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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL07110101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇新型インフルエンザ~警戒レベルの色表示

シンガポールのMinistry of Health(日本の厚生労働省にあたる)は新型インフルエンザへの準備、対応策の綱領を2007年5月に改訂、発表しました。Annexを含めるとA4で84ページありますので、残念ながらその全てを紹介することはできませんが、構成は、新型インフルエンザのサーベイランス、シンガポールへの侵入の察知、防御そして実際に侵入して来たときの対処方などからなっています。また、さまざまに対処しても、世界のどこかで新型インフルエンザがヒトからヒトへ容易に感染する型に変異した際には数日から数週でシンガポールに入ってくることは不可避であるという現実的な予想も書かれています。

新型インフルエンザの世界的流行が起きた場合、実際の感染者数がどれくらいになるかはあくまでも予想の域をでませんが、1918-19年のスペイン風邪の例では当時の世界人口20億人のうち30%の6億人が感染し、死者は2000万から4000万人(感染者の3-6%)だったといわれています。日本では当時の人口5800万のうち感染者は2300万(人口の39%)、死者は38万人(感染者の1.7%)という記録が残っています。
現在のシンガポールの居住人口は430万人ほどですが、仮に人口の35%が感染したとすると、アメリカのCDC(感染症センター)と同じ手法で計算した死者の見積もり数は2000-4000人程度ということです。

新型インフルエンザの現況はWHOのphase分類が世界的な指標となっておりますが、シンガポールではそれに基づいて警戒レベルを作成し、それぞれを色で表しています。これによってどういう行動をとるかが決められています。

警戒レベルを示します。
◇Alert GREEN Level 0 (WHO Phase1)
世界のどこでも新種のインフルエンザウイルスの出現がなく、シンガポールの公衆衛生への危険も非常に低い状態。
◇Alert GREEN Level 1 (WHO Phase2-3)
動物間での流行が起きて、新しいウイルスが出現する可能性が世界的に懸念される状態。動物からヒトに感染する例が見られることもあるがヒトからヒトへの感染はないかまたは極めて濃厚な長期の接触をした場合に起こりうる。ヒトからヒトへの感染の確率はまだ低い。
(Alert GREENでは、インフルエンザは基本的にはヒトではない他の動物に限局されている状態ということになります。)

◇Alert YELLOW (WHO Phase 4)
限定的ではあるが、新型インフルエンザによるヒトからヒトへの感染が、感染源の患者との濃厚な接触の場合に起きている状態。隔離などの公衆衛生的手段などにより感染の拡大は抑え得る。シンガポールへのウイルスの侵入リスクは高くなっている。しかしながら、孤立的な輸入例が見られても持続的な感染の拡大には至っていない。
◇Alert ORANGE (WHO Phase 5)
世界的、シンガポール国内的にもヒトからヒトへの感染の集団発生がある。ヒトからヒトへのウイルスの感染はより起こりやすくなっているが、まだ、完全ではなく、感染には感染源の患者との濃厚な接触が必要である。ほとんどの場合、感染の拡大はない。しかしながら、時として感染源の患者から集団発生となる場合がある。
◇Alert RED (WHO Phase 6)
世界的流行が進行中。ウイルスは完全にヒトヒト感染する型に変異している。シンガポールへの侵入も不可避。感染源は特定できず、ひとたび、シンガポールに広がれば市中感染の危険は高い。
◇Alert BLACK (WHO Phase 6)
重症例、死亡の率が高くなったことを示すレベル。流行の拡大により、病院機能、公共サービスも支障が生じる。経済活動が著しく阻害される。

11月17日の時点では警戒レベルはAlert GREENです。参考までにひとつ上のAlert YELLOWになりますと、市民レベルでは厚生省からの情報に注意し、病気の性質をよく知り、うがい、手洗いなどの励行、社会的責任を持って行動すること、また、必要時には専用の救急車を適切に利用することなどが求められます。Alert YELLOWとなった時点で、流行が見られる国から入国、帰国して間もない者、帰国入国する者には諸注意が書かれた紙が渡され、毎日、7日間、体温を測ることが義務づけられます。また、入国審査の際には体温チェックが行われます。疑いのある患者さんはシンガポールのCDC(感染症センター)があるTan Tock Seng病院に送られることになります。
これは基本的には2003年のSARSの時と同様です。その時の経験を生かして対処しようとしています。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇元気な女性

フィリピンでは女性がとても元気です。多くの企業が集中し、診療所のあるマカティー地区では、昼休みに職場を離れ町を颯爽と歩く人の半分以上が女性であり、お腹の大きな働く妊婦さんも本当にたくさん見かけます。出生率の高いフィリピンではピラミッド型の人口構成で、町は若者であふれかえっています。高齢者を多くみかける日本とは対照的な光景となります。
 
先日スイスの経済研究機関が世界各国の男女格差を総合評価した結果、対象128カ国中日本が91位だったのに対し、アジアではフィリピンが最高位で6位だったとのニュースがありました。
 
確かにアジアの中でフィリピンの女性は特に逞しく感じます。大学の教授も半分以上が女性、医師も半数以上が女性といわれています。各分野で活躍する女性が目立ちます。

我々の診療所で働くフィリピン人の看護師や女性医師も、私の赴任後2年半のあいだで5人が仕事をしながら出産しました。しかも多くが出産の数日前まで働き、産後も3週間ほどで元気に職場復帰してきます。先日出産した医師は出産2日後から入院患者さんへの指示などの電話対応を始め、産後1週間から時々病院へ自ら足を運び、3週間後には完全職場復帰し、びっくりさせられました。

出産前後の休職中は、必ず短期で働いてくれる代理の派遣看護師や同僚の医師が現れ、サポートします。そして出産後も自分のポストがなくなることもなく、安心して職場復帰できる体制になっており、またそれが皆当然と思っているようです。

では「生まれた赤ちゃんは?」と当然我々は考えますが、ここが日本と大きく違うところです。まず大家族制であるフィリピンでは必ず近所に面倒をみる親戚、兄弟、親がいます。また中流層以上ではベビーシッターを雇い、仕事をしている間は子守を任せます。さらにそのベビーシッターや家事援助者の女性自身も多くが子持ちですが、子供を故郷の母親や親戚に預け、住み込みや通いで元気に仕事をしています。

日本では近年女性の医師不足や出産後の復職支援体制の整備などが問題となっています。働いていても子供が熱をだしたらいつ呼び出されるかわからない不安をかかえ、職場での理解が得られず、つらい思いをするなどの意見が目立ちます。日本のように公共の託児所などの利用ではなく、周囲の人が助けて面倒をみるという環境は大家族制の強みです。歴史や宗教、人口構成や環境が全く異なる二つの国の単純な比較は無理ですが、間近で元気に働く女性をみていると、ついうらやましく感じるものです。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇睡眠について

睡眠は、脳や体を休ませるためのものですが、記憶を再構成し固定することにも深く関わっているともいわれています。長く眠ればいいかというと、そうとは限らず、 人によっては1日3-4時間で良いという人もいます。 ナポレオンやエジソンは、短時間睡眠でも多くのことを成し遂げています。睡眠時間が9時間以上の長時間睡眠での偉人は、アインシュタインが有名です。まだまだ未解明の脳のことですから、睡眠についても不思議なことがいっぱいあります。その中で、わかっていることや不眠への対処法についてお話します。

人間は大体6-8時間の睡眠を必要とします。 浅い眠りのレム睡眠(REM睡眠)と深い眠りのノンレム睡眠(non-REM睡眠)がありますが、レム睡眠とノンレム睡眠をワンセットにして、約90分の周期で4-5回繰り返しています。レム睡眠の間に夢を見ています。
この6-8時間の睡眠はおおよその目安で、たくさん眠りたい人もいれば、ちょっとだけ眠れば良い人もいますので、必要睡眠時間は一概にはいえません。 睡眠時間の長短ではなく、気持ちよく眠ってすっきり起きるのが理想です。

睡眠の取りやすさは、入眠時の身体や精神の状態、外部環境に依存するため、同じ人でもそのときどきによって差ができます。なかなか眠れない人のために、いくつもの安眠法が考えられています。例えば、入眠に関わる神経細胞は体温の上昇によって活動が亢進するため、入眠前の入浴や入眠時に寝室を暖かくすることが有効だといわれています。また睡眠にはメラトニンという脳の松果体で生成する物質が関わっていますが、メラトニンの産生には、2500ルクス以上の光を浴びる必要があるため、起きている時間に光を十分に浴びていることが重要だそうです。
眠れなくてアルコールに頼るひとがいると思います。アルコールは入眠を早める効果はありますが、途中で目が覚めてしまい睡眠の質を低下させてしまうおそれがあります。深酒した後に、意外に早く目が覚めてしまい、そのあと眠れなくなった経験はありませんか。睡眠薬代わりに寝酒を習慣にしてしまうと、かえって不眠を悪化させ、慢性化させている危険性があります。

睡眠薬

眠れないことが続いた場合、それがいろいろな努力によっても改善されない場合には、アルコールに頼るより、睡眠薬を使用した方が安全です。睡眠薬に対する一般的なイメージは、「一度睡眠薬を使うと、それがないと眠れなくなってしまう」「だんだん効かなくなって、量が増えていってしまう」「量をまちがえて多量に飲むと命の危険がある」といったようなものがあります。バルビツール系という古いタイプの睡眠薬では、こういった副作用が出ることもあったため、あながちまちがいといったわけではありませんが、現在の主流の睡眠薬であるベンゾヂアゼピン系という睡眠薬では、こういったイメージは当たっていません。生理的で自然に近い睡眠をもたらし、大量に飲んでもそれだけでは生命への危険性がきわめて少ない、安全性の高い薬です。ただし、人によって効果の出方が違うため、通常量では眠れない人、翌朝起きられないくらい効いてしまう人がでることはあります。また、アルコールと一緒に飲んでしまうと、記憶がとんでしまうこともあり、飲酒と併用してはいけません。
慢性の不眠で悩んでいるひとは、眠れないときだけ睡眠薬をのむよりは、はじめは毎日服薬し、眠ることを習慣付け、「眠れている」という自信をもつことが重要です。

睡眠についての相談は、精神科や心療内科の医師に限らず、一般医でも可能です。また、不眠、気力がない、集中力が続かない、気分がふさぎがちなどという症状のときに、精神的な問題のほかに身体的問題が原因の場合もありますので、まずは一般医に相談することをお勧めします。JJC医療相談室の医師も一般医として、いろいろな患者さんに対応していますので、お気軽にご相談ください。派遣元である海外邦人医療基金の協力も得て、日本の専門医とも随時相談が可能です。

昼寝

最近、昼寝の効用について注目されています。短時間の昼寝は、事故の予防・仕事の効率アップなどが期待され、また脳が活発になるため、独創的なアイデアが浮かびやすい環境になるといわれています。
30分以下の昼寝を習慣的にとる人は、アルツハイマー病にかかる危険性が低いという報告や、高血圧の人が昼寝後に血圧が降下したという報告もあるようです。
昼寝は午後1~3時ごろに15~30分程度がとるのが良いとされます。1時間とると、逆に疲れてしまうようで、深い睡眠にはいる前にめざめたほうがよいものと思われます。
ジャカルタの渋滞にはまったら、車の中で昼寝はいかがですか。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇インフルエンザならびにノロウィルス感染症について

日本国内の“定点医療機関”(病気の流行を事前に把握するために、指定された医療機関では各病気の発生数を報告する義務が有ります)より報告された10月下旬のインフルエンザ患者数が、この時期としては、過去10年で最多だったそうです(国立感染症研究所発表)。また、インフルエンザ流行の始まりは例年、12月中ー下旬ですが、昨年のインフルエンザの流行時期が1月中旬であったことを考えますと、昨年よりも早めの対策が必要と思われます(昨年は逆に、過去10年で2番目に流行時期が遅かったそうです)。

次に通常の風邪とインフルエンザの症状の違いについて述べます。
通常の風邪の場合、喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳などが中心で全身症状は見られないことが多いのに対して、インフルエンザの場合、一般に、38℃以上の高熱が出ることが多く、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が突然出現するのが特徴です。
インフルエンザを予防するためには、①適切な時期に予防接種を受ける、②外出後には手洗い・うがいを励行する、③高熱が出たり、全身症状が強い場合には、無理に会社や学校へ行かずに、早めに医療機関を受診することをお薦めします。

次に“トリインフルエンザ”について述べます。トリインフルエンザの原因であるトリインフルエンザウィルスには、いくつかタイプ(遺伝子型)が有り、その中で比較的病原性が高いと考えられているのが“H5N1型”というタイプで“高病原性トリインフルエンザウィルス”とも呼ばれています。 

今年の9月5日に中国広東省広州市で発生した“高病原性トリインフルエンザ”の“擬似例”は、“国家鳥インフルエンザ参考実験室”の調査により、“H5N1亜型トリインフルエンザ”であることが確認されました。
この“高病原性トリインフルエンザ”は、“トリ同士”で感染することはあっても、“トリからヒト”へは感染しないと従来より考えられていました。しかし、東南アジア(ベトナム、インドネシア、中国など)を中心として“トリからヒトへの感染”が疑われる症例も報告されており、特に若年者での死亡率が高いとされています。原則的には “ヒトからヒトへの感染”は容易には起こらないと考えられていますが、このウィルスが、生物間(トリ、ヒト、ブタなど)で感染を繰り返している間に、“遺伝子変異”という現象を起こした結果、“ヒトに感染し易い性質を獲得する可能性”が指摘されています。このような過程を経て新たに出現したウィルスが、いわゆる“新型インフルエンザウィルス”です。

最近の研究結果によると、“トリインフルエンザウイルスの遺伝子が、ある特定の変異を起こした場合に、ヒトの体内で容易に増殖して、ヒト同士の感染を起こし易くなる”という実験結果が、東京大学の研究グループにより報告されました。トリインフルエンザが流行した場合に、“この変異の有無”を調べることにより、ヒト同士で感染する“新型インフルエンザ”の流行を早期に予測出来るのではないかと期待されています

次に、昨年、“感染性胃腸炎”の大流行を引き起こしたノロウイルスについて述べます。ノロウイルスによると考えられる“感染性胃腸炎”は(春先から季にかけて多く見られる-いわゆる“食中毒”とは異なり)通常、冬季に流行することが多いため、これからの時期に“激しい嘔吐や下痢症状”が現れた場合には早めに医療機関を受診するとともに、“二次感染(他のヒトに感染すること)”を予防する必要が有ります(ノロウイルスは食品が原因で感染する他に、吐物や便の飛沫を介した“空気感染”を起こすことが知られています)。
昨年流行したノロウイルスの“タイプ(遺伝子型)”は、“大規模な遺伝子解析”の結果から“大半が同一の種類であった”ことが判明しています。ノロウィルス感染症が全国的に流行した背景として、“このタイプのウイルスに免疫を持っていない人が多かった”ことが想定されています。
ノロウイルスによる感染を予防するためには、①石鹸を使った流水での手洗い、②一般家庭にもある“塩素系漂白剤”による消毒、③調理、配膳、食事の前やトイレに行った後は必ず手を洗うこと等が大切です。