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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL07040101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇シンガポールの水、Newater

シンガポールは面積約700 km2、日本の淡路島や琵琶湖と同じくらいの面積です。最も標高が高い地点でも海抜163メートルです。ここに430万人が暮らしています。人口密度は6142人/km2になります。これは東京都に匹敵する人口密度です。
この小さな島で水はどのように得ているのでしょうか?

第1の供給源は雨水です。各地に貯水池が作られています。年降水量3000ミリを越えますから、貯水池が枯れることはありません。しかし、年々増大する水の需要に国内の水資源量が追いつくはずはありません。2002年に年間3億ガロンだった水需要は2012年には4億ガロンに達すると見積もられています。
第2の大きな供給源はマレーシアからの輸入です。この取り決めは1961年に発効しましたが、契約は50年であったため、2011年に契約期限が来てしまします。

こうした背景から、将来の水不足は必至の情勢であった為、1998年にシンガポール政府は使用済みの水を処理して飲料水化するという計画を実行に移しました。こうして出来た水はNewaterと呼ばれ、第3の水の供給源となりました。(ちなみに海水の脱塩化で得られる水は第4の供給源とされています。コストが高いことが難点です。)
Neawterのような水の再利用はシンガポールが初めてではなく、20年以上前からアメリカで実用化されており、既に信頼性の高い技術とされています。

Newaterの質が気になるところですが、有機物や水の透明度は現在の水道水よりもむしろ良いと発表されています。
2002年に最初のNewater生産工場が稼動し始め、その後2003年、2004年にも新しい工場が出来て、現在では既にシンガポールの水の一日消費量の1%にあたる量を生産し、従来の水に混ぜています。この割合は2011年までに2.5%にまで増やされることになっています。
いくら安全できれいだといわれても、生物学的には処理は完全に出来ても、化学的な混合物などはないのかといった不安など、進んで飲みたくないというのが多くの人々の本音でしょう。こうした精神的な障壁を少しでも低くするため、Newaterを直接、水道管に入れるのではなく、貯水池の水に混ぜるという方法がとられています。これはアメリカなどでも行なわれている方法とのことです。
シンガポールのNewater projectは世界からも評価され、2002年にシンガポールはNational water research instituteから表彰されたアジアで最初の国となりました。今後も注目されるところです。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇2006年度診療所報告

マニラ日本人会診療所に着任し、2年がたちました。2006年度の受診者傾向を2005年度との比較も含め報告します。

2006年度の年間受診者数は述べ7141名(前年度+811名)うち小児は20%を占めました(前年+8%)。小児受診者数増加のためか、中耳炎や皮膚の化膿、あせも、アレルギー性皮膚炎など耳鼻科や皮膚科疾患が昨年より増加傾向にありました。





例年どおり上気道炎(かぜ)と急性胃腸炎(下痢)で約半数を占めています。また離島や遠方からの受診者はごく僅かでした。日本人が多く居住している地区の診療所や病院が利用しやすくなった為か、さらに受診者はマニラ首都圏でも診療所周辺のエリアに限られてきているようです。

それとは反対に、旅行者や永住目的でフィリピンに在住する高齢者の受診が増加傾向にあります。それに伴って感染症や生活習慣病、心筋梗塞、脳卒中や認知症といった疾患の将来の増加が危惧されます。特に短期旅行中に予期せぬ感染症にかかると、帰国延期や予想以上の医療費出費などの問題があり、特に事前の海外旅行傷害保険の加入などには注意したいところです。

感染症では腸チフス8名(前年4名)、デング熱21名(前年12名)、アメーバ赤痢99名(前年73名)と増加しています。反対に急性肝炎4名(前年10名)、性感染症32名(前年54名)は減少しています。

疾患別では、やはり大気汚染や空調、室内外の気温差が激しいためか、頑固な咽頭痛や中耳炎が目立っています。また子供の喘息や皮膚炎などのアレルギー疾患も増加傾向にあります。
下痢嘔吐などの症状をともなうアメーバ赤痢感染は雨季がピークになりますが、一年中認められます。

また昨年マニラ首都圏を襲った戦後最大級の台風の影響で、一週間近く停電や断水が続いた地域もあり、その時期に重なり腸チフスやアメーバ赤痢の発症が目立ちました。デング熱も増加傾向にあり、都市でも散発しています。また蚊に刺されないよういくら注意してもデング熱を発症することがあり、熱帯地域特有の感染症の恐ろしさを思い知らされます。

今年も特別移送機を使っての日本への搬送はありませんでした。しかし心筋梗塞、脳梗塞で初期治療をフィリピンでおこなった後、精密検査のため、医師付き添いで日本帰国した方が数名、また悪性腫瘍や当地専門医を受診しても原因がはっきりとしない病気などで年間十数名の方が精密検査のため帰国しています。

今年度もフィリピン在住邦人の方への健康相談、医療情報提供などで少しでもお役にたてればと思っております。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
高橋 良誌  

◇自己紹介

この3月下旬より、ジャカルタジャパンクラブ医療相談室に赴任しました、高橋良誌と申します。この文章が、最初の寄稿となりますので、簡単に自己紹介をいたします。

静岡県浜松市の出身で、この4月で50歳になります。脳神経外科を中心に8年、救命救急・集中治療を中心に16年、医師になってから24年の歳月が流れました。

私の第一の専門分野は、脳神経外科です。今の制度では2年間は専門分野にかかわらず、内科、外科、小児科、産婦人科、精神科などを広く研修しますが、私が卒業した頃はすぐに専門分野での研修が可能でした。そこで、脳神経外科を選んだわけですが、その理由のひとつは、脳神経外科の教授が非常に魅力的な先生だったことです。その教授は、大学の講義の際に、「100人いる学生のうち、脳神経外科医になるのは、5人くらいのもの。残り95人が、脳神経外科の専門医に紹介する必要性がわかるようになるための講義をする」といって、非常に独創的な講義を行ったものでした。この教授のもとで研修を行えば、「脳神経外科医であり、どんな患者さんのプライマリケアもできる医師になれるのではないか」と考えました。

第二の専門分野は、救急医療です。脳神経外科分野には、同期生も含め人材は多くいましたが、救急医療、特に重症救急患者を診る医師が少ないという時代でした。そこで、自分がその分野をやろうと思い、救急医療に飛び込みました。ジャカルタ赴任前は、千葉県の救命救急センターに16年間勤務していましたが、その中での専門分野は、重症患者の集中治療、中毒、熱傷などの特殊救急といったところです。

重症救急、特に救命救急の分野は、やりがいのある仕事ではありますが、そろそろ後輩にゆだね、自分はまた別の途に歩もうと考えていたとき、このジャカルタでの仕事にめぐりあったのです。専門分野に関わらず、いろいろな患者さんのプライマリケアを行うことは、私が医師になったときの原点でもあります。そして、医師になる前(中学生くらい)から「海外で仕事をしたい」という想いをもっていましたので、この仕事は、私にとってまさに「渡りに船」といった具合でした。

今回の転機に今までお世話になった方々に、挨拶状を送りましたが、脳神経外科を学んだ教授から激励のお返事をいただき、感激しました。50歳にならんとするときに、このような転換を迎えることができ、我ながら、「まだエネルギーが残っているな」と自分で自分をほめています。(妻以外にほめてくれるひとがいませんので)

ジャカルタへは、「初心に還る」「心機一転」そして「念願の仕事」という想いをもって参りました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇“アレルギー”について

この時期に、日本で花粉症の症状(くしゃみ、鼻水、眼の痒みなど)があった方で、当地に来ても症状が出る方は非常に少ないようです(詳しい統計を取っているわけではありませんが、印象としては1割以下、あるいはそれ以下かと思います)。この原因として、日本と中国ではアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)がそもそも違うようです。日本で春季の花粉症の原因として最も多いスギ花粉やヒノキ花粉などは、当地での病院の検査項目(アレルギーの原因を調べる検査で“アレルゲンテスト”と呼ばれています)にも登場しません(詳しくは下記の一覧表を御覧下さい-青文字部分は日本でも比較的よく見られるアレルゲンです)。

こちらで日々診療をしていて感じるのは、いわゆる“花粉症”ではなく、新築住宅の内装塗料(ホルムアルデヒドなど)により、頭痛やめまい、眼・のどの痛み、しつこい咳などの症状が出現する “シックハウス症候群”や、①黄土(中国内陸の砂漠から飛んでくる砂粒)、②自動車・工場の排気物質、③日本で使われていない様々な化学物質(ア. 防腐剤・着色料・保存料などの食品添加物、イ. 様々な香辛料・調味料、ウ. 肉類に残留している抗生物質、エ. 野菜に残留している農薬、オ.美容・化粧用品、カ. ドライクリーニング用薬剤等)が原因と考えられる “アレルギー性皮膚炎”が多いようです。 
日本では一度も出現しなかったのに、中国に来て初めて発症するケースも多く見られます。   

また、もともと“乾燥肌”や“アトピー性皮膚炎”の方が、当地に来て悪化することも多いようです。この原因としては、①寒冷、②極端な乾燥、③極端な温度や湿度の変化、④静電気、⑤ストレス、⑥疲労、⑦何らかの感染症などが考えられます。

(参考)中国におけるアレルゲン(過敏原)について
①季節性のもの
春(~夏):アカシア、ヤナギ、ハコヤナギ、ユウカリなど
(夏~)秋: ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、ノギクなど
②通年性のもの
ダニ、ハウスダスト、カビ類、ペット上皮(イヌ、ネコ)、ゴキブリ
③食物
タマゴ(白身、黄身)、牛乳、トリ肉、牛肉、羊肉、エビ(伊勢エビ含む)、カニ
魚(サバ、サケ、タラ、ハマチ、コイなど)、塩辛(魚、肉、海鮮類など)、貝類(ホタテ貝など)、ピーナッツ、大豆など