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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05100101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇シンガポールの子供たちと近視

シンガポールの子供たちには近視が多い。9歳までに34%、12歳までに65%,18歳までには75%が近視になるという。
ちなみに日本はどうかというと、幼稚園で20%、小学校25%、中学校50%、高校では60%の生徒が近視だそうでけっこう多い。
しかし、シンガポールは日本よりさらに近視の子供たちが多いことになる。ちなみにお隣、マレーシアでは12歳までに20%,中国の広州では40%だそうである。

近視には遺伝的要因があるとされ、研究が進められているが、環境要因も大きい。研究によれば、週に2冊以上本を読む子供は、そうでない子より3倍、近視になりやすい。
コンピューターを定期的に使う子は2倍、(また、IQテストで好成績の子は2.5倍、近視になるリスクが高いそうである。)目の酷使が近視の大きな要因のようだ。
この背景には高い教育熱がある。ほかに天然資源のないシンガポールにとって資源は人なのである。


さて、昨今、近視の外科的矯正手術として、LASIK( laser in-situ keratomileusisの略、適応はシンガポールでは21歳以上)が、日本でも一部の眼科医院で行われているが、シンガポールではこれをSINGAPORE GENERAL HOSPITALにあるNATIONAL EYE CENTERで大々的にやっている(この病院はシンガポール東部地区の中心病院で、西部地区のシンガポール国立大学病院と双肩をなす、シンガポールの最大にして中核の病院である)。 

1992年、東南アジア地域では初めて、この手術がここで行われ、以来、既に、2万件近い件数をこなしているとのことである。費用は今では3000シンガポールドル(1シンガポールドルは約65円)ほどである。
近視の国民が多いために発達したのだと素直に考えればよいのであろうが、利潤が期待できるので発達させたと考えたほうが自然のように思われる。

猛勉強して、近視になってLASIKで治す。これもあらたな流れなのだろう。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇生活習慣病

10月はじめに東京でシンガポール、大連、ジャカルタおよびマニラの各拠点医師、産業医による情報交換会が行われました。
テーマは「生活習慣病」で各国の在留邦人と生活習慣病発症状況及び海外赴任前の生活習慣病に対する企業側のアプローチなど大変興味深い内容ばかりでした。

今回はフィリピンの「生活習慣病」状況、在留邦人の生活習慣病発症とリスクについて報告いたします。

近年フィリピンでは罹病率のトップ10に依然として結核、マラリア、下痢がある中、第5位に高血圧、第7位に心疾患という生活習慣病関連疾患が上位を占めているという興味深い統計となっています。
また死亡率は第1位が心筋梗塞、第2位が脳血管障害、第3位が悪性疾患です( Philippine Health Statistics 2003, DOH )。
フィリピンにおける大規模調査ではフィリピン人女性の平均体重は20年前に比べ10kg前後増加し実に30%以上が肥満と報告されています。
また糖尿病患者は人口の約4%を占め、マニラ首都圏では小児の糖尿病患者が増加しているといわれています。

フィリピンにおける小児の体型も低体重、低身長の割合が減少し、5%未満ではあるものの肥満児がここ数年で確実に増え続けているということです。
肥満増加の要因は、高カロリー食が容易に手に入るようになり、安価なファーストフード店の普及、交通の発達による運動不足、コンピューターや電化製品の普及などが一因のようです。

一方で、在比邦人の生活習慣病の受診率も年々増加しています。
原因は様々ですが上述したようなフィリピン全体の生活習慣の変化が在留邦人にも影響していることはいうまでもありません。
単身赴任で外食の機会が増えること、外食の内容も日本と比べると量も非常に多いうえにカロリーは高く塩分や糖分が多く含まれていることなども要因となります。

交通手段は車しか選択肢がなく近距離でも車を使用するため歩く機会が激減します。
またアルコール量がどうしても増えてしまうケースが多いのが現状です。
それに加え海外生活における様々なストレス(職場の人間関係、過重労働、家族の問題など)も加わり生活習慣が悪化することもあります。
さらに日本で治療を続けていたにもかかわらず、忙しさから赴任後に受診せず薬を自己中断してしまう方もおられます。

生活習慣病のリスクを十分理解しているにもかかわらず「どうしてもアルコールはやめられない」「おいしいから食べてしまう」「自分は大丈夫」とつい自分の健康を過信してしまい、単身赴任であるがゆえ生活習慣の乱れを自分はもとより周囲がなかなか気づかないという問題があります。

また健康診断を数年せず自覚症状がないまま病気が進行してしまうこともあります。
赴任期間が長くなるほど体重は増え血圧も高くなる傾向があり、心筋梗塞や脳卒中などになるリスクは増えてくると推測されます。

フィリピン赴任中はどうしても体重が増えてしまう数々の要因をご理解いただき、赴任後は定期的な生活習慣の見直し、体重の自己チェックなどは大切です。

日本ですでに治療が始まっている場合は当地でも治療の継続は可能です。
その場合は今までの経過や投薬内容を含む診療情報提供書(可能であれば英文)を持参していただければ治療の継続がスムーズにいきます。
特に病気をすでに抱えている方は当地赴任後も数ヶ月に一度は定期的な検査をされることをおすすめいたします。
 

◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  


◇医療情報提供書(紹介状)

インドネシアに派遣されるときには医療情報提供書(紹介状)を書いてもらいましょう。
日本へ帰国するときは医療情報提供書(紹介状)を書いてもらいましょう。

有難いことに日本から医療情報提供書を持参してくださる患者さんがたくさんいます。
紹介される側の医者としては大変助かります。患者様の医療情報が的確にわかることはいうまでもありません。たった一枚の紙ですが多くの情報が含まれています。患者様の今後の体調の変化を紙一枚の情報で判断、計画をしていく大切な情報源なのです。

医療情報提供書の中身は
1)患者さんのこれまでの病態・経過、
2)症状の急変時の対処方法
3)病態が変化時の対処法
2)内服薬の内容
3)アレルギーの有無
4)合併症の有無
などが書かれています。
これらのことが記載されていることにより医療情報提供書をいただく側としては、今後どのような点に注意をして患者さんを診ていくべきかが非常に判断しやすくなります。

日本の病院を含め外国の病院、当地の病院へ私から医療情報提供書を書くことも多くあります。目的は様々です。「緊急入院の依頼」、「精密検査の依頼」、「診断・治療のアドバイス依頼」、「今後インドネシアで生活するに当たってのアドバイス願い」、などです。

ジャカルタに派遣されて1年半になりますが、国内外含めこれまで約500件以上の医療情報提供書を書かせていただきました。
これらに対し、有難いことにほとんどお返事をいただきました。

患者様にとってはあっちへ行ったり、こっちへ行ったり、紹介されるのも楽ではないでしょう。でも今後のご自分の命を預ける“紙”です。

医師のほうから“書きましょうか”という申し出がない時は患者様のほうから依頼しましょう。そしてすでに検査をしている場合は検査データ、レントゲンフィルム、エコーや心電図のコピーなども添付してもらいましょう。もともとこれらのデータは患者様皆さんのものなのです。遠慮せずにいただいてください。担当医は快く対応してくれるはずです。

個々の医師の専門分野は異なります。現代医学は自分ひとりで何でも完璧に診断・治療ができる範囲を超えています。適切な時期に、適切な医師にセカンドオピニオンや診断・治療を仰ぐことは患者様のことを考えれば当然のことであり、そして最良の方法でもあります。

インドネシアから日本の医師へ書いた場合、日本の医師にとってはインドネシアでの病態・経過がわかることは帰国後の治療をしていく上で貴重な情報となるはずです。一から十まで患者様が自分で病状を新しい医師に伝えるとなれば、大変なことです。

日本の医師からインドネシアに医療情報提供書を書いてもらうことは、言葉や文化の異なる場所で生活する患者様にとっては非常に心強いことです。ぜひとも書いてもらいましょう。

しかし患者様も総て医師任せではいけません。
医療情報提供書を書いてもらうのはもちろんですが、以下のような説明もきちんと受けてください。
・笑い話のような話ですが、ご自分の病名さえ知らない患者様がいます。
・自分の病名や内服している薬の名前はなになのか?
・何のためにそれぞれの薬を内服しているのか?
・薬を内服する必要性は本当にあるのか?
・薬の副作用の説明は受けたか?
・副作用が出た場合の対応策は?
・生活上何に気をつけるべきか?

病気は医師だけでは治せないことも多くあります。お子様にとってはお母様のほうが医師よりもすばらしい“担当医”であることが多いものです。

患者様にとって最良の医療は何なのか?
適切な時期に専門医へ紹介して的確なアドバイスを受けることは海外で生活する皆様にとっても、我々医師にとっても非常に大切なことだと考えています。
遠慮なさらずに不安やご希望を担当医にぶつけてください。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇四川省を中心とした感染症について

大連市中心医院の星野です。
各種報道で御存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今年の6月から8月にかけて、中国四川省にて、少し変わった病気が流行しました。しかし、現在では感染者数もほぼ横ばいとなり比較的落ちついているようです。この病気に関して、現時点でわかっていることについて御報告させて頂きたいと思います。

今年の6月より、四川省にて“豚の処理(処分・加工)をした農民”を中心として、“熱や吐き気、頭痛、関節痛“などを主訴とした原因不明の病気で死亡(19名;発病者80名中)する例が相次ぎました。

当地の各種報道によると、原因としては“豚連鎖球菌”が最も疑われていて、この菌にて病死した(病気の)豚の処理に関わった方が、数日以内にショック状態、敗血症、髄膜炎などで急死されたようです(今のところ、豚から人への感染例のみで、人から人への感染は確認されていません)。

この細菌は通常は(病気の豚の)呼吸器系、消化器系に生息しているそうですが、この病気にかかったと考えられる豚の処理に関わった人が罹患したようです。処理ではなく、摂取して感染したと考えられる人は(加熱したためか)症状は軽くてすんだようです。

いずれにせよ、四川省内では病死した豚以外に、病死した羊、鶏、牛なども無菌化処理(焼却後土中に埋葬)するとともに、病気の家畜を外部に流通させないようにしているようです(違反した業者は厳しく処罰されるなど)。

大連も含めた中国の各都市でも検疫を強化しており、正規の流通ルート以外の豚肉は販売しないなど、十分な対策がとられ始めているようですので、これ以上急速に病気が広がらなければ、事態は徐々に収拾に向かうと考えてよいかと思います。
(実は98年、99年にも同様の事態が起きていたようですが、この時はあまり大きく取り上げられなかったようです)

また、最近、“大連にて、豚連鎖球菌を原因とする感染症患者が発生した”と誤解を招きかねないような内容のインターネット記事が配信されたようですが、大連市の中心病院ではそのような情報は一切ないことを確認致しました。従いまして、この報道は全くのデマであると考えています。さらに、“病死した豚を北朝鮮が輸入している”という内容の記事も配信されたようですが、これについても明らかに事実と異なる報道と考えています。これらの情報は、去る6月に四川省にて発生した“豚連鎖球菌を原因とする感染症”を連想させる報道です。

そこで、本感染症のその後の情報を御報告させていただきます。本感染症はその後、広東省の一部(患者数4名うち1名死亡)、香港(患者数10名)にも広がったようですが、四川省での死亡者数は8月下旬以降、現在まで横ばいの状態です。

発生地域では、検疫所などの関係当局もSARS流行時の教訓を生かして、早期解決に乗り出し、患者発生(疑い症例含む)の際にはすみやかに報告するよう義務づけているようです。

その一方で、“本疾患に対するワクチンが既に出荷された”とういう非公式な情報もありますが、現時点での有効性や安全性についての情報は一切公表されておりません。
最も信頼できる情報筋として、WHOの感染症報告や、ProMedという医学情報のホームページがあるのですが、やはり、本感染症の原因は特定され、すでに沈静化したという見解を示しています。

現時点で判明しているのは以上です。
新しい情報が入り次第、あらためて御報告させて頂きたいと思います。