


自分でできる簡単な診断方法
一つは胃部振水音(いぶしんすいおん)です。
仰向けに横になり、リラックスしてください。みぞおちから臍のあたりを軽く叩いてポチャポチャという音がしたら、あなたには水毒があります。(食直後は音がして当たり前ですので、空腹時に試してみてください)
もう一つは舌の歯痕(しこん)と白くて厚い舌苔です。
鏡をみながら、舌を前に出してみてください。舌の両側が歯の痕で凹んでいたり、白くべったりした舌苔がついている方は水毒です。(これはお子さんには少なく、成人の方の診察法です)

もともと胃腸の機能が弱い方は水毒になりやすい、ということも言えます。


以下の方法もあります。

[水毒の診断基準]


合計して13点以上あれば水毒です。
※1 臍上悸(せいじょうき):臍部を軽く押して触知する腹部大動脈の拍動亢進


水毒になりやすい生活
・湿度の高い気候(雨季・梅雨)
・冷房
・運動不足
・浴槽に入らず、シャワーだけで済ます
  → 汗が出ないので、余分な水分が体の中にたまりやすい

・冷たい飲み物(アルコール、炭酸飲料、牛乳など)、夏野菜、南国の果物の摂りすぎ
・塩分・砂糖・油の摂りすぎ → 喉が渇くので水が欲しくなる

時々は運動をしたり、ゆっくり半身浴などをして汗をしっかり出すのもいいし、お子さんの場合は、甘いジュースや炭酸飲料、スナック(油や砂糖が多い)をやめることも必要です。


漢方薬
体の余分な水を出す代表的な漢方薬は、「五苓散(ごれいさん)」です。(大きな声では言えませんが、お酒を飲む前に「五苓散」を飲んでおくと、二日酔いの防止になります) めまいや耳鳴りが主な症状の方には「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) 」、頭痛が主な方には「半夏百朮天麻湯(はんげひゃくじゅつてんまとう)」などを使います。
また、胃腸の機能を高める薬で水毒が改善することもあります。

日本人会診療所にも幾つか置いてありますので、ご相談ください。


水毒と脳卒中
以前、沖縄に住んでいた頃、神経内科医として大勢の脳卒中の患者さんを見ていました。その頃、東洋医学に興味を持ち、セミナーなどに参加するようになったのですが、その中で、"脳卒中は東洋医学から見るとお血(※2)と水毒である"という言葉があり・・・ そういう眼で自分の患者さんを見てみると、その通りほとんどの方が水毒で、びっくりしたのを憶えています。 

沖縄の方は、日常的に飲酒をされる方が多く(泡盛は安く買えるし、皆で集まると酒を飲む、電車もないので当然終電も気にならず深夜まで)、夏は過剰な冷房で、冬も暖房は使わず(エアコンも最初から冷房しかない)、風呂には入らずシャワーだけ(ほとんどの賃貸アパートには浴槽がない)、短い距離でも車に乗ってしまう。
こんな生活をしているので、(本来なら暑い気候のはずなのに)身体が冷えている人がとても多いのです。(このあたりマニラ在住の邦人の方々にも当てはまりませんか?) 
また、見た目にも、遺伝子なのか後天的なものなのか、西洋型の中心性肥満(水太り?)の方が多かったような気がします。

※2 お血(おけつ・「お」は漢字でやまいだれに於):血流の停滞を意味し、様々な病気の原因になると考えられている


未病を治す
東洋医学には"未病"という言葉があります。未病というのはまだ発病していない前段階で、健康そうに見えても病気の原因が隠れているような状態です。検査をしても異常が出ないので、気のせいで片付けられたりします。発病する前の段階で偏りを戻してあげることで、発病を防ぐことができます。

自分の体の中のバランス、時々少しだけ気にしてあげてください。お子さんの場合は、お父さんお母さんが見てあげてください。
他人である医者が見るよりも、ずっと確かだからです。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇インドネシアのトリインフルエンザとパンデミックについて

10月29日に東京で、海外邦人医療基金が主催する海外医療情報交換会が開かれました。これは、毎年、大連、マニラ、シンガポール、ジャカルタに派遣されている医師が集まり、テーマに沿った報告を行うというものです。特別講師の講演もあり、参加者は海外に進出している企業の担当者が中心です。今年は「新型インフルエンザ」がテーマに選ばれ、200人以上の参加者がありました。私もインドネシアのトリインフルエンザの現状をふまえた発表を行ってきましたので、今回はインフルエンザについて、今いえることをまとめてみます。

インフルエンザウィルスとパンデミック
インフルエンザは、インフルエンザウィルスによって起こる感染症で、このウィルスはA、B、Cの3つの型がありますが、AとBが感染症の原因として重要です。
A型とB型のウイルス粒子表面にあるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白は変異が大きく、インフルエンザの種類が多い要因となっています。なかでもA型インフルエンザウイルスにはHAとNAの種類が多く、これまでHAに16種類、NAに9種類の大きな変異が見つかっていますが、このうちヒトのインフルエンザの原因になることが明らかになっているのは、今のところH1N1、H1N2、H2N2、H3N2の4種類です。
また同じH1N1であっても、さらに細かな変異によって、年によって流行するウイルスの型は異なります。 時々遺伝子が大きく変わるので、パンデミック(大流行)を起こすことがあります。

パンデミックを起こすウィルスとしては、現在までのヒト型インフルエンザのほかに、例えばトリ型がヒトへ感染しやすくなることで出現することが考えられています。2005年からのH5N1トリインフルエンザのヒトへの感染例の増加により、H5N1が次のパンデミックインフルエンザウィルスとなることの可能性が大きいと考えられてきました。それでも最近の感染の減少傾向を受け、H5N1以外のウィルスの可能性もいわれてきています。H9、H7ウィルスも最近、ヒトへの感染例が増加してきていますし、従来からのH1(ソ連型)、H3(香港型)ウィルスのさらなる変異によるパンデミックの可能性も指摘されています。

インドネシアの現状
インドネシアは、H5N1トリインフルエンザのヒトへの感染が世界で最も多い国です。2008年8月現在で、感染者数137人、うち死亡者数112人を数えています。発生地域では、ジャカルタ特別州、バンテン州、西ジャワ州の3つの州が大多数を占めています。これは、患者の発生を把握する能力の地域差があらわれているといわれています。そのため、最近日本の感染症の専門医がスラウェシに派遣されてきました。

インドネシア政府は2005年にトリインフルエンザの対策を発表しました。これは、2006年~2008年の3年計画で2008年末までに新しいガイドラインを策定することになっているようです。トリインフルエンザの人への感染の対策としては、タミフルの管理、指定病院の強化、感染の制圧、情報伝達の強化などが挙げられています。

タミフルは現在における最も有望なインフルエンザの薬ですが、インドネシアでは国家管理薬となっていて、指定病院と保健所以外の一般の医療機関、薬局では処方、購入することはできません。JJC医療相談室のあるメディカロカでも、仮にインフルエンザと診断したとしてもタミフルを処方することはできません。政府の方針としては、トリインフルエンザにかかった患者への治療のために使用できるように、買い占めを防ぐ目的があるようです。

指定病院は現在のところ、インドネシア全土で100カ所が指定されていますが、各病院の能力には差があるようで、実際には指定病院として機能していない病院もあるようです。ジャカルタには4カ所の病院が指定されていますが、実際に患者を収容しているのは、スリアンティ・サロソ病院、プルサハバタン病院の2つの病院が主です。この指定病院については、現在のところトリインフルエンザのヒトへの感染に対してであって、新型インフルエンザのパンデミックとなった場合、どのような医療機関が対応していくのかは全く決まっていません。パンデミックとなった場合には、大変な数の患者が発生するわけで、今の指定病院だけで収容しきれないのは自明のことです。どの病院が受け入れるのかは、全く決まっていません。ただし、パンデミック時のインフルエンザ患者の対応病院については、日本でも決まっているわけではなく、また、これを今の時点で決めておくのは困難なことなのかもしれません。

この文章を書いている最中に、スマランで死亡した15歳の少女がH5N1感染であったことが報道されました。この3ヶ月ほど新たな患者の発生がなかったため、トリインフルエンザも落ち着いてきているかの雰囲気がありましたが、やはりそう簡単にはいかないようです。また、8月の北スマトラでの集団感染疑い(H5N1ではなかった)の件もありましたが、さらに11月にはスラウェシでの集団感染疑いも出ています。(今の時点では結論が出ていません)
世界中から、「インドネシアのH5N1インフルエンザからは目がはなせない」と思われていることでしょう。

パンデミックの予測
最初の段にも述べましたように、次のパンデミックを起こすウィルスは、H5N1が有力な候補でありますが、どれになるのかわからない、というのが現状です。ですから、パンデミックの患者数、死亡率の予測も「わからない」というのが、本当のところです。しかし、なんらかの指標がないと、対策のたてようもないため、スペイン風邪の数字が引き合いに出され、これをもとに予測の数字が語られます。そのころとは、社会の状況、医療レベル、個人の栄養状態などがちがうわけですから、スペイン風邪の数字がそのまま当てはまるわけではありません。全体としては、感染率、死亡率ともにスペイン風邪よりも低い予測が多いようです。

現代は、大変な数の人の往来があり、それもかなり速く、広い範囲で移動します。インフルエンザが広まるスピードはスペイン風邪のときとは比べ物になりません。しかし、我々には、スペイン風邪当時の人々よりも有利な条件も多くあります。インフルエンザに対する知識はその大きな武器になります。インフルエンザをよく知り、その対策を通常のインフルエンザの流行時にもしっかり行うことが、新型インフルエンザパンデミック時にも有効になるでしょう。それらを実行することによって、感染率、死亡率をずっと下げることが期待されます。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇食に関する報道について


最近、何かと話題になる機会が多い “食に関する報道(食品の安全性、有効性など)”について、述べさせて頂きたいと思います。

まず、“食品の安全性”についてですが、当地中国では、冷凍餃子から、有機リン系殺虫剤である“メタミドホス”・“ジクロルボス”、粉ミルク・牛乳から、プラスチックや食器類などに使用される有機化合物である“メラミン”が検出され、大きな社会問題となっています(メラミンは窒素含有量を増加させ、見かけの蛋白質含有量を増加させる目的で、意図的に混入された疑いももたれています)

一方、日本でも、前述の“メタミドホス”・カビ毒の“アフラトキシン”が、米類から、防虫剤の“パラジクロルベンゼン”が、カップ麺から検出されて問題となっています。

食品の生産・製造から流通に至る過程のうち、どの段階で混入したかについて現在、詳しい調査が行われているようです。

また、“食品の有効性”についてですが、“納豆を朝と晩に1パックずつ食べると痩せる”という内容がテレビ健康情報番組で紹介され、“納豆が品切れ状態”になったが、後日、放送内容の捏造が発覚した事件は記憶に新しいところかと思います。また、“ニガウリ(ゴーヤ)を食べると血糖値が下がる”という情報は、実は、“ニガウリを乾燥させて粉末にしたものを餌に10%添加して5週間食べさせたところ、糖尿病ラットの血糖値が約30%低下した”という研究報告をもとにしたものであったそうです(ラットが1日に摂取したニガウリの量は体重50kgのヒトに換算するとニガウリ約9kgに相当するので実際には摂取不可能)。“ニガウリには血糖値を下げる作用の有る物質が含まれている”とは言えますが、“ニガウリを食べると血糖値が下がる”とは言えません。

それでは、逆に“残留基準値である0.01ppm(100万分の1)の6倍のメタミドホス(1kg中に0.06mgの)が検出されたお米を食べても大丈夫”と言えるのはなぜでしょうか?

メタミドホスの場合、毎日一生食べ続けても健康に悪影響が生じない推定される量〔一日摂取許容量、動物実験の結果をもとに動物とヒトとの差や個人差(子供や妊婦などへ影響を含めて)を考慮して設定〕は0.0006mg/kg体重/日、24時間またはそれより短時間に経口摂取しても健康に悪影響が生じないと推定される量(急性参照用量)が0.003mg/kg体重/日である)とされています (日本の食品安全委員会において評価済み)。それぞれ、体重50kgのヒトが毎日0.5kg(約3.3合に相当、平均的な日本人の消費量185g [標準的な大きさのおにぎり3.7個分]の約3倍)、2.5kg(約17合に相当)を一生涯にわたって食べ続ければ、前述の値に到達します。食欲旺盛な方は不安に感じるかもしれませんが、実際には、事故米だけを主食として一生涯、ずっと食べ続けることは考えにくいため、やはり心配は無いといえます。

一方、メラミンのヒトの健康への影響に関する直接的な研究は有りませんが、動物実験ではメラミンの過剰摂取により、腎結石、ひいては腎不全を生じて死亡する場合が有ることがわかっています。メラミンの場合、一日摂取許容量については0.5mg/kg体重/日(欧州食品安全機構)~0.63mg/kg体重/日(米国食品医薬品庁)とされていますが、メラミンと他の化合物との複合影響による不確実性を考慮した場合、安全域をとって0.063mg/kg体重/日とするのが適正ではないかとも言われています。一方、“ラットに13週間メラミンを摂取させた場合、どれくらい摂取すれば膀胱結石が出来るかどうか”調べた実験によると、無毒性量(毒性が認められない最大量)は63mg/kg体重/日と報告されています。

仮にメラミンの残留基準値である2.5ppmの6倍のメラミン(1kg中に15mg)が検出された牛乳をどれくらい飲めば、前述の基準値に達するか計算すると1.7L~2.1Lとなります(仮に0.063mg/kg体重/日を基準とした場合には約200mlとなりますので、少なくとも毎日コップ1杯程度までは許容範囲となります)。

一方、“無毒性量”を計算すると約2000Lとなり、短時間にこれだけ摂取するのは実際には不可能です。
日本ではミルクキャラメルに基準値以下である0.5ppmのメラミンが混入していただけで“自主回収騒ぎ”となっているようです。

もちろん、今回の粉ミルクや牛乳のように“意図的に混入され、検出濃度が極端に高い食品”は摂取してはいけないと思います。しかし、今後の調査の過程で、粉ミルク・牛乳などの乳製品以外の多くの食品(鶏卵、ケーキ、ピザ、たこ焼き、お菓子類など)にメラミンが混入していることが判明した場合、“検出濃度の多少に関わらず、それらの食品を一切摂らない”という考え方は、将来的に大きな問題が出て来るのではないかと思います(特に乳児・成長期の子ども、妊婦など)。

(まとめ)
食品の有益性あるいは有害性について述べる場合には“量の問題”が抜けたままではいけません。単純に、成分の作用から効果(食品が健康や病気に与える影響)を過大に期待して “特定の食品の良し悪しを評価する”のは好ましくないと考えられます。
このように、ある食品を万能薬のように崇めたり、毒物が含まれているので一切食べない-というような考え方を “フードファディズム”(fadは流行する、狂奔するという意味)と呼びます。この“フードファディズム”は、実は各種メディア(テレビ、雑誌など)に満ちあふれていて、健全な食生活や地道な食育(食生活教育)を妨げる原因になっていると指摘する意見も有るようです。

また、“健康になりたい”、“病気になりたくない”、“病気を治したい”という願望は誰もが持っていると思います。その一方、日々の食事内容を見直し、適切な運動をして、アルコール・タバコを控える等を実践するのはとても難しく努力や我慢を必要とします。
そのため、“これを食べれば大丈夫”あるいは“これを食べなければ大丈夫”という健康情報があるとそれに飛びつき、生活習慣を改善する地道な努力が軽視されがちなのも事実かと思います。

 健康や病気にまったく無頓着であるのは考えものですが、必要以上に“フードファディズム”に走るのも同じくらい問題ではないかと思います。
“食事で守れる健康の限界”も知って頂いた上で、その他の生活習慣(運動、喫煙、飲酒など)の見直しをすること、そして一番大切なことですが検査診断を定期的に受診すること、必要時には医療機関にて適切な薬物治療・外科的治療(手術)を行うことを忘れてはいけません。
(以上)