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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL08010101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇デング熱再び増加

21世紀に入り、シンガポールでのデング熱の患者発生数は年を追うごとに増加してきました。(下図を御参照下さい。)2005年、患者発生の著しい増加が見られ(最高で週に700人以上)、国を挙げての撲滅運動が展開されました。新聞には毎日、デング熱の患者発生数が発表され、デング熱の特集記事も頻繁に載りました。ワクチンや特効薬がないことから、唯一の防御策は蚊を発生させないことですので、蚊の発生源となるような水の溜まりを作らないように、具体的な説明をした記事も繰り返し掲載されました。シンガポールは熱帯雨林気候で雨が多いため、注意していないと容易に水溜まりが作られてしまいます。この水溜りは道路のへこみにできる水溜りだけを意味しているわけではありません。水溜りができやすいような環境の全て(たとえば、鉢植えの水、雨どいにごみが詰まったためにたまった水、ほんのちょっとした落ち葉など)のことです。これを放置したままにすると、罰金が科せられます。National Environment Agencyは2006年に係員を前年の倍の500人に増やし、蚊の発生源の撲滅に努めました。

インターネットでは随時、デング熱に関する記事を読むことができますし、デングホットラインというものも開設されています。番号は1800-9-336483ですが、この最後の6桁の部分は電話のキー上ではdengueに対応しています。ですから番号を覚えていなくてもシンガポールのフリーダイヤルの1800とxを押し、dengueをキーインすればホットラインにつながるようになっています(1800-X-Dengue)。(1800-333-7777というラインもあり。)殺虫剤の散布も積極的に行なわれています。
こうした努力が効を奏し、2006年の患者発生数は前年の14209人から3126人へ激減しました。ところが、昨年2007年、再び患者数は増大し、8829(12月29日まで)人まで増えてしまいました。

残念ながらこの患者発生数の増加の正確な理由はわかっていません。しかしながら、デング熱を撲滅すべく研究は積極的に行なわれています。研究用の血液を集めるために、24時間以上の高熱などが続いた患者さんの場合、デング、チクングンヤのRT-PCR検査が患者負担なしで受けられるサービスもあります。(患者さんは自身の血液を研究に供してもよいという承諾書にサインをするとこの検査が受けられる)。一般的にクリニックで行なえる抗体検査ですと発症後約5日経たないと確診出来ませんでしたので、この検査は外来ではたいへん重宝しております。ワクチンも開発中ですがまだ成功していません。今後の研究の成果が待たれるところです。






◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇日比国際結婚による医療問題

厚生労働省発表2006年人口動態統計によると日比結婚数が前年より18.4%増の1万2千件を超え、過去14年間で子供の人数は7万人を上回ったとのことです。また出生届がでていない子供も相当数いるといわれています。国籍別では日中に次ぐ第2位で、国際結婚全体の27.6%を占めるという状況です。

マニラの日本人会診療所では、一般的に短期滞在である企業の方とその家族の受診が8割以上を占めます。このため、国際結婚にともなう医療問題に遭遇する割合は少ないのですが、この三年間で確実に増加しつつあります。こうした日比カップルに対し診療所でおこなった医療相談の問題点をまとめてみました

<医療相談例>

①異文化から生じる問題
・出産後子供の育て方の意見の大きな食い違いからくる父親からの子育て相談
・病気の子供の治療法選択に関する夫婦間での意見の食い違い
・言葉の問題から夫が心配になって日本語での説明を求めに診療所を受診
・夫婦間トラブルによるメンタル不全

②セカンドオピニオン
・異常妊娠で入院した妻の高額な入院費の信憑性についての夫からのメール相談
・例として妻の子宮筋腫の注射薬など高額な治療費がかかる場合の費用の確認
 (保険制度が整備されていないため日本とは大きく違い、大抵高額であることを説明)
・妻が現地の病院で手当てを受けた場合、その治療法や薬は間違っていないかと夫が診療所にやってくる

③家庭・社会的立場からくる問題
・子供が重篤な病気になったときのジレンマ(日本で最先端の治療をうけさせたいが、仕事や他の子供達の基盤がフィリピンにあるため、帰国ができない)
・日本人である夫(妻)自身が重篤な病気やメンタル不全になった時にできれば日本での治療をすすめるも、家族や親族の状況から帰国ができない

④健診の遅れ、持病の悪化
・健康診断の機会を失い、受診時にはすでに進行した生活習慣病や持病の悪化
・日本で通院していた場合、病気の情報(日本の医師からの紹介状)がないため、いざ病気になったときに、詳しい病状の説明ができずトラブルとなる。

⑤その他
・妻や子供のフィリピンでの治療について日本滞在中の夫からの電話やメール相談。距離的な問題もありなかなか動きがとりづらい
・親子鑑定の相談
・夫の暴力や児童虐待疑いに関する相談

こうした問題点は、フィリピンに限らず、どこの国であっても国際結婚に関連して起こり得ると思われます。しかし、医療の立場から考えると、欧米諸国などの先進国と比較し、医療制度は衛生面や技術面での問題点も多く、日本の医療をうけてきた日本人がいざフィリピンで病院にかかろうとすると戸惑うことも多いようです。

さらに、フィリピンでは物価も安いし、「医療費も安いであろう」というイメージで来比される方も多いようですが、実際は国公立病院と私立病院の間では、医療設備・サービスや医療費の格差が驚くほどあります。日本人が一般的に利用する私立病院での入院費、治療費や薬剤費の自己負担額は日本の数倍以上となることも珍しくありません。

日本の国民健康保険制度は海外でも有効であり、日本帰国後に医療費還付手続きをおこなう方法もあります。しかしその制度を知らない方や、フィリピンで入手しなければならない書類(領収書や明細書、処方箋など)が揃わず、いざ日本で申請するときに書類の不備で申請できない例もかなりあるようです。また日本で認可されていない治療やお薬に関しては日本で請求しても還付されません。

このような環境下で、本人や家族の健康を守っていくためには、少なくとも ①本人の病気や過去の治療歴に関する医療情報を日本の医師に作成してもらうこと(可能であれば英文) ②日本の国民健康保険(国保・健保)の海外の病院での制度の適用方法を知ること ③短期滞在の場合は海外旅行障害保険の加入が重要であること ③日々の食生活や運動、ストレス管理をおこない、できるだけ病気にならないよう予防策をとっていくことが大切と思われます。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇食事療法について

生活習慣病とメタボリックシンドローム

前回、肥満についての話を書きましたが、関連した話題として生活習慣病、メタボリックシンドロームがあります。生活習慣病とは、「体の負担になる生活習慣」を続けることによって引き起こされる病気の総称です。生活習慣病にはいろいろな症状と疾患が含まれますが、代表的なものは高脂血症、糖尿病、高血圧、悪性腫瘍、脳卒中、肝臓病、腎臓病、骨粗しょう症などです。もちろんこのような病気になる人の全てが、生活習慣に問題があるわけではありませんが、そのような傾向が大きいという事実があります。肥満がある場合の高脂血症、糖尿病、高血圧などは、内臓脂肪が蓄積した状態がおもな原因で、関連性のあるものだということがわかってきました。このように、内臓脂肪蓄積によって、病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリックシンドローム」といいます。高脂血症、糖尿病、高血圧症を発症すると、動脈硬化がすすみ、心筋梗塞や脳卒中などの血管病を引き起こします。 これらを予防するためには生活習慣の改善が必要ですし、ひとたび病気にかかってしまった方でも生活習慣を改めることで進行を遅くし、症状を軽くすることができるようになります。とくに食生活、即ちカロリー、脂肪、塩分などのとりすぎの見直しが重要です。

健康に良い食事

「栄養的によいものをなるべくたくさん:おかずは1日30品目以上」これは、1985年の厚生省(当時)の「健康づくりの食生活指針」からイメージされた「健康に良い食事」です。この「おかずは1日30品目以上」というキャッチフレーズは、今でも影響を与えているようで、それを意識した食事をされているひとも少なくないようです。いろいろな栄養素をバランスよくとることは、非常に良いことには違いないのですが、この1日30品目以上をがんばって食べてしまうと、カロリーが多すぎることになってしまいかねないのです。2000年の「新・食生活指針」では、「1日30品目」は外されましたが、「多様な食品の組み合わせ」ということばで表現されています。デパートの総菜売り場で、「30品目サラダ」などが人気があります。今でも人々の意識の中には、「多くの品目をとることが健康に良い」ということがイメージされているのでしょう。多くの栄養素をバランスよくとり、なおかつカロリーのとりすぎにならないようにすることが大事なことです。
カロリーについては、成長期の子どもにとっては、身体をつくっていくためにタンパク質と並んで重要な要素であり、また、病気からの回復期にある人では多めに摂ることが望ましいこともあるでしょう。したがって一概にはいえないのですが、多くの現代人にとって油断するとカロリーを摂りすぎてしまう状況にあるのは事実のようです。
一つの栄養素に限って、これを多く摂ると健康に良いかどうかを解明するのは、非常に難しいことです。欠乏症(その栄養素を摂らないことによって起こる病態)に対して、その栄養素を摂るようにすれば、「治る」「病気にならない」ということはできるでしょう。しかし、他の多くの要因も絡んでくるような病態では、食事全体から切り離した食品、栄養素単独の効果を明らかにするのは、困難なのです。結局、栄養学的研究は不確かな結果をみることがほとんどなのですが、不確かな故に「解釈」することが必要となります。その「解釈」は必ずしも科学的といいきれない個人的見解の影響を受けるため、都合良く「解釈」されてしまう危険性があります。
ある栄養素が動物実験などで、健康によい効果が認められたとします。その栄養素を含んだ食品を摂るのはかまわないのですが、その食品が高カロリーであった場合、カロリーの摂りすぎに注意しなければなりません。


メタボリックシンドロームの食事療法

食事療法は、摂取総カロリー、栄養配分、コレステロール摂取量の適正化を目標としますが、食事の内容と同時に食行動の改善が重要です。具体的にどうしたらいいか、なかなか難しいものです。減量のための極端なカロリー制限は長続きしませんし、危険な場合もあるかもしれません。食事療法は長続きさせるのが重要ですし、それが「(食)生活習慣の改善」になるのです。

「高脂血症治療ガイド2004年版」に盛られた、「改善のための食行動10か条」を示します。

1.1日3食の配分をほぼ均等とし、規則的に食べる
2.腹8分めを守る
3.「早食い、ながら食い、まとめ食い」を避ける
4.食物繊維を先に食べる
5.よくかんで食べる
6.周りに食物を置かず、食環境のけじめをつける
7.好きなものでも1人前までとし、適正量を守る
8.就寝前の2時間は重いものを食べない
9.食器を小ぶりにする
10.外食では丼ものより定食を選ぶ


次に1959年にアメリカの心臓専門医キーズ夫妻が提唱した食事と運動に関するアドバイスを紹介します。この提言は、現在でも通用すると言われています。

1.太らないこと、既に太っている場合は減量する
2.飽和脂肪酸を制限する
 牛肉、豚肉、ラム肉、ソーセージ、マーガリン、乳製品に含まれる脂肪を摂りすぎない
3.固形脂より植物油を使用する
 脂肪のカロリーを食事全体の30%以下に抑える
4.生野菜、果物、無脂乳製品を食べる
5.塩と砂糖を控えめにする
6.たくさん運動し、野外のレクリエーションを楽しむ


まとめますと、

「暴飲暴食をしないよう心がけ、
 規則正しく、バランスの良い食事を、
 腹8分めまでに抑え、
 ゆっくりよくかんで食べる。
 食事の内容は、動物性脂肪を控え、野菜、果物を多めに」

ということになります。

生活習慣病、メタボリックシンドロームについては、食事療法と運動療法は両輪になりますが、ジャカルタの生活では歩くことが少ないため、食事療法の重要性が大きいものと考えられます。今はその状態にないひとも、予防に心がけましょう。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇上海医療視察を終えて


昨年11月21日より23日まで、上海の医療機関を視察して参りましたので、遅ればせながら、御報告させて頂きたいと存じます。今回は、日本人を含めた外国人(主に欧米系)が多く受診する上海ユナイテッドファミリー医院(和睦家医院)、そして、日本人受診者が比較的多い上海ユナイテッドファミリー医院上海国際クリニック、博愛病院国際医療センターを紹介したいと思います。

上海ユナイテッドファミリー医院(和睦家医院)は2004年12月に開業した総合病院で、1997年に開業した北京ユナイテッドファミリー医院の系列病院です。内科、小児科、婦人科・産科以外に、24時間対応可能の救急部(専門医師数名により構成)、心理科(精神科)、普通外科、骨外科(整形外科)、眼科、耳鼻科、泌尿器科など各科の専門医師が勤務しています。日本人スタッフ(通訳業務)が24時間、交代で勤務しているため、中国語が堪能でなくても安心して受診することが出来ます。設備としては、X線検査、CT検査、超音波検査(腹部、心臓)、消化管内視鏡、気管支鏡、肺機能検査などを備えています。欧米系の方が出産のため、入院することが多いそうです。

上海国際クリニックは“上海検疫局”に隣接しており、同じ敷地内に、ビザ申請時に必要な健康診断を行っている“上海国際旅行衛生保健中心”が有ります。内科、小児科、外科以外に耳鼻科、婦人科の外来が有ります。日本語の堪能な看護師が勤務しています。院内の掲示板にはインフルエンザ、各種予防接種(DPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)、ポリオ経口生ワクチン、麻疹(はしか)、風疹、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、狂犬病、A型・B型肝炎など)が可能です。また、月に何回か、精神科の先生が来られて、心理カウンセリング、子どもの発達相談にも応じています。

博愛病院国際医療センターは中国系の総合病院(入院施設を有する)内にある外国人(大部分は日本人)向けの外来です。受付けから医療費用の支払いまで、日本語で対応可能です。現在、日本人の医師・看護師はいませんが、日本で研修をした日本語が上手な中国人医師が在籍していました 。入院が必要な場合には入院部に、全室個室のVIP病室が5部屋有ります(いずれも、バス・トイレ付き)。また、一般の健康診断、半日ドッグに加えて、婦人科検診(乳腺、子宮)、小児検診(母子手帳に準じた項目)も行っています。必要な場合には病院内の施設(X線、CT、内視鏡、超音波など)を利用することが可能です。中国系の総合病院の1部門として、外国人外来が有るという点では、日本人医療相談室と共通する部分が有りました。
                                  

(追加情報)
江蘇省南京市の鳥インフルエンザ関連 (08.01.14)

1.中国(江蘇省南京市)における鳥インフルエンザのヒト-ヒト感染疑い例について
2007年12月に発生した江蘇省南京市における鳥インフルエンザのヒト-ヒト感染疑い例の発生に対し、中国衛生部は1月10日付けで感染源の調査結果について以下のとおり発表しました。

(1)2007年12月に鳥インフルエンザの感染が確認された24歳男性及びその父親(52歳)の2例の症例については、いずれもトリとの接触歴は確認されていない。
(2)とりあえずの判断として、今回の症例は、家庭内の密接な接触による感染であると考えられる。
(3)ヒトからヒトに感染する生物学的証拠はない。
なお、このような家庭内における感染事例については、これまでインドネシア(2006年5月)、ベトナム(2005年1月他)、タイ(2004年9月)においても確認されています。

2.鳥インフルエンザ発生国である中国では、引き続き不用意にトリに近寄ったり触れたりせず、衛生管理にも十分注意してください。また、帰国時に高熱、咳症状がみられる場合には検疫所の健康相談室にお申し出ください(帰宅後に同様の症状が現れた場合には最寄りの保健所に相談し、感染地域に渡航していた旨をお知らせください)。
その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars_qa.html