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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05110101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇シンガポールでの喫煙

愛煙家にとってはますますつらいことになりそうです。シンガポールでは去る10月1日から公営のプールやスタヂアム、コミュニティークラブでの喫煙が禁止されました。2006年7月にはコーヒーショップやホカセンター(昔の屋台が集合した小食堂の集合体のようなもので、多くの人が利用しています)での喫煙も禁止されることになっています。

禁煙への改革は徐々に行なわれてきました。1970年、公営のバス、映画館、劇場で禁煙となり、1973年、エレベーター、1982年、娯楽施設、1988年ファストフード店、1989年、エアコンのきいたレストラン、1992年、エアコンのきいた床屋、ヘアサロン、1994年にはエアコンがきいた仕事場に拡大され、さらに、1995年には公共の場での列に並んでいる際の喫煙が禁止されました。1997年にはエアコンのきいた店全てでたばこは吸えなくなりました。シンガポールはエアコン普及率が高いので一部の廉価店を除いてほとんどの店で煙草が吸えなくなったといってもいいでしょう。

18歳から69歳までのシンガポール国民の喫煙率は1992年に18%でしたが、2005年には14%に減りました。特に男性では33%だったものが24%になりました。ところが若い女性、特に18-24歳では2.8%から8.2%へ上昇しています。この年齢では男性の喫煙率は29%から24%に下がっているにもかかわらずです。

日本人男性の喫煙率はかつて80%くらいでしたが近年ようやく50%くらいに下がってきました。しかし、まだまだ喫煙大国です。日本でも特に若い女性では喫煙率が上昇し、20代、30代では約20%になっています。

シンガポールでは煙草に関する宣伝は一切、禁止され、煙草を売っている店でもカウンターの奥にしか陳列されていません。買わない限り直接には手に取れないのです。価格の取り決めは一箱に20本以上入りで最低7シンガポールドル(1ドルは約65円)以上とのことです。ちなみに私がシンガポールのコンビニエンスストアで見た限りでは最も安いもので8ドル70セントでした。煙草の箱には警告文だけでなく、煙草のために機能不全になった臓器の写真や煙草のために苦しむ乳児の写真などがカラーで掲載されています。

愛煙家には住みにくい国のようですね。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇鳥インフルエンザ対策

つい先日フィリピンの一部の地域で携帯電話のメールを通じ「ネグロス島(フィリピン国内の島)で高病原性鳥インフエンザウイスルに感染した鶏を発見した。鶏は食べないよう注意」との噂が1日にして広まりマニラ首都圏にまで噂が発展、政府が地元新聞を通じ事実無根と弁明した出来事がありました。鶏は安く手に入り庶民の重要な食源となっているため鶏が食べられなくなるという噂は我々の予想以上に混乱をまねく結果となりました。

余談になりますが、フィリピンではここ数年で飛躍的に携帯電話が普及し、まだまだモノクロのシンプルなものですが、携帯電話を通じてのメールはなによりも費用がかからず瞬時に連絡がとれるため、あらゆる年齢層での必需品となっています。

日本と違うことはかなりの高齢者や電話線が通らない村に住む人々も携帯電話をたくみに操り、家族間のコミュニケーションに留まらず学校からの連絡事項や仕事上の重要な連絡などもさかんにプッシュフォンをすばやく押しながらやりとりをしているところです。

まだパソコンの普及率が低い中、携帯電話は誰でも簡単に手に入る重要な伝達手段となっています。このようなこともあり携帯メールを通じての噂は若者にとどまらず、瞬時に全ての年齢層の人々に広がってしまうのも納得がいきます。

インドネシアをはじめフィリピン周囲のアジア諸国では高病原性鳥インフルエンザのヒト、鳥への感染が報告されていますが、島国であることが影響しているのか、現在のところまだフィリピンでは高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥、ヒトは確認されていません。

政府は鳥インフルエンザ対策として少しでも感染の疑いのある鳥を発見した場合はただちに保健所に報告することや手洗い、うがいなどの励行、放し飼いにしている鶏舎やアヒルなどに近寄らないこと、生きた鳥を扱う市場へは、不用意に立ち寄らないことなどを警告しています。それに加え、特に渡り鳥が侵入しやすいセブ島をはじめとした各島々の拠点や港の監視の強化をあげています。

町を抜けるとたちまち川、森林、山脈、海の広大な風景が広がるフィリピンでは放し飼いで町を走り回っている鳥は非常に多く、しかも人々が生活するうえで鳥との共存が必要な場合が多いため実際に鳥への感染が広まると国全体が大きなダメージを受けることは必須のようです。

諸外国同様にフィリピンでも抗ウイルス薬(タミフル)の備蓄をしようと政府は努力していますが、先進国からの再入荷を待っているところで数ヶ月先になりそうです。つい数ヶ月前まではどこの薬局でもタミフルは購入できたのですが、突然市場からタミフルが消え、処方箋があっても薬局では手に入りづらくなっています。薬が安価で手に入るようフィリピン国内でのタミフル生産の準備も始めていますがまだ実際の生産開始にはいたっていません。

フィリピンに住む邦人、各企業単位でのタミフル備蓄を希望される場合は現時点ではフィリピン国外で調達したほうがよさそうです。こういった事情の中本当に高病原性鳥インフルエンザの感染がヒトからヒトへ急速に広まった場合の対策はいったいどこまですればいいのかは非常に難しい問題であり、限界を感じるものであります。

 

◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  

◇インフルエンザに罹らないために―インフルエンザはどうやって感染していくの?

近い将来、新型インフルエンザ(鳥インフルエンザウイルスの突然変異)によるパンデミック(地球規模の大流行)が起こるのではないかと危惧されています。
私たちはインフルエンザに罹らないためにどうすればよいのでしょうか。
予防法はどのようにしたら良いのでしょうか。

予防法を知るためには、インフルエンザがどのようにして感染するのかを知る必要があります。ここでは鳥インフルエンザについてではなく、通常のインフルエンザについて話をします。

結論から話します。インフルエンザの感染の仕方には
1)飛沫感染(くしゃみ、咳などを直接吸入する)
2)飛沫核感染(空気感染―空気中に漂っているウイルスを吸入する)
3)接触感染(手や口で患者の鼻水や痰に直接接触する)
があります。

1)飛沫感染について
1回のくしゃみで約200万個のウイルスが秒速30~50mで呼出されるといわれています。このウイルスを鼻や喉から直接吸入して感染します。気道分泌物や唾液から移ります。

2)飛沫感染について
咳やくしゃみで呼出された小さなウイルスを含んだ粒子はかなり長い時間空気中に浮遊し続けます。またいったん床に落ちたウイルスを含んだ粒子も空気の動きとともに室内に舞い上がって浮遊し、感染を広げていきます。これが飛沫核感染(空気感染)です。
飛沫核感染が起こる場所としては、病室、家庭、公共の場、そして航空機内での感染があります。
飛沫核感染によって感染する他の代表的な疾患例は、結核、麻疹(はしか)、水痘があります。

3)接触感染について
ウイルスは患者の鼻汁や痰、咳の中に含まれるので、鼻水を拭いたり、痰をふき取ったりした手に付着します。この汚染された手や物品から周囲の人に接触感染していきます。したがって、手洗いは非常に重要な予防手段なのです。

“インフルエンザウイルスは何時間くらい生き続けているのですか?”
というご質問をいただいたことがあります。幾つかの論文を調べたところ、基本的には「インフルエンザウイルスは低温、低湿度の環境下で、より長時間感染性を保持している」ようです。
ウイルスにとって住み心地の良い条件下では数時間から1週間も行き続けられるのだそうです。
したがって予防策としては低温、低湿度にならないような環境を作ることが大切になるわけです。

実際の予防法について
一般に風邪、インフルエンザの予防には、マスク、うがい、手洗い、それにワクチンといわれています。
しかし一般のマスクはウイルスが通り抜けてしまい、完全にふさぎとめることは困難です。
ポピドンヨード液を用いたうがいも、うがい液が届く咽頭部は予防できますが、それより奥の喉や鼻の粘膜への感染は予防できません。
でもマスク、うがいにより咽頭粘膜を外界の粉塵や細菌から守り、粘膜の保湿に役立つことから、局所の感染防御に役だっているであろうと考えられています。
また、手洗いは前に書いたように、接触感染の予防につながりますので行うほうが良いでしょう。
また、インフルエンザワクチンを接種して抗体を産生させて感染を防御することも大切です。

そして何よりも、ご自分の身体を常に病原体にも負けないような抵抗力をつけておくことが大切でしょう。普段から食事、睡眠などの自己管理、タバコを禁煙することなども非常に大切なことです。
しかしインフルエンザのような地球規模の感染症予防は個人の力だけでは不可能です。ご家族、在住の社会においてはもちろん、世界中の国々との協力をしていく心構えが大切だと思います。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇トリインフルエンザについて

大連市中心医院日本人医療相談室の星野です。
各種報道で取り上げられておりますトリインフルエンザについて、特に“中国におけるトリインフルエンザの状況ならびにインフルエンザ治療薬タミフルの中国国内での備蓄状況”に関して御報告させて頂きます。

まず、はじめに、トリインフルエンザの診断・治療・予防について簡単に述べたいと思います。

診断
初期症状は発熱、関節痛、呼吸器症状などです。従って、初期にはヒトインフルエンザとの鑑別は非常に困難です(トリインフルエンザのDNA検査は一般の病院では不可能です)。
(重症例では)上記症状に引き続いて、消化器症状(消化管出血など)や腎不全などの多臓器不全を引き起こし死亡する可能性があります。

治療(タミフルの有効性)
タミフルはある程度有効であるとされています。ヒトトリインフルエンザ患者が発生した場合に、周囲の人々が予防服用をすると良いようです(ただし、無効例もあるようです)。

予防(ワクチンについて)
ヒトインフルエンザ用は一般に無効とされています。しかしながら、ヒトインフルエンザによる症状とトリインフルエンザによる症状は、鑑別が難しいことが多いために、同様の症状の患者が発生した場合に“混乱が予想される”ため、ヒトインフルエンザの予防接種が一般に勧奨されています(ヒト用の“正規のトリインフルエンザ用ワクチン”は現在、開発段階です)。

注意事項
*なるべく、鳥の解体作業現場、養鶏場などに近寄らないようにする。
*鳥の糞に出来るだけ注意する。卵に付着している可能性も否定できないため、よく洗ってから調理する。
*鶏肉を生で食べない。必ず、よく火を通す(十分に加熱すればウィルスは死滅します)。
*(SARSと共通の注意事項として)手洗い、うがいを励行する、人ごみを出来るだけ避けるなどの注意が必要です。

(補足ならびにインフルエンザ治療薬タミフルについて)
(1)湖南省の擬似症例(3名中1名死亡)については現在、関係当局が調査を行っているところです(まだ、結論は出ていません)。
(2)遼寧省黒山地区(瀋陽のさらに北部の地域)にてトリインフルエンザによると思われる“トリの大量死”が確認されたが、ヒトへの感染はまだ認められず、現在、検疫所等がトリを含めた家畜の処理ならびに流通に対する管理を強化している。
(3)ヒトインフルエンザのタミフルはある程度有効である(だだし、無効例の報告も有り)。
(4)中国国内のタミフルの備蓄量については現在まで公式な発表は無く、今後も発表されない可能性がある。
(5)中国系病院の一部(例えば北京の中日友好病院など)では処方可能であるが、在庫数量は非常に少ないと推測される。
(6)SOSクリニック(上海・北京)、龍頭クリニック(北京)、ユナイテッドファミリー系列病院(上海、北京)、上海グリーンクリニックなどの一部の外資系クリニックではタミフルの処方は可能ですが、在庫量に関しては不明です。
(7)中国国内の薬局ではたいていの薬は葯房(薬局)で、処方箋なしで購入可能ですが、(確認した範囲では)タミフルに関しては、薬局では購入不可能な状態です。
(8)他の国から個人的に(手荷物として少量)持ち込むことは可能かもしれませんが、大量に持ち込む場合には(届け出・許可を得ていない場合には)、関係法規上、問題となる可能性があります。
(9)ヒト用の“正規のトリインフルエンザワクチン”は、現在、開発段階にあります。