• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

海外医療相談 (会員用メニュー)

会員ID(半角英数字)

パスワード(半角英数字)

会員用メニュー(海外医療相談)
の内容についてはこちら>

ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL06010101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇シンガポールの少子化対策

昨年、日本に在住する日本人の数が減少に転じたという発表がありました。出生数から死亡数を引き算した数を計算しますと1万人のマイナスで、1899年に統計を取り始めて以来、初めての自然減となったようです。高齢化と少子化が進んだことの当然の結果でしょう。また、日本人の女性が生涯に何人の子供を生むかという数字を表す合計特殊出生率(以後は略して出生率とします)は1.29を下回るとされ、少子化が深刻化しています。

シンガポールではどうかといいますと経年的には減少傾向にあり2003年には出生率は1.26と日本以上に低い数字を示しました。人そのものが唯一の資源とも言えるシンガポールにとっては深刻です。女性が初めて子供を持つ年齢の平均も31歳となっています。これは30歳代前半の男性の31%、女性の20%が未婚で40歳代前半でも15%が未婚であるといったことから窺える晩婚化が影響していると思われます。

2000年、2001年に施行された法律で子供をもつ家庭の税金の低減などで毎年2億ドル、子供が生まれた家庭へのボーナスとして1億ドルが使われましたが、少子化は止まりませんでした。政府は子供は3人が理想と言っています。

そこで2004年8月、政府は新たな対策を発表しました。
家を買うと独身者には11,000シンガポールドル(約72万円)が政府から支給されるのですが、これが結婚した夫婦なら2倍以上の29,000ドルが支給されることになりました。(実際にはCPFというFUNDに入ります)結婚しているほうがより多くの経済援助が受けられるということで、結婚を促し、子供をもうける機会を増やすという目的のようです。

また、子供に対する経済的援助も増強されました。これは今までは第2子と3子が対象でしたが、2004年8月からは第1子と4子にも拡大されました。生まれた子が第1,2子ならば現金で3000ドル、第3,4子なら6000ドルが支給されることになりました。
そのほかに親が子供のために預金を行なうと、その行なった預金額と同額の金銭を子供の口座に入れてくれるという制度も増強され、第2子ですと6000ドル、第3,4子ですと12,000ドルが政府から支給されることになりました。

少しわかりにくいので例を挙げますと、ある家庭に第3子が生まれた場合、その子はまず、政府から6000ドル(4回の分割払い)を受け取ります。そして、親が2年以内に12,000ドルを子供のために預金すると政府が同額の12,000ドルをその子の預金に入れてくれるというものです。これ以上の額を入れても12,000ドルですし、1,000ドルしか預金できなければ政府が入れてくれる額も1,000ドルとなります。

子供にかかる経済的負担を考えると良い制度ですが、ある程度、経済的に余裕のある家庭にとって有利な政策です。僅かしか預金に回せない家庭にとっては経済的援助は少ないものとなるからです。

2005年度上四半期は出生率が1.29と少し上昇したとの報告がなされていました。2005年一年ではどうなったのでしょか。公式発表が待たれるところです。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇破傷風

フィリピンのマニラで初めて過ごした年明けはとにかく騒がしい1日でした。何が騒がしかったかというと年が明ける深夜に一斉に鳴らす爆竹や花火の音が騒がしく、これが半端ではありませんでした。フィリピン人の知り合いいわく“音が大きいほど興奮する”とのことでした。

普段は閑静な高層ビルが密集する住宅街で過ごした大晦日は、噂にはきいていましたが、深夜の年が明けた瞬間に爆音と花火の音に包まれ、人との会話が困難なほどでした。

瞬く間に煙が立ち込めベランダから火花が落ちてくると思ったら、我がコンドミニアムの屋上から大規模な花火を打ち上げていて驚きました。他のコンドミニアムやホテルからも花火が打ち上げられ、道端ではあちこちで爆竹を鳴らしていました。しかも目の前まで火花が飛んでくるため、身の危険を感じベランダの窓を閉め部屋で過ごしました。

この爆音は年が明けて数時間は続き、朝起きても視界を遮るほどの煙が立ち込めていたのには驚きました。

翌日新聞の見出しには流れ弾が当たるなどして数名が死亡、爆竹等で600人以上が負傷とかかれていました。病院の救急外来は深夜から手や足などを負傷した患者でごった返していたとのことでした。

これでも5年前までは1000人以上が負傷していたということなので、政府が昨年から爆竹等の使用を控えるよう再三注意をよびかけていたことにより患者、死者数は減少してきているとのことでした。

そして年があけてから一週間たつと今度は爆竹で負傷した後適切な手当てを受けずに放置していたことにより破傷風にかかった10代から30代の患者が首都圏の病院に何人も運ばれているとの記事が載っていました。破傷風菌が繁殖しやすい成分が火薬に含まれており手や足の傷から感染しやすくなるとのことでした。

ある病院の報告では過去に爆竹の負傷者が破傷風に感染し入院した患者の到死率が60%にのぼるということでした。

破傷風とは破傷風菌の芽胞が創傷面から体内に進入することにより感染するとされ、潜伏期間は3日~3週間ほどで、到死率は10~90%と各国の報告に幅があるようです。

世界的にみると年間数百万人以上の発生が報告され、ほとんどが開発途上国の新生児に集中しています。フィリピンでは人口に換算すると年間20万人以上が発生しており、中でも1歳未満の発症率は1歳未満児全体の7%以上にのぼるとのことです。
日本での発症は年間40~50人前後であることを考えると非常に高い数値であることがわかります。

症状は受傷部位の違和感、口が閉じにくくなり(開口障害)しだいに発語障害、筋肉の緊張、硬直が出現し、全身痙攣や呼吸障害となり高率に死に至るという経過をたどります。感染部位となる外傷がはっきりしないことも多く、庭いじりなどで気づかない傷でも発症することがあるということです。

治療は創傷部位の消毒に加え、免疫グロブリン、抗生物質の投与が行われます。予防方法としては破傷風の予防接種があります。日本では破傷風のワクチンの接種を生後義務づけていますが、フィリピンではいまだ予防接種の普及率が高くないことや、生活環境の影響によることから感染機会が増えると推測されます。

大人の破傷風予防接種は3回の接種(初回、1ヵ月後、約1年後)で5年間有効とされており追加接種を5年毎に行うことがよいとされています。

大きな傷を受けた時の対応としては免疫がない場合は破傷風免疫グロブリンを接種したり、予防接種を行っていても5年以上経過している場合は破傷風ワクチンを1回追加接種したりします。破傷風の予防接種の効果は大きく、副作用が非常に少ないため、広く勧められています。

今回フィリピンにおける成人の爆竹受傷後の破傷風発症が増えている原因として、受傷した時に医療機関に行かず、十分な手当てをおこなっていなかったり、症状が進行するまで医師が破傷風の診断に至らず治療が遅れたことなどが指摘されています。

開発途上国ではいまだ破傷風の発症率が高いことを考えると、海外赴任や旅行前には小児に加え大人も予防接種や追加接種をされることをおすすめします。


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  

◇セカンドオピニオンを聞いてみませんか!

「セカンドオピニオン」という言葉を耳にした方は多いと思います。しかし日本はもとよりジャカルタでも実際に行うのはなかなか難しいようです。病院・クリニックが資料を快く開示したり、渡したがらないからです。

私は、患者さんご自分の病気について不安なときには是非ともセカンドオピニオンを聞いていただきたいと思います。そのときにはそれまでの検査結果や内服薬、医師の指示、病気の経過などが正確にわかれば更に良いでしょう。

セカンドオピニオンとは、患者さんが担当医師以外の医師に診断や治療方針などについて相談し、自分の受ける治療が妥当か、納得できるものかどうかを検証する権利です。

ジャカルタには日本人医師と日本語がある程度分かる医師が合わせて数名しかいません。このような環境下でセカンドオピニオンを聞くことは非常に大切なことです(言葉や文化の違いを言っているのであり、日本人や西洋人医師の能力のほうが勝っているという意味ではありません)。
患者さんがいかに納得して検査や治療を受けたか、自分の病気の診断名は何なのか、自分の内服している薬は何のためなのか、改善しない場合はどうすればよいのか、など理解をして、より良い“患者―医師”関係を作っていただきたいと思います。

患者さんの中には「他の医師の意見も聞いてみたい」、「自分の医療情報も提供してほしい」、と思っておられる方は多いと思います。しかし目の前の担当医への「気まずさ」がなかなかそうはさせてくれないのでしょう。医師のほうもセカンドオピニオンに慣れていないため「他の医師にセカンドオピニオンを聞きたい」と言い出されると「俺が信用できないのか!」という言葉や態度をあらわにします。

患者さんの不安な心への思いやりのなさや不足、認識の低さがそうさせているのでしょう。
また医師の高いプライドや人間としての器量の狭さも大きく関与しています。普段は患者さんに十分な対応をしていないにもかかわらず、いざ他の病院やクリニックへ行くとなると途端に「客が取られる」という意識が働くのでしょう。

“患者は医師の言うことを聞いてさえいればいいのだ”、という時代は終わりました。
私が赴任して以来、重症の病態の患者さんも多く受診されました。
診断法や治療法も非常に速いスピードで年々進歩しています。医師一人がすべての病気に対応できる状況ではなくなっています。

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室では患者さんがいつでもどこでもセカンドオピニオンを聞けるように、撮影したレントゲンフィルムや血液検査、エコーの結果などを患者さんにお渡ししています。
日本、インドネシアを含めてどこの国へでも紹介状(医療情報提供書)をいつでもお書きしています。
患者さんを中心にした医療を一緒にすすめていきましょう。
ご遠慮なさらずにお申し付けください。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇鳥インフルエンザ続報

大連市中心医院の星野です。以前、鳥インフルエンザならびにヒトインフルエンザについて御報告させて頂きましたが、中国における、その後の発生状況ならびに中国政府の対応等について再度、御報告させて頂きたいと思います。

中国疾病予防コントロールセンターは、先月の20日、国内の感染症から採取した鳥インフルエンザウィルス(H5N1型)のサンプルならびに同ウィルスの遺伝子に関する情報を世界保健機関(WHO)に初めて提供したことを報じました。また、同日、中国国内のウィルスの特徴について“ベトナムで検出されたH5N1型ウィルスの遺伝子配列と異なり、一定程度の変異がみられる”との分析結果が明らかにされています。

また、30日、中国衛生部は福建省三明市(省の中心部)における鳥インフルエンザ感染病死例の発生を発表しました(15日に確認された 江西省遂川県の35歳男性に次ぐ7人目のヒト感染症例[安徽省、湖南省、広西チワン族自治区、遼寧省に次ぐ]かつ3人目の死亡症例[安徽省、湖南省に次ぐ]になります)。

本症例は41歳女性。福建省在住の工場労働者。12月6日に発熱などの肺炎症状を訴えて入院しましたが、21日に死亡しました。13日福建省疾病予防センター(CDC)が行った血清検査では陰性であったが、後に行ったDNA検査の結果は陽性であり、患者標本からウィルスが分離されました。WHOならびに中国政府・衛生部専門家は当該患者が鳥インフルエンザ(H5N1型)であると診断しました(鳥との密接接触の経緯については発表されていません)。

一般に、鳥インフルエンザ患者は、子供ならびに若年者に多く発症し(患者のうち20歳以下が3分の2前後であるといわれています)死亡率が高い(約50%)とされています。

本症例は成人例であり、若年者以外でも注意が必要であると考えられます。子供の発症率が多い理由として“子供は家禽と身近に暮らし、餌やりを受け持つなど、病鳥と濃密接触しやすいこと”、“子供は一般に抵抗力が弱いこと”などの理由が想定されていますが、確証はいまだに得られていません。

患者の発病後、当地衛生部門は、相応の防疫措置を講じ、患者の密接接触者に対して経過観察しているが、現時点では異常はみつかっていないとしています。また、獣医部門の調査では動物への鳥インフルエンザは発生していないとしています。

しかし、一部報道によると、家禽の死骸や糞便からウィルスが検出された場合には公表されない可能性もあること、主な発生地域である農村では医療関係者が極端に少ないなどの理由で、監視システムが十分働かない可能性もあること、実際に感染していても、症状がひどくない場合には医療機関を受診しないこともあるために、いわゆる“軽症患者”が見過ごされている可能性もあることなども指摘されています。

また、24日、中国農業部は鳥インフルエンザとニューカッスル病の2つの家禽伝染病に対応した家禽用混合ワクチンの開発に成功したことを発表。現在の鳥インフルエンザワクチンより安価であること、噴霧による投与が可能であるなど、中国における全家禽に対する無料ワクチン投与政策への貢献が期待されています。