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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL07100101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇夜間救急にかかる

言葉のうまく通じない国で夜間救急にかかるのは精神的にかなりのプレッシャーだと想像されます。しかしながら、具合が悪くてどうしてもかからざるを得ないこともあるでしょう。本当に一刻を争いそうなときは、救急車を呼ぶと思いますが、必ずしもそうでないことも多いと思います。
そんな際には、もし、昼間に診察した医師と連絡が取れるなら、そうするのが最も簡便な方法です。
もし、そうできない場合には、ご自身で病院に行く(または連れて行く)ことになります。シンガポールで日本人が住んでいる地域には10箇所ほどの病院があり、いずれも24時間救急(A&E, Acute &Emergency)サービスを行っています。

その中の一つKK women's and children's Hospitalというシンガポールで最大の婦人科産科小児科病院の夜間救急に、先日、患者さんを連れて行きました。この病院は産科婦人科棟と小児科棟の2つの建物に分かれ、救急も受付が全く別になっています。私が訪ねたのは小児科棟のほうです。
夜間救急と言ってもとても大きく、50人以上は楽に座れる待合室がありました。患者さんは受付(外国人はパスポート番号が必要)をしますと、しばらくして専門ナースによる問診が行われます。体温、血圧、症状などの情報はすべてコンピューター入力され、他の場所にいる医師にオンラインで伝達されます。訓練を受けたこのナースからの情報により、トリアージ(患者さんの重症度を判定し優先順位を決めること)が行われます。これにより患者さんは先着順でなく、重症度順に診てもらえることになります。その後、支払いを行います。支払いは診察料、薬代も含めて一律75ドルでした。後で聞いたのですが、診察前に支払いをさせることで未収を未然に防いでいるのだそうです。また、この値段設定は、軽い病気の人には割高で、重症な人には安い金額になるように計算された額だそうです。いたずらに夜、受診をさせないようにしているとのことです。確かに昼間、ポリクリニック(各所にある公営のクリニック)にかかれば、10ドルくらいで済むのですから、うなずける話です。また、重症度順に診ることにより軽症で来た患者さんは長時間待たされることになりますから、結果的にそうした軽症の方、つまり緊急性のない方が夜間救急を受診することを抑制することになります。

小児科棟の夜間救急には医師が4人いました。もちろん小児科医だけでです。診察室の裏には広いスペースにベッドが4つ置かれ、壁には酸素供給装置や、血圧などのモニター類、点滴の準備などいろいろな処置ができるようになっていました。そこにはまた数名のナースがいてケアをしていました。私が訪ねたときは待合室には数名の患者さんがいるだけでしたが、時間帯によっては待合室が一杯になるほどの患者数になります。それでも、日本の市中病院に比べ、職員の人数も多く、スペースに十分な余裕がある大変恵まれた医療環境であると感じました。

救急受診でも外来だけで済めばよいのですが、入院となりますと少し大変です。入院にはシンガポールでは一般的に、多額のお金がかかります。入院の際にはデポジットとして4000-6000ドルを支払わなければなりません。こんな現金は誰も持っていないのでクレジットカードは万が一の時のために準備しておくと良いでしょう。もちろん海外旅行者保険は使えますが一時的には自分で払わなくてはなりません。
また、シンガポールの病院には基本的には日本語サービスは(特に夜間は)ないので、英語での意志疎通が難しい場合もあります。多くの日系企業は既にこうした場合に備えて対策を考えていらっしゃるようですが、様々な場合(ご主人様が出張中にお子さんが急病になったりした場合やご主人様が急に意識不明に陥るなどして奥様が全てを対処しなくてはならなくなる場合など)を想定して、ご家族へのサポート体制が周知されているかご確認しておいて頂くとよいかもしれません。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇狂犬病対策法

先日、フィリピンで、狂犬病対策法が成立し、来年始めにも施行される見通しとなりました。その計画内容は以下のようなものです(マニラ新聞より抜粋)。
① 犬への狂犬病予防接種
② 野犬、未登録・未接種犬の捕獲・収容
③ 狂犬病予防管理、飼い主の責任に関する情報・教育キャンペーンの実施
④ 狂犬病感染率の高い関連機関職員に対する予防接種と犬にかまれた被害者への適切な治療
⑤ 狂犬病流行地域における児童(5~14歳)に対する無料接種の定期実施
⑥ 登録・接種済み犬の中央データベース立ち上げ

飼い主に対しては以下のように義務づけています。
① 飼い犬への予防接種
② 犬登録証の所持
③ 屋外の放し飼い禁止
④ 適切な訓練実施と食料・小屋の提供
⑤ 人をかんだ飼い犬の自治体への24時間以内の引き渡し
⑥ 飼い犬が人をかんだ場合、被害者の病院搬送と医療費負担
さらに未登録や公共の場をうろつく犬は市町の収容施設に入れられ、収容後3日以内に飼い主が引き取らない場合、別の引き取り手に渡すか、処分するというものです。

違反者に対する罰金として
① 飼い犬の登録・狂犬病予防接種を行わなかった場合 2000ペソ
② 人をかんだ飼い犬を自治体の保健所に引き渡さなかった場合 10000ペソ
③ かまれた者への医療費支払いを拒んだ場合 25000ペソ
④ 綱なしで犬の散歩をしていた場合 500ペソ
⑤ 収容施設からの飼い犬引き取り 500~1000ペソ
⑥ 食用犬の売買に関与した場合 5000ペソ
⑦ 外国人が違反した場合 強制退去処分
(2007年10月現在 1ペソ=約2.6円)

以上のようにかなり徹底した狂犬病対策法であります。
昨年日本で相次ぎ2名のフィリピンからの輸入狂犬病感染者が死亡しました。世界ではいまだ年間5万人以上の狂犬病発症が報告されています。フィリピンでは年々患者数は減少しているものの、現在でも年間250名前後の報告があります。さらに病院を受診せずに発症した人などを含めるとこの数を上回るとされています。またフィリピンでは男性の発症者が多く、年齢では14歳以下の若年者と45~65歳と二つのピークがあります。

日本では1950年代を最後に狂犬病のない国となりました(輸入感染を除く)。私が子供の頃に記憶していた1970年代に町をうろついていた野犬も、自治体の徹底した管理政策により1980年代には姿を消しました。

フィリピンでは、我々の居住地区では、犬の放し飼いや野犬はまず見かけませんし、公園でも犬の侵入を禁止にしている場所も増えてきています。しかし市場や郊外に行くと、まだまだ野犬や放し飼いの犬を多くみかけます。人間の狂犬病は約98%が犬からの感染で発症するとほぼ100%死亡するとされている病気だけに、飼い犬への予防接種の徹底も含め、上記のような政策により島国であるフィリピンも近い将来日本同様、狂犬病のない国になることを期待しています。

またフィリピンでは、万が一犬にかまれた場合の傷の処置や(石けんを使用し水で傷口を十分洗いながし消毒する)、最寄りの病院でうけることのできる、咬まれた直後からの(暴露後)予防接種などを徹底し、未然に発症を防ぐことが可能であることは是非知っておきたいところです。
しかし、フィリピンでは地方では狂犬病ワクチンのある病院が近くになかったり、適切な処置が受けられないようなことも想定されますので、地方在住の方などは事前の予防接種(暴露前)が推奨されます。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇チクングンヤ熱について

9月下旬のNHK worldの海外安全情報をみておりますと、イタリアで「チクングンヤ熱」が流行しているということが伝えられています。1カ月以上前のじゃかるた新聞ですが、ジャカルタ市内でもチクングンヤ熱が発生していることが報道されていました。そこで、今回はチクングンヤ熱の話とします。

JJC医療相談室でのチクングンヤ熱
私がJJC医療相談室に赴任して以来、インドネシア東部に居住されていた方が、現地の病院でチクングンヤ熱と診断されて、熱が下がっているが関節痛が治らないということで、当相談室を訪れたことがありました。インドネシアに来るということで、デング熱、アメーバ、腸チフス、狂犬病、A型肝炎等々の感染症について、再確認してきたつもりですが、チクングンヤ熱については、全く知識がありませんでした。そこで、メディカロカの一般医 (General Practitioner)にアドバイスを求めました。彼は、病歴を聞き、診察をした後、「チクングンヤ熱と診断してよいだろう」ということを告げ、文献(資料)を私に渡しました。関節痛は数カ月続くこともあり、自然経過の範疇にはいる、というものでした。治療法は特別なものがなく、対症療法(痛みには消炎鎮痛剤)を行うことで、経過をみていただくことにしました。
最近、ジャカルタ在住の方で、発熱、関節痛、顔を除く全身の発疹などの症状が出現している患者さんがあり、「チクングンヤ熱ではないか」として経過をみています。

チクングンヤ熱とは
チクングンヤ熱(Chikungunya fever) は、伝染性多関節炎(伝染性のある複数の関節が痛む)を示す病気の一種です。ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどにより媒介されるウイルス性の伝染病で、高熱がでることも含めて、デング熱と共通点があります。このウィルスは Chikungunya virus と呼ばれ、alphavirus という種に分類されます。ヒトー蚊ーヒトの感染が確認されています。このウィルスの自然宿主(自然の状態で病気とならずに病原体を持っている生物)は、アフリカのサルと考えられています。流行地域は、アフリカ、南アジア、東南アジアなどの熱帯地域が中心です。
同じ伝染性多関節炎を起こす病気として、Ross River fever (または Ross River virus disease )があります。Ross River virus は Chikungunya virus と同じalphavirus という種に分類されます。 カンガルーなどの有袋類が自然宿主で、このウィルスはもともとオーストラリアにいたものと考えられています。オーストラリアのQueenslandにあるRoss River 一帯の蚊から、このウィルスが発見されたため、この名前がついています。
インドネシアでのこの病気は、地域性からみますとオーストラリアからウィルスがはいってきたことが十分考えられますので、Ross River fever と呼んだ方が正確かもしれません。 チクングンヤ熱とRoss River fever は、このように厳密には違う病気なのでしょうが、似たウィルスによる似た病気ということで、実際の現場では同じ種類の病気としてひとくくりにして、あまり区別されていないように思われます。チクングンヤの方が少々認知性が高いようなので、このようなウィルス性伝染性多関節炎をチクングンヤ熱と呼んでも差し支えないようです。

症状、経過
ウィルスを持った蚊に刺されて発病するわけですが、実際に発病する人は刺された人全体の3分の1程度と考えられています。3日から10日ぐらいで、39℃以上の高熱と関節痛が出現してきます。関節痛は、膝、足首、肘、手首などに出現することが多いようです。また、足の裏のかかとの部分、手のひらの手首に近い部分が痛むこともあります。チクングンヤとはアフリカのマコンデ族のことばで「前かがみになって歩く」という意味で、痛みに苦しむ患者の様子を表しています。他に頭痛や結膜炎、羞明(眩しがること)などを伴うことがあります。発熱や関節痛と同時に、またはそれから少し遅れて顔を除く全身に直径数ミリの赤い斑点が出現します。デング熱の場合も皮膚に発疹が現れることがありますが、チクングンヤ熱のほうが大きい斑点が出ます。発熱は数日で収まりますが、関節痛、発疹、頭痛、不眠、全身疲労などは5日から7日、場合によっては2週間ほど続くことがあります。関節痛は程度は軽くなっても長く続く場合があり、1年ぐらい続く患者さんもあるようです。デング熱のような出血熱の状態になることはほとんどなく、致死率は 0.1%と極めて低いとされています。
このウィルスに一度感染したひとは、自分の力で抗体ができていますので、そのあとこのウィルスの病気にはかからないようです。

治療と予防
ウィルスに対する特別な治療法や予防のためのワクチンはない、というのが現状です。対症療法として、米国のCDC(疾病対策センター)は、解熱鎮痛にはアスピリンを避け、それ以外の非ステロイド系抗炎症剤を用いることを勧めています。インドネシアでは、アセトアミノフェン(パナドール、テンプラなど)を使用するのがよいでしょう。予防法は蚊に刺されないことだけです。長袖、長ズボン、からだに密着しない明るい色の服を着用することをお勧めします。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇ストレス対処法について

言語や文化・価値観、住環境・食習慣等が異なる環境の中では、(本人が意識している、意識していないに関わらず)“ストレス”の多い生活を強いられる場合が多いかと思います。“ストレス学説”という説によると、“ストレスとは(ストレスの原因となる)ストレッサーが加わった結果、体や心が示す特異的な反応である”とされています。

例えば、仕事で継続的に過度に緊張を強いられた結果、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や不眠症になったというような場合、“ストレッサー”が“仕事が忙しい”ということであり、“特異的な反応”が“腹痛”や“不眠”ということになります。

適度なストレスは逆に良い意味で“やる気”を出させたり、“集中力・効率”を高めたりしますが、限界を超えた場合には“ストレスによる様々な不調”を引き起こします。
このような“不調”は、大きく分けると“心の不調”と“体の不調”に分けられます。

“心の不調”には、不眠症、うつ病、神経症(いわゆるノイローゼ)などがあります。
“体の不調”には、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群(下痢や便秘を繰り返す)、狭心症、気管支喘息等の他に、蕁麻疹・アトピー性皮膚炎・円形脱毛症などの皮膚疾患、頭痛、胸痛、動悸、めまい、耳鳴、性欲低下など様々な症状や病気が有ります。
このような“心身の不調”を予防するには適切な方法でストレスを解消する必要が有ります。

“ストレス解消法”には、いくつかの方法が有りますが、その方法の一つとして、以下のような方法が有ります。

  1)ストレスの内容を自分なりに整理する
  2)ストレスに上手く対処できた経験を想起する
  3)ライフスタイルを少しだけ変えてみる
  4)上手に気分転換をする
  5)誰かに相談する

具体的には-
   
1)ストレスの内容を自分なりに整理する
“過去の出来事を変える”ことは出来ませんが、“その出来事をどう受け止めるか”という“自分の意識”を変えることは出来ます。また、“起こってもいない将来の出来事”を心配してストレスを感じる場合もあります。“現在の自分に何が出来るか”を考えることによって、上手に気持ちを切り替えることが大切です。

2)ストレスに上手く対処できた経験を想起する
“過去にストレスに上手く対処出来た経験を思い出す”ことにより、だんだんと自信が湧いて来て、現在のストレスを解消するのに役立つ場合があります。

3)ライフスタイルを少しだけ変えてみる
偏った生活スタイルを改め、規則正しい生活をすること、栄養バランスを整えること、適度な運動をすること、そして、“十分な睡眠をとること”はストレス解消のポイントとなります。過度な運動は、逆にストレスとなる場合もありえますので、御自身の年齢・体力・健康状態等を考慮して、自分に合った運動を心がけましょう。

4)上手に気分転換をする
好きなことに没頭してみる、体を動かしてみる、音楽を聴くなど、各自いろいろな方法があると思います。“同じ生活パターンを繰り返すこと”はストレスをますます強化する場合があるので、“生活パターンを少しだけ変えてみること”も効果的です。そうすることによって、心身の緊張がほぐれて、問題を冷静に見つめる余裕が生まれてきます。

5)誰かに相談する
どうしても自分なりにストレスを上手く解消出来ない場合には、家族や友人・同僚等の周囲の人に、まずは相談してみて、それでも解決不能の場合には、心療内科や心理カウンセラー等の専門家に相談してみるのも一つの方法かと思います。