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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL06040101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇手足口病に注意

昨年のこの時期、シンガポールではデング熱の流行が騒がれていました。実はその影で手足口病というちょっと変わった名前の病気も流行していて、結局のところ昨年1年間では約15000人の患者さんが出ました。これは平年の3倍にあたります。

手足口病は手、足、口に水泡が出来ることが特徴的であるため、この名前があります。患者さんの多くは主に4歳以下の小児です。

この病気ウイルスにより引き起こされます。原因ウイルスはいくつかあり、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス71といったウイルスが原因となることが知られています。患者さんの多くは良性の経過をたどりますが、まれに急性の経過をたどるものがあります。1997,8年のマレーシアで30例以上、台湾で70例以上の死亡例が見られました。これは中枢神経を侵された結果と考えられます。日本でも同時期3例の死亡例が見られました。エンテロウイルス71による場合にこうした例があります。

今年は隣国のマレーシアのサラワク州やケダ州、ブルネイでの手足口病の感染拡大があり、さらに原因ウイルスの多くがエンテロウイルス71であることがわかりました。これを受けてシンガポール保健省は、3月17日に国内の医師に、手足口病への警戒を書面で呼びかけました。

実際、本年度の原因ウイルスのうち75%までがエンテロウイルス71によるものであるらしいのです。3月半ばまでの時点では患者数が去年より少なかったのに警戒文書が出たのはこのためでしょう。皮肉にもこの文書が出た後、3月下旬から患者発生数が急増しています。

下の図は2001年から2005年までの平均と2005年、2006年の年初からの週ごとの患者数を示しています。昨年、そして更に、今年、流行が拡大しているのがわかります。







手足口病の潜伏期は3-5日で、感染は患者さんからの咽頭からの飛沫、便中に排泄されたウイルスからの経口感染、水泡などから起こります。

便中への感染は症状が消えても2-4週つづくとされています。しかしながら、そのために、お子さんを2-4週自宅待機させるといった措置はとられていませんし、日本の学校保健法でも学校で予防すべき伝染病1-3類に入っていません。シンガポール保健省では症状発現後1週間は休むようにという指針を出しています。

予防に関してはワクチンもなく特殊な予防法はありませんが、うがい、手洗い、特に患者さんの排便後の手洗いを徹底させることなどが重要です。

また、治療に関しても特効薬はなく、対症療法となります。
ただ、高熱が2日続いたり、頭痛、嘔吐、元気がないなどの症状は中枢神経症状を疑いますので、早めに病院にかかることをお勧めいたします。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇腸チフス

腸チフス感染というと日本では法定伝染病であり、診断した医師が直ちに保健所に届け出を行わなければならなりません(二類感染症)。 しかしフィリピンはというと、届け出義務はなく腸チフス感染症は日常的に見られ、症状によって一週間から二週間ほどの入院、抗生物質の治療を経て普通に職場や学校に復帰しています。 また症状が軽度の場合は外来のみで治療をおこなうことも多く、特に就業制限などはせずに仕事や通学をしながら治療をうけています。

在留邦人の方でも、尿や便、血液の培養検査で腸チフス菌が検出され確定診断される例は年間数名ほどですが、血清診断やヴィダール反応(サルモネラ感染症の腸チフス菌、パラチフス菌に対する細菌菌体凝集反応)などが陽性で腸チフス感染疑いのある方々も含めると、受診者は相当な数になります。

邦人が罹患すると「隔離はしなくていいのでしょうか」「ドアや食器をすべて消毒する必要性は?」「本当に完全に治ったのでしょうか」「家族にはうつりませんか」との質問が飛び交います。日本で罹患した場合の保健所や病院での対応とフィリピンでの医師や職場での対応があまりにもかけ離れているため、回答にしばし悩むことがあります。 しかし、1年の間、腸チフス感染症の邦人やフィリピン人の方々と接していて感じたことは、適切な抗生物質をしっかりと2週間程度内服することにより、完治することが多いというのが結論です。重大な合併症や家族内で次々と伝染するような例は一度もみていません。

フィリピン人の感染症専門医が患者にいつも言う注意事項は、加熱したものを摂る事、牛乳や屋台の食べ物には十分注意すること、途中で治療を自己中断しないこと、そして治療中はトイレをしっかりと洗浄すること(普通のトイレ用洗剤で十分)、まめに石けんで手を洗うこと、過労にならないようにすること、などです。

フィリピンに着任した頃は本当にそのような対応だけでいいのであろうかと疑問があったのですが、罹患率の高さと隔離設備が整っているとは言い難いフィリピンの医療事情を考えるとこのような対応以外に方法はなく、またこれらの注意事項を守っていれば、大きな問題がおこることは滅多にないということも実感しています。

サルモネラ菌の一種である腸チフスは、感染した患者の尿や便、それらに汚染された手指、食品、汚染された水から経口感染するといわれています。 過去には死亡率10%ともいわれていましたが、適切な抗生物質の治療をおこなうことにより死亡率は1%未満となります。
全世界では年間2千万~3千万人の人が罹患し50万~60万人の人が死亡していると報告されています。また最も感染しやすい年齢は5歳~19歳と若年であるといわれています。フィリピンも罹患率の高い国の一つです。

症状は突然の38度~40度にのぼる高熱が持続し、強い頭痛、吐き気、食欲不振、下痢などをおこします。無治療のまま放置されると一部は脳炎や腹膜炎、腸穿孔をおこして死に至ることもあります。また治療をうけないと10%がチフス菌を3ヶ月間排菌し続け、2~5%が胆のう等にチフス菌を生涯持ち続けるキャリアとなると報告されています。 従って抗生物質や治療費が高価である国々では適切な治療が受けられないままキャリアとなり、感染した患者の汚染された手指で調理された食品からの経口感染も問題となっています。

治療は抗生物質が中心となります。ガイドラインではニューキノロン系やクロラムフェニコール系の投与となっていますが、フィリピンでは耐性菌も多く、第三世代セフェム系での治療が主流となっています。内服期間は2週間ほどです。多くの症状は1週間以内で軽快し解熱しますが、倦怠感が一ヶ月ほど続くこともあります。 また食事が摂れず、抗生物質の経口内服では効果がない場合は入院し点滴による治療となります。

予防方法は上述した多くのフィリピン人医師が言う注意事項が基本となりますが、その他に腸チフスのワクチン予防接種があります。 ワクチンは不活化した安全性の高いもので、日本国内では未認可ですが、フィリピンでは多くの医療機関で接種可能です。2歳以上が対象で、1回接種することにより完全に予防できるわけではありませんが1年半~2年間、7~8割程度の腸チフス感染を予防できるとされています。 そして多くの病気がそうであるように、感染から自分を守るには日頃から無理をしない健康な体力づくりがさらに予防効果を高めるということを日々の医療相談を通じて実感しています。
 

◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  

◇ジャカルタ州禁煙!

ジャカルタは日本に先駆けて「禁煙運動」に乗り出しました。
2006年2月初旬からジャカルタ特別州では「教育施設」、「児童施設」、「保健施設」、「職場」、「公共交通機関」、「宗教施設」、「公共の場」が“禁煙エリア”に指定されました。「公共の場」には空港、駅、ホテル、レストラン、ショッピングセンター、オフィスビルなどが含まれるそうです。

3月下旬、ジャカルタ市内の鉄道の駅に行ってみました。灰皿は有りませんでしたが駅構内で喫煙をしている人を数人見かけました。
ジャカルタ市内のレストランやファーストフード店には、まだ灰皿を置いているところもあります。インドネシア人ばかりでなく日本人の方も上記の場所で喫煙している方をまだ見かけます。

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室が入っているクリニックビルも禁煙になりました。スタッフたちが通る裏の廊下には日本と同じような「禁煙マーク」が貼られました。

日本でも厚生科学審議会が「喫煙率低下の目標値を設定」することで2006年3月初旬に合意しました。喫煙率低下の目標値を設定するだけでもタバコの売れ行きは落ち込むことを恐れ、たばこ会社は「喫煙は本人がリスクを認識して吸う合法的なもの。国家が介入するのはおかしい」と難色を示したそうです。結局はタバコ会社もおおむね了解をしていただいたそうです。この議論は平成12年にも議論になったそうですが、タバコ会社や与党内の反対で見送られた経過があります。具体的な目標値は今後議論されていくそうですが、禁煙100%を目標値にしてほしいものです。

禁煙は皆様ご自身の「禁煙しよう」という“強い意志”がなければできません。
ジャカルタで医療相談室を担当させていただいてから数えきれないほど多くの患者さんが禁煙に協力してくださいました。
その方達は、ニコチンパッチやガムの力で禁煙に成功したのではありません。
キッカケをご自分で作り、“自らの強い意志”を持って止めて下さいました。

タバコ会社が言うように、「喫煙は本人がリスクを認識して吸う合法的なもの」かもしれませんが、大切なご家族や周囲の人への「受動喫煙」の害を与えていることも認識してほしいと思います。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇海外赴任時の予防接種(成人)について

新しく赴任される方が多くなるこの時期、中国、特に大連市において必要な予防接種について簡単に述べさせて頂きます。

大連市に引き続き3ヵ月以上滞在される方は、基本的に以下の予防接種をお勧めします(成人)。

大連市内において、優先順位の高い順番からすると、
(1)A型肝炎(2)破傷風・B型肝炎(3)狂犬病だと思います。

(1)A型肝炎
ただし、小児の場合は、感染しても症状が軽め(感冒様症状のみ)であること、小児への接種は基本的に親の同意書が必要であること(予防接種で 健康被害、つまり万一、副作用が出た場合の国としての法的救済が無い)などの理由で、実際には接種しない方が多いようです(ただし、副作用の大部分は局所の腫脹や発赤、軽度の発熱ぐらいです)。


(2)破傷風については、怪我により、“出血するような程度の傷”が出来た場合に、土壌中などに通常存在する破傷風菌が体内に入る可能性が有ること、発症した場合には、非常に重篤な場合が有るなどの理由で、二番目に必要と考えます(ただし、子供の場合は、三種混合ワクチン「DTP: ジフテリア、破傷風、百日咳」の抗体がまだ有ると考えられる場合、成人でも生まれた年あるいは最終の接種からどれくらいの時間が経っているかなどにより、必要な場合と必要でない場合があります)。

(2) B型肝炎については、基本的に(A型肝炎と異なり)食べ物ではなく、体液(血液など)を介して感染するので、通常は、体液を介した感染リスクの高い医療関係者などは必須です。

しかし、海外で輸血を必要とするような事態(交通事故など)になり、当地で輸血をするような可能性、性行為で感染する可能性、当地では肝炎患者は“感染症専門病院にて、一定期間、隔離の対象となる可能性があること”などを考えると“リスクが高いと考えられる”場合には接種を考えてもよいかと思います。

(3)狂犬病については、基本的に犬に噛まれてから治療(注射5回)しても間に合うのですが、噛んだ犬(や猫、コウモリ、リスなど)が狂犬病であった場合(噛まれても発症しないこともありますが、その犬が狂犬病かどうか普通はわかりません)、なおかつ、運悪く発症してしまった場合には、ほぼ100%助からないこと、中国では飼い犬でも“無許可かつ狂犬病予防接種未接種”の場合が多いことなどを考えると接種した方が良いかと思います。

(追加1)
日本脳炎については、農村部(特に中国南部)に3ヵ月以上滞在する可能性がある場合には必要(特に、抗体が残っていない可能性がある成人の場合は追加接種が必要)です。
しかし、少なくとも、(成人の場合)中国大連市内においては追加接種は必要ないと思われます。

(追加2)
小児の予防接種、特に1歳未満の場合の三種混合ワクチン(DTP:ジフテリア(D: diphtheria)、破傷風(T: tetanus)、百日咳(P: pertussis))やポリオ経口生ワクチン、麻疹(M: measles)、風疹(R: rubella)、流行性耳下腺炎(M: mumps)、水痘(水ぼうそう varicella)などの予防接種に関しては、医療相談室に御相談下さい。

この他、各予防接種の接種時期・接種間隔あるいは接種回数の問題、BCG(結核)の予防接種、中国で既に使用されているMMR混合ワクチン、日本でも認可される予定のMRワクチン(麻疹、風疹)、(副作用が一時問題となった)日本脳炎予防接種の可否、あるいは日本あるいは他の国で予防接種を途中まで済ませている場合、妊娠中の予防接種あるいは、予防接種後の避妊の必要性など、様々なケースがあるかと思いますので、個別に御相談下さい。

(追加3)
(1)リスクの高低に応じて、接種する種類を選ぶことが大切です。
(2)大連市内ならびに開発区で、接種可能です(市内の“衛生保健中心”ならびに各地域の“防疫所(日本でいう保健所に相当します)”)。
特に2回目(約4週後)や3回目(約半年後)が必要なものは当地にても接種可能です。
(3)日本では同時接種(右腕2本、左腕2本等)可能ですが、中国では“原則として1本ずつ”です。
(4)費用は希望する予防接種の種類や、ワクチンの生産国により異なります。