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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL08050101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇手足口病流行中 日本との違いに注意!

流行状況
手足口病が流行しています。今年第15週(4/6-12)から1週間あたりの患者発生数が1000人を越えています。4月21日は一日で527人の患者発生が報告されました。(この週は合計1466人を数えました)現時点(第19週(5/4-10)終了時点)での年初来の合計患者数は11736人となりました。昨年1年間の合計が約2万人、過去5年間の年間平均患者数は約1万5千人ですから、今年の流行が大きいことがわかります。

2006年、マレーシア、ブルネイで手足口病の感染拡大があり、シンガポールでも大きな流行(1週間で700-800人程度)がありましたが、今年の流行はこれを上回るものです。
このため、多くのプレスクールやナーサリーが休校または自主休校を厚生省から勧められています。(例えば、5月7日に時点では17カ所のプレスクールやナーサリーが10日間の休校となり、48カ所が自主休校をすすめられていました。)

症状、経過
手足口病は手、足、口に水疱性の発疹が出来ることが特徴的であるため、この名前があります。潜伏期は3~7日です。患者さんの唾液、鼻水、便、発疹の中の液体などに含まれているウイルスが、直接、あるいはウイルスに汚染された手やタオル、食器などから間接的に他の人へ、飛沫感染・経口感染・接触感染していきます。

患者さんの多くは良性の経過をたどり、軽い風邪症状や発疹は数日前後で軽快していきますが、まれに重症になることもあります。1997年から1998年にかけて、マレーシアで30例以上、台湾で70例以上、日本でも3例の死亡例が見られました。2000年から2001年にかけてはシンガポールでも7名の死亡例が記録されています。現時点で今年は、中国で既に2万人以上が発症したとされ、28例の死亡例が報告されています。死亡例の原因は、ウイルスによる脳炎などが考えられています。シンガポールでは死亡例は現時点ではありませんが、入院を要した例(1.4%)が見られています。

原因ウイルスには、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス71(EV71)など複数あるため、一度かかったことがあっても、また、かかる可能性があります。原因ウイルスの中でEV71という型が毒性が強いとされています。今年の場合、シンガポールでは約1/4の患者さんでEV71が原因ウイルスとなっています。

日本とシンガポールの登園登校基準の違い
症状が消えて本人が元気になっても、便の中へはウイルスが3~4週間の間は、排出されます。そのため、急性期の数日のみ登校登園停止を行っても、学校・幼稚園などでの流行阻止の効果はあまり期待ができないと一般的には考えられています。日本の国立感染症研究所も、手足口病の大部分は軽症疾患であり、発疹の症状しかない子供が長期の欠席をする必要はないとしています。

一方、前述のように、シンガポールやマレーシアでは、日本に比べて手足口病の死亡例が多く、シンガポール政府はかなりきびしくその動向を監視しています。日本と違って、シンガポール厚生省では、すべての水疱が乾き、発疹に赤みがなくなるまでは学校を休むようにという指針を出しています。通常3~7日前後かかります。2000年の手足口病流行時には、政府は強制的にシンガポール国内の全プレスクール、ナーサリーを閉鎖することにより、患者数を劇的に減少させることができました。

シンガポールのプレスクール、ナーサリーなどでは、手足口病の流行時に、園児の発疹チェックや体温チェックをまめに行っており、症状が軽快して再登園するときには医師の診断書が必要な園もあります。政府も、再登園してもよいかどうか医師の確認を得ることを勧めています。
また、親側の意識も高く、わが子のクラスに手足口病の子供が1人出た場合、自分の子供を安全のためしばらく幼稚園を休ませるという御家庭も少なくないようです。このようなシンガポールで、発疹のまだある子供を日本流に登園、登校させるというのは、避けるべきと考えます。

予防と治療
予防に関して、ワクチンはありません。うがい、手洗い、特に患者さんの排便後の手洗いを徹底させる、おむつの取り扱いに注意するなどが大事です。また、咳やくしゃみの時はティシュなどで鼻や口をおさえること、食器を共有しない、換気をよくする、人ごみを避けるなども大切です。治療に関しても特効薬はなく、発熱や脱水などに対する対症療法となります。

受診
発症が疑われたら、まずは早めに医療施設に行きましょう。高熱が2日以上続いて、頭痛、嘔吐、元気がないなどの症状を伴う場合は脳炎などの症状も疑われますので、早めに再診してください。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
小栗 千枝

◇ヒトパピローマウイルスと子宮頸癌

皆さんは、ヒトパピローマウイルスって聞いたことがありますか?ヒトパピローマウイルスの中のあるタイプが子宮頸癌の原因になっているということは?
日本では、昨年、ZARDの坂井泉水さんが子宮頸癌で入院中に不慮の事故で亡くなったのは、ご存知の方もあるかもしれません。

現在、アメリカをはじめとする多くの国(フィリピンも含む)で、ヒトパピローマウイルスのワクチンが承認され、感染の予防に効果があったとする報告が多く出てきています。(日本では申請中)

こちらフィリピンで産婦人科外来でお母さん向けに配布されているヒトパピローマウイルスについてのリーフレットがあります。少し長くなりますが、簡単に紹介しましょう。(以下、著者訳)

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~子宮頸癌からあなたを守るために~

子宮頸癌って何?
子宮頸癌は、子宮体部と産道をつなぐ子宮頸部にできる癌です。癌は、子宮口の内側に並んでいる細胞から起こり、正常の細胞が徐々に前癌状態へ、そして癌になっていきます。癌が最初にできたところ、そして身体の他の場所に転移したところに腫瘍(かたまり)ができ、そこで癌は成長し正常の細胞と置き換わっていきます。

子宮頸癌はフィリピンではどのくらいの頻度でありますか?
2005年には、7,277人が新たに子宮頸癌と診断され、3,807人が子宮頸癌で亡くなっています。子宮頸癌によって一日に約10人のフィリピン女性が亡くなっている、という計算になります。2004年には、子宮頸癌は女性の癌による死亡の第二位となっています。

なぜ子宮頸癌になるのですか?
女性が子宮頸癌にかかる確率を増やすものとして、いくつかのリスクファクターが確立されています。このうち一番重要なものは、ヒトパピローマウイルス(以下HPV)の感染です。100型以上のHPVがあり、いくつかは癌ではないイボ(尖圭コンジローマなど)の原因となるものです。"ハイリスク"の型のものは子宮頸癌を発症し、これらには16,18,31,33,45型が含まれます。全ての子宮頸癌のうち3分の2は、16型か18型によって発症しています。

22カ国での子宮頸癌についての統計(1989-1992)では、南アジア(フィリピン、インドネシア、インド、タイ)における子宮頸癌のうち96%は、この16型か18型による感染が原因でした。

子宮頸癌になるとどんな症状がありますか?
前癌状態や初期癌では通常、症状は全くありません。症状は、癌が進行して正常組織と置き換わったときにしか現れません。その時点での最も多い症状は不正性器出血です。

次のような症状もあります。
・通常の月経周期(排卵日前後に起こる軽度の出血も含めて)とは明らかに違う膣からの異常な分泌物
・通常の月経より多い、また長く続く出血
・性行為、膣洗浄、内診の後に起こる出血
・性行為のときの痛み

どうしたら子宮頸癌になるのを防ぐことができますか?
子宮頸癌のほとんどは前癌状態から始まります。そのため進行を止めるためには二つの方法があります。
一つ目は前癌状態の予防、二つ目は前癌状態の早期発見です。

前癌状態の予防
ほとんどの子宮頸部の前癌状態はHPVの感染を避けることで予防できます。
なるべく若いうちは性行為をしないこと、セックスパートナーの数を制限すること、大勢のセックスパートナーがいた人との性行為を避けることが大事です。
HPVのワクチンは進歩してきており、PAPスメア(子宮癌検診)での異常を減らすことが確認されてきています。

前癌状態の早期発見
前癌状態を発見するために、PAPスメアは癌に成り得る子宮頸部の異常細胞を発見する簡単な検査です。
過去30年間に、PAPスメアを癌検診に用いたことで、子宮頸癌による死亡は50%も減少しました。
アメリカ癌協会は、性活動を開始した女性、また20歳以上の女性は連続した2年間、年一回のPAPスメアを勧めています。もしその2回とも陰性なら、その後は3年毎でいいとされています。
平均的なリスクのフィリピン女性の場合、30歳以降、最初に陰性になってからは年一回のPAPスメアをお勧めします。
ハイリスクの女性の場合は更に頻回の検査が必要かもしれません。

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以下に少し補足します。

現時点で、99%以上の子宮頸癌がHPV(の中のある型)の長期間の感染により発症することが多いという事実が最近の研究で明らかになっています。つまり、子宮頸癌の原因はHPVである、といってもいいということです。 

HPVに感染しても多くの場合は、免疫力によってHPVが体内から排除されます。HPV感染の大半(約90%)は2年以内に自然消失しますが、残りの約10%の人では感染が長期化し、その一部で子宮頸部の細胞に異常(前癌状態)を生じ、さらに平均で10年以上の歳月の後、ごく一部(感染者の1%以下)が前癌状態から子宮頸癌に進行します。

そのため、1回の検査でHPVが陽性に出たからと言って決して悲観せず、6か月~1年毎の検査を繰り返し、陰性になるのを確認することが大事です。もし長期間陽性でも、定期検査を繰り返すことで前癌状態の時点で発見、治療することができます。

HPVは性交渉により感染するウイルスであり、性交経験のある女性の50~80%が生涯に一度は感染することがあると言われています。その中のごく一部の人が子宮頸癌になるということです。これはコンドームを使用することで予防し得ます

また、HPVは男性に癌を起こすことはありません。

現在、HPV6,11,16,18型に対する4価のワクチン(商品名:Gardasil)と、16,18型に対する2価のワクチン(商品名:Cervarix)が2006年にアメリカをはじめ諸外国で承認されています。感染の予防が目的であって、治療や再発予防を目的にするものではないため(効果は期待されていて現在治験中です)、初感染の前に接種する必要があります。Gardasilに関しては、9歳から27歳の女性が適応で、3回の接種(0、2カ月後、6カ月後)が必要です。

ワクチンの接種をしたからといって、定期的な子宮癌検診をしなくていい、という訳ではありません。

日本では未承認であり、治験段階ですが、個人輸入を取り扱っている医療機関で申し込むことにより合法的に接種可能です。

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皆さんいかがでしょうか?

現在、日本では、20歳以上の女性は、市町村で無料でPAPスメアを受けられることになっています。しかし、実際に検診を受けているのは20~30%しかいないそうです。

日本人会診療所でも、PAPスメアや、ワクチン(Gardasil)の接種が可能です。
PAPスメアについては、費用は、初診料+464ペソ(約1200円)、HPV-DNA(型を調べる)までセットにした場合、約6,000(約15000円)ペソかかります。結果が出るまでに一週間かかります。昨年一年間で、当診療所では、約90人の女性がこの検査を受けています。症状(不正出血など)がある場合は、保険でカバーできます。
ワクチンについては、感染予防が目的であるため保険はききません。1回の接種で費用は7,838(約20000円)ペソとやや高額です。3回の接種が必要です。

もちろん、ウイルスを排除するための十分な免疫力を持っていることも必要です。規則正しい生活と正しい食事、定期的な運動、ストレスをためないこと。それ以外にもたくさんありますが、そのことについては、またいつか書くことにします。

自分の身体は自分で守り、これからも健康でいきましょう!



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇頭痛について


頭痛は、比較的ありふれた症状です。 頭痛で悩んでいる人は大勢います。 日本人の約3000万人が慢性頭痛で苦しんでいるといわれています。 そのほとんどは、脳に病気がある訳ではなく、筋肉や血管などが痛むものです。しかし、頭痛が脳腫瘍や脳血管障害(脳卒中)の危険信号であることもあります。からだの他の部位の病気が、頭痛と関連していることもあります。また、慢性的に続く頭痛もたいへんつらいものです。仕事や家事、勉強などにも支障をきたすことになりかねません。危険な頭痛を察知すること、また慢性的な頭痛には適切な対処を行うことが大切です。

症候性頭痛
何らかの基礎疾患があって起こる頭痛です。その代表的なものを解説します。

くも膜下出血
「激しい頭痛」が「突然」出現することが特徴です。突然というのは、「急に」というよりも厳密な表現で、頭痛のピークが瞬時に訪れることを表しています。これは、「ちょっと前まで何ともなかったのに、バットで殴られたように痛くなった」などと表現されます。「何か頭が痛くなってきたと思ったら、5分ぐらいで激しく痛くなってきた」というものとは、違います。くも膜下出血を起こしたときに、意識を失ったりけいれんを起こすことがありますので、このようなことが起こった後、目が覚めたときに激しい頭痛が残っていたら、くも膜下出血の疑いがあります。
この場合は、すぐにCTの検査ができる病院に行き、診断を受けましょう。くも膜下出血の診断がつけば、脳神経外科のある病院に入院して治療を行います。

脳内出血
くも膜下出血のように突然ではないが、急に起こった頭痛です。この頭痛は、脳の中に出血した血液がたまってくると、頭蓋骨の中の圧力が高まって、頭痛が起こります。頭痛に伴って、何らかの神経症状があらわれます。顔面や手足の麻痺、しびれ、呂律が回らない、言葉がわからない、しゃべれないなどの症状です。脳の中の神経回路の障害が症状となってあらわれるため、出血の場所によって症状が変わります。小脳に出血が起こると、頭痛とともに回転するようなめまい、吐き気が起こります。
この場合もCTで診断し、脳神経外科に入院して治療を行います。

髄膜炎
細菌やウィルスなどの病原体が、脳脊髄液腔(脳や脊髄の周りの液体のたまった空間)に入り込み、炎症を起こします。発熱を伴った頭痛が起こりますが、頭痛の強くなり方は、上の二つの場合よりも緩やかです。首の後ろの部分が固くなり、首を前に曲げにくくなる症状が出ます。炎症が脳におよんでくると、意識障害やけいれんなどの症状が出ます。
CTやMRIでは診断がつかない場合が多く、脳脊髄液の検査を行って診断します。神経内科に入院して治療します。

脳腫瘍
脳腫瘍による頭痛は、腫瘍が大きくなるのつれて圧力が高まってくるために起こるもので、徐々に強くなってくるものです。ヒトは寝ている間に二酸化炭素がたまる傾向があり、二酸化炭素がたまると脳の圧力が上がることから、 慢性的に頭蓋内の圧力が高まっている状態では、朝目が覚めたときに圧力が高まっており、頭痛も一番強くなります。また、吐き気を伴い、吐くと一旦頭蓋内の圧力が下がるため、頭痛が良くなるという特徴があります。脳腫瘍にできる場所によって、神経症状にも差があります。
CTやMRIで診断しますが、MRIのほうが精度が高く、精密な検査が可能です。脳神経外科での治療が必要です。

緑内障
緑内障とは、眼圧(目の中の圧)が高まっている状態で、眼圧が高くなると視神経が障害され、視野が失われていく状態です。緑内障になる原因は、先天的なもの(生まれつき)、目の炎症など怪我に起因するもの、糖尿病やステロイドの長期使用によるもの、原因不明のものなど様々です。
一般的に緑内障は症状がないことが多いのですが、頭痛として訴えてくることもあります。主に目のあたりに頭痛が起こり、我慢できないほどの痛みであることが多いようです。また、下を向いたときに頭痛が悪化するという特徴もあります。 嘔吐、視覚障害、結膜充血などもみられます。
緑内障で視神経が障害を受けると、もとには戻らないため、早めに眼科での精密検査、治療が必要です。

副鼻腔炎
いわゆる「蓄膿症」です。頭の内部には、鼻や目を取り巻くようにして大小いくつかの骨の空洞があり、これを副鼻腔と呼んでいます。副鼻腔の粘膜に炎症が起こると、そこで大量の粘液が作り出され、そこに溜まります。急性副鼻腔炎の症状は、風邪に引き続いて起こり、発熱や頭痛、倦怠感、鼻づまり、黄色い鼻汁が多量に出るなど多彩です。 頭痛の部位としては前頭部や顔面、目の奥などに多く起こります。 目覚めたときに頭痛がし、体を前に傾けると強くなります。飛行機の着陸時に決まって猛烈な頭痛が起こることもあります。
症状によって診断が可能ですが、X線検査、CT、MRI検査でわかります。治療の基本は、抗生物質など薬物治療ですので、一般のクリニック(内科など)でも可能です。ただし、症状が強い場合や薬物治療で全く改善のない場合は、副鼻腔に針を刺して膿を吸い出したり、中を洗いながしたりしますので、耳鼻科専門医の治療が必要です。


生活習慣と薬でつきあっていく慢性的な頭痛
原因はありますが、「頭痛」そのものが病気であるものです。

緊張型頭痛
いつも続く頭痛の代表例は緊張型頭痛です。頭痛の原因の7~8割を占め、日本では成人の22%、2200万人が悩んでいる頭痛です。中高年に多い頭痛で、女性にも男性にもみられる頭痛です。頭痛の起こる割合は、月に数回程度から毎日とさまざまです。頭痛の起こり方は、いつとはなしに始まり、だらだらと持続します。症状は、“頭が重い”、“鉄兜を被ったような”、“頭を締め付けられるような“と表現されます。肩から首にかけての凝りを感じるタイプのものと、そうでないものとに分かれます。凝りを感じる人では、朝よりも仕事の終わる夕方に頭痛がひどくなることもあり、体操などが効果的です。精神的なストレスと、身体的なストレスの両方で起こります。ストレスにより、頭蓋をとりまく筋肉が持続的に収縮します。筋肉はハチマキのように頭をぐるりととりかこんでいるため、ハチマキで締められたような頭痛が起こるのです。筋が緊張しすぎると、筋肉の血の流れが悪くなり、老廃物がたまります。老廃物がたまると、コリの状態となり、痛みがおこるようになります。頭が痛いとますます筋肉の血の流れが悪くなり、頭痛があること自体が さらにストレスの原因となります。こうなると いつまでも 頭痛が続く「悪循環」ができ上がります。こうして緊張型頭痛の悪循環ができると、頭痛はいつまでも続きます。筋肉や精神の緊張を うまく解消できない人に起こりやすいのです。
緊張型頭痛を改善させるためには、生活の中で心がけることがたくさんあります。まず、ストレスを解消させることです。ストレス解消方法は、ひとそれぞれ、さまざまなものがありますので、合ったものを取り入れましょう。次に、肩、頚部の筋肉の負担を軽くすることを心がけましょう。前かがみのうつむき姿勢は、頚部の筋肉に負担をかけ、頭痛の原因となります。デスクワークで姿勢の悪い人は頭痛が起こりやすいので、姿勢に気を付けましょう。とくに一定の姿勢、うつむき姿勢を長時間取らないような工夫が大切です。筋肉のマッサージ、指圧や入浴により、筋肉を温め、血流を良くすることによって、頭痛がやわらぎます。適度なアルコールは、血流改善からも効果があるのです。


片頭痛
成人の1割弱(8%)が片頭痛といわれ、女性に多いという特徴がありますが、もちろん男性にも起こります。女性の片頭痛は生理や排卵と関連して現れることが多いようです。そのかわり妊娠中は片頭痛がめっきりと減ります。月に1~2回、少なくて年数回、多いときで週に1回程度、繰り返し繰り返し起こり、発作的に起こります。
頭痛は、頭の片側のこめかみから眼のあたりに起こりますが、ひどくなると 頭全体が痛みます。片頭痛という病名にもかかわらず、4割のかたは頭の両側が痛みますし、後頭部が痛む片頭痛もあります。痛み方は、脈打つように「ズキンズキン」あるいは「ガンガン」、「ドクンドクン」と痛みます。痛みがひどくなると拍動感がなくなり、持続的な痛みとなります。頭痛の程度は「日常生活がとても続けられない」ほどの強さです。仕事や家事が手につかず、できれば横になりたいと感じ、ひどいと寝込んでしまいます。「階段の昇降など日常的な動作により頭痛が増悪する」というのも片頭痛の重要な特徴です。マッサージや入浴、運動は片頭痛を悪くさせます。
片頭痛が起こる原因は、いまだ確定している訳ではありませんが、現在は三叉神経血管説が有力です。三叉神経血管説によると、血管周囲の三叉神経終末から血管作動性ペプチドが放出されることにより、血管の拡張と無菌性の炎症が起こることが頭痛の原因とされています。
片頭痛は、ストレス、ホルモン、食物などが引き金になっています。ストレスがかかっている最中は血管が緊張しているためか、頭痛が起りませんが、ストレスから開放されたときに血管も緩み、片頭痛が起こります。楽しい週末になると片頭痛が起り、寝込んでしまう方がいます。これを「週末頭痛」といいます。不眠も寝すぎも片頭痛のもとです。「週末頭痛」は寝すぎもその原因のひとつです。飲食物ではチョコレート、ワイン(とくに赤)、チーズ(熟成)、柑橘類、ナッツなどが関係するといわれています。カフェインの摂り過ぎは頭痛のほかに「めまい」の原因にもなります。 空腹(低血糖)も片頭痛の原因のひとつです。
人ごみや騒音、まぶしい光など物理的刺激や悪い環境も片頭痛を誘発します。これらの誘因に注意した生活を送ることが、片頭痛の予防になります。
血管の拡張と炎症を抑えることができれば、片頭痛に対処することができます。そのための薬が、トリプタンという薬です。この薬は、片頭痛に非常によく効きます。多くの患者さんが、この薬で片頭痛の苦しみから解放されています。


群発頭痛
1万人に1人といわれていて、20~30歳代の男性に多いタイプの頭痛です。片頭痛と同じように、「血管が拡張して痛む頭痛」と考えられています。頭痛が、いったん起こり始めると1~2ヵ月間の間、連日のように群発するのが特徴で、群発期は年に1~2回、あるいは2~3年に1回にあらわれます。その期間が過ぎれば、頭痛は起こりません。頭痛の頻度は、1日1回~1日8回の幅で起こります。1回の頭痛は1時間程度で自然に治ることが多いのですが、片方の眼、眼の上、こめかみのあたりの「えぐられるような」激しい頭痛で、頭をかかえてころげまわるほどの強さです。
痛みのために、患者さんはじっとしていられないのですが、この点は身動きがとれなくなる片頭痛との違いです。睡眠中に起こりやすい頭痛で、明け方の痛みで目をさますことが少なくありません。発作中、頭痛の側の眼が充血したり、涙が出たり、鼻が詰まったり、鼻汁が出たり、顔に汗をかいたり、まぶたがさがったり、脹れたりすることがあります。
この頭痛の発作が起こっている期間は、飲酒で頭痛が誘発されますので、この期間は禁酒します。ニトログリセリン(狭心症の治療薬)のような血管を拡張する薬も 群発頭痛を誘発します。
こういった薬を飲む必要のある人は、医師と相談する必要があります。入浴後に発作が起こる人は、湯船に長くつからず、シャワーですませましょう。
群発頭痛は酸素吸入が効果的です。純酸素(毎分7リットル以上)を20分ほど吸入すると群発頭痛が楽になりますので、病院に行って酸素を吸います。鎮痛薬は「のまないよりはまし」といった程度の効果で、ほとんど効きません。 トリプタン製剤(片頭痛の薬)は、早めに服用すればある程度有効です。リドカインという局所麻酔薬を点鼻すると群発頭痛が楽になる、という報告もあります。


ジャカルタジャパンクラブ医療相談室での頭痛治療
1月にくも膜下出血の患者さんがありましたが、命に関わるような頭痛はほかにはありませんでした。症候性頭痛の中では、副鼻腔炎の患者さんが何名かみえましたが、いずれも内服薬の治療で改善しています。
慢性的な頭痛では、起きられなくなるほど激しい頭痛の患者さんがありました。また、片頭痛の診断を受けている患者さん、群発頭痛の診断を受けている患者さんなどが、受診にみえています。片頭痛の診断を受けていない患者さんでも、強い頭痛に悩んでいる患者さんに、トリプタン製剤を服用していただいたところ、今のところほとんどの患者さんで効果がでています。「いつも頭が重い、締め付けられているようだ」というような緊張型頭痛には、この薬は効果がありません。しかし、緊張型頭痛と診断された患者さんでも、寝込むほどの強い頭痛がある場合は、片頭痛も併せ持っている場合がありますので、そのような頭痛で悩んでおられる患者さんは、一度ご相談ください。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇手足口病について

安微省阜陽市政府の発表によると、同市では3月以降789名の児童が、手足口病の原因ウィルスの一種である“エンテロウィルス71型(EV71)”に感染し、19人が治療の甲斐なく死亡し、204人が依然として入院にて治療中・経過観察中だそうです(4月28日時点)。

同市では、発熱ならびに口内・手足に水泡性皮疹が出現した患者の一部に、脳・心臓・肺に重篤な合併症が見られたそうです。専門家による調査・診察、実験室での検査(DNA)などからエンテロウィルス71型(EV71)による手足口病と診断されました(このエンテロウィルス71型は新たに発見されたウィルスでは有りません)。

5月3日時点で、阜陽市での手足口病の累計報告数は3736名(死亡例が22名)、安微省の15市に感染地域が拡大しています。その後、広東省仏山市でも、同ウィルスによると考えられる2名の死亡例が報告されました(5月3日時点)。一方、北京市内では5月12日までに3606名が手足口病を発症して、1名が死亡しています。新華社等の報道によると、今年1月より5月9日までで、中国全土で約25,000名が発症し、小児34名が死亡しています。

手足口病の原因ウィルスは、主にコクサッキーウィルスA16型あるいはエンテロウィルス71型であり、まれにコクサッキーウィルスA4、5、6、8、9、10型、コクサッキーウィルスB、エコーウィルスなどの報告例があります。6月から7月にかけて発生することが多く、年により、コクサッキーウィルスA16、エンテロウィルス71型のいずれかが主な流行ウィルスとなりますが、双方検出される年も最近では多くなり、同じ年に2回罹ることも有ります。エンテロウィルス71型による手足口病は時に“無菌性髄膜炎”を起こすことが有りますが、その時の流行株の種類によりそのリスクが異なります

潜伏期は一般に2~5日、おもに乳幼児に好発します(5歳以下が90%で、好発期は6月~7月です)。症状は、38℃以下の一過性発熱(ただし、発熱が見られるのは30%程度)、手掌、手背、足底、足背、指趾間、時に臀部を中心に水泡が出現し、次第に増加してきます。水泡は一般に灰白色で、細長い楕円形を呈し、周囲に紅暈を伴い、水泡の長軸が皮膚紋理に一致するのが特徴といわれています。この水泡は破れることなくそのまま乾燥し、褐色となり、その後、消褪します。また、同時期に口腔粘膜のいろいろな場所に水泡(~潰瘍性病変)が出現してきます。皮膚の皮疹は一般には痒みや痛みを伴わないことが多いのですが、口腔内の粘膜疹は、“痛みのために食事が摂れない”場合も有ります。

感染経路としては経口、接触、飛沫感染が知られています。
基本的には特に治療をしなくても、1週間前後で自然治癒し、予後は一般に良好な病気ですが、稀に、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系合併症以外に、肺炎などの呼吸器系合併症、心筋炎などの循環器系合併症を起こすことが有りますので注意が必要です。エンテロウィルスは消化管から排泄されるため、手洗い・うがいを心がけると同時に、①4~5日以上発熱が続き、頭痛や嘔吐が見られる場合、②全身状態不良の場合、つまり、“意識状態-元気がなく、ぐったりしている”、“呼吸状態-息の仕方がおかしい”、“循環状態-顔色が悪い”などの症状が認められる場合には早めに治療を受ける必要があります。    

*中国衛生部の発表(5月5日時点)
「現在、発病した患者は適切な治療を受け、回復率はどんどん高まっている。予防対策も全面的に展開され、秩序を保った有効な治療が進められている」

*なお今回の手足口病の流行状況に関して、北京大使館医務官より、以下のコメントを頂いております。
「この病気は、比較的感染力が強いものの、まれな重篤例をのぞいて生命に関わる病気ではなく、一般に特別な治療を要しないものと考えられている。多少の流行はこの季節、世界的に一様に見られるものであるため、特別な注意喚起は必要ないと考えている。
他方、この疾患による多数の死亡例が確認されたことは今までの手足口病の概念では説明がつかないが、当局の発表が正確であり、かつ、ウイルスにも変異がないと仮定すれば、衛生状態などの環境要因に起因するものと考えるのが最も妥当と思慮する」
以上