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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05080101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
日暮 浩実

◇感染症に関する小報告

6月から7月にかけて突然の高熱で受診される患者さんが年齢、男女を問わず、多数見受けられました。その多くはインフルエンザでした。また、同様な症状で発症するものにデング熱が上げられます。これら2つの熱性疾患とHIV対策についてご報告いたします。

1.インフルエンザ

5月から散発的に増えてきたインフルエンザですが南半球の冬にあたる6月の半ばからは毎日のように患者さんが来院していました。

診断キットや治療薬まで一時枯渇したクリニックもありました。この季節の大きな流行は2002年にも見られていました。残念ながら具体的な患者発生数は現時点では不明です。判明次第ご報告したいと存じます。

日本でも6月末から、沖縄県で季節はずれのインフルエンザの流行があり7月半ばには1週間で800人以上の患者さんが見られたとのことでした。原因は不明とのことです。

2.デング熱

先頃、2回にわたりご報告いたしましたデング熱ですが、相変わらず猛威を振るっています。昨年の8月頃から患者数が増加し、昨年の患者数はこれまでで最高の9457人でしたが、今年は7月半ばまでで既に6000人を超えています。

一時、発生数が減少していたのですが、7月には1週間で350人の発生を見たこともあり、まだまだ、予断を許さない状況です。蚊に刺されないこと、発生源を作らないことが重要です。

医療機関は患者発生が確認されたら24時間以内に政府へ報告する義務があります。

3.HIV感染症

シンガポールでもHIV感染者が増加しつつあります。新たにHIV感染者であることが判明した人も年間約300人となり、政府は警戒を強めています。人口が日本の1/30であることを考えると大きな数字であることがわかります。

2004年の妊婦のHIV抗体スクリーニングの検査率は24%に過ぎませんでしたが政府からの指導があり2005年の第一四半期ではなんと97%になりました。4480人の妊婦から4人の陽性者を見つけています。

また、2005年7月からはHIVの検査には、医師が必要と判断した場合の説明があればよく、承諾書は不要になりました。感染者を見つけ出しやすくしようとする姿勢の表れと思われます。検査結果は政府に報告し、陽性の結果は政府から本人の承諾なしに直接、家族へ知らされます。感染の広がりを抑えることが目的です。また、外国人で陽性者は原則として国外退去となります。
ここでも政府の強い姿勢が伺えます。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
宮本 悦子

◇医師の海外流出

フィリピンでは10万人いる勤務医のうち30%がアメリカ合衆国で働いているといわれています。

また今年は昨年の2倍以上にあたる6000人の医師が、看護師に転職するため看護学校に通いはじめています。医師だけではなく国内で働く会計士、技術者、弁護士も看護師への転職希望者が増えているということです。

より多くの収入を求め、比較的海外で働きやすい看護職を選択する場合が多いようですが、その他の理由では国内における医学生の教育や卒業後の一貫した研修システムが確立しておらず、医師達にとって国内で働くことへの魅力が薄くなってきていることも要因のようです。

国内の看護師の海外志向も強く、看護師不足も深刻となっています。

地方では医師不足が進み、特に眼科医に関しては1200名のうち400名がマニラ首都圏で働いており、地方の眼科医の不足が深刻となっています。

都市では最新の設備を備えた近代的な病院やクリニックが増えてきている一方で一部の病院ではここ数ヶ月で経営難から医療従事者の削減や外来の縮小化が進み、患者数が減少するという現象もおきており病院間での格差がめだってきています。

また優秀な医師の海外流出に加え、専門領域の細分化や自由診療、個人経営であることが関係し、一つの疾患を総合的に診断することが難しくなっているのが現状です。

医師同士の横のつながりが乏しく紹介システムが普及しておらず一つの疾病を別の専門領域の医師が異なった診断をし、お互いが主張しあうといったことも起こります。

この問題の解決策として、医学部卒業後の一貫した研修制度の充実、特に地方における国民健康保険制度の導入などを国は提案していますが、現状はなかなか厳しそうです。

日本人退職者のフィリピン永住希望者が年々増え続けていくなか、できれば安心した医療がうけられるよう医療面での充実を望むところであります。 



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  

◇胸がドキドキしちゃいます!

何かうれしいことがありましたか? 
そうじゃないんです。
心臓がドキドキするんです。

患者さんが不整脈を自覚する症状として「脈が飛ぶ」、「ドキドキする」、「動悸がする」、「脈が速く打つ」などと訴えることが多いですね。時には「立ちくらみ」、「めまい」、「疲労感」、「眠れない」、「手足がしびれる」など一見不整脈とは無関係のような症状で“貧血”とか“自律神経失調症”、“更年期障害”などの診断を受け、セカンドオピニオンを求めて来院することもあります。重症例では「てんかん発作」や「失神」の診断を受けていたものもありました。

一年間余りジャカルタで診療し、毎月のように不整脈の新しい患者さんが来院しています。不整脈の多くは放置してもよいものですが、時には致死的なものや脳塞栓症(心臓内の血栓が脳の血管に詰まる)など大きな後遺症を残すものもありました。

当医療相談室に来院する不整脈の日本人患者さんの特徴を以下に記します。
1)自覚症状はないが健康診断で不整脈を指摘されたため来院。
2)他院で不整脈の診断を受け薬処方受けたが、薬が不適切であったため更に悪化した。
3)“治療不要である不整脈”であるにもかかわらず投薬され、逆に悪化した。
4)不整脈による自覚症状が強く日常生活に支障をきたす。
5)心臓疾患が基礎にあり、その結果不整脈が生じる。
6)甲状腺疾患など内分泌疾患が基礎にあり不整脈が起きる。
7)立ちくらみ、めまい、手足のシビレ、失神などの症状にて来院する。
8)他院で自律神経失調症、更年期障害などの診断を受けたが納得がいかず来院する。

“不整脈”と分かった場合、次に不整脈の種類と重症度の判定をします:
・まず緊急性がある不整脈なのかどうか、
・治療が必要な不整脈なのか、治療不要な不整脈なのか、
・不整脈の原因は何か、
などを検査せねばなりません。

治療が必要であるとすれば、「内服薬治療でよいのか」、「外科的治療が最適なのか」も考えます。内服薬治療を必要とする場合には、上記のように“不適切な薬”を処方しないようにしなければなりません。不整脈に対する“不適切な薬”は病態を悪化させるばかりでなく生命に関わる副作用を招くこともあります。


ジャカルタ・ジャパン・クラブ医療相談室において不整脈に対し可能な検査は:
・ 心電図(通常の心電図検査は数十秒間ですが、10分~20分間と長めにとります)
・ 運動負荷心電図(トレッドミル検査:基礎に心疾患が無いか、運動負荷で不整脈が誘発されないかなどを観察します)
・ 心臓ドップラー超音波検査(心筋や弁の動き、心臓内の血流の流れなどを検査し心臓に器質的疾患がないかを検査します)
・ 不整脈に関連する血液検査など(甲状腺ホルモン、副腎のホルモンなど)


不整脈に対する一般的な対応策は?
不整脈を起こす基礎疾患の有無とその程度を把握するよう努めます。またタバコやストレスなど不整脈の誘引となる環境・状況因子の有無について検査、改善をすることも重要です。
不整脈の原因や機序を明らかにするため、ホルター心電図(24時間心電図)や心臓カテーテル検査、心臓電気生理学的検査が必要であると考えた場合には当地病院、シンガポールの病院、日本の病院などしかるべき病院へ紹介しています。


不整脈の多くは放置してもよいものですが、時に致死的なものもあります。
治療が必要な症例でも多くは内服薬で改善しますが重症例、薬物が効かない例などでは心臓ペースメーカー、カテーテルによる治療、外科的治療などを選択することもあります。(治療法についてここでは詳細は述べません。)


この1年間余りの間に当日本人医療相談室を受診した患者さんの中には「突然死」の原因として考えられている「QT延長症候群」、「Brugada症候群」、「WPW症候群で心房細動を伴う症例」もありました(病態・心電図の詳細はここでは述べません)。これらは稀な疾患ですが、若年者における“心臓突然死”の原因であるため、必ずフォローしなければなりません。


(追記)
*** ある種の不整脈や心臓病の患者さんに血栓形成予防薬として「ワーファリン」を処方しています。これらの患者さんは定期的な血液検査と食事制限が必要です。

*** 「ワーファリン」の作用は“納豆”、“クロレラ”、“ビタミンK大量含有食物”により著しく低下し、脳梗塞、心筋梗塞をはじめとする各種血栓・塞栓症が起こりやすくなります。
“納豆”、“クロレラ”は食べないようにしてください。また経口避妊薬もワーファリンの作用を減弱させますのでご注意ください。

不安な点、不明な点は信頼できる主治医にご相談ください。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇上海医療視察報告

大連市中心医院日本人医療相談室の星野です。6月29日より7月1日まで恒例の上海医療視察に行って参りましたので御報告させていただきます。

上海市内で邦人が利用している主な医療機関は、大きく分けると“日系クリニック”、“外資系クリニック”、“総合病院(中国系)”に分類されます。

“日系クリニック”の代表として、最も歴史のあるクリニックが上海浦東森茂診療所で、1998年に開設されました。もう一つの“日系クリニック”が上海グリーンクリニックで、こちらは上海市内で最も邦人受診者が多いといわれており、多い時には1日80-100人もの受診者がいるそうです。

“外資系クリニック”としてはワールドリンク上海商域クリニック、桜花クリニック、国際医療センター(博愛医院)、ユナイテッドファミリーなどがあります。“総合病院(中国系)”としては復旦大学附属医院、華東医院、瑞金医院などがあります。

この中で今回は“日系クリニック”の代表として上海浦東森茂診療所と上海グリーンクリニックを取り上げたいと思います。

上海浦東森茂診療所のスタッフは、日本人医師常勤(医科2名:内科、整形外科)、中国人専門医2名(内科、小児科)、日本人看護師、日本人薬剤師、日本人渉外担当が常駐されています。実際に、クリニックに一歩足を踏み入れると、受付から始まって、診察→各種検査→病状説明→投薬に関する説明→診療費支払いに至るまで、すべて日本語で大丈夫ですので、邦人が安心して受診出来るシステムになっています。

診療内容は一般外来に加えて、中医科 [東洋医学]外来、健康診断、人間ドック、婦人科健診 [乳がん、子宮癌健診]などがあります。

診療は原則として“予約制”であり、土・日曜日の午前中も診療しています(ただし、中国の祝日は休診)。

CT、MRIは外部医療機関に委託していますが、その他の検査、例えば、視力検査、聴力検査、血液検査、尿検査、心電図、胸部X線、超音波(腹部)、上部消化管造影、呼吸機能検査、眼底検査(無散瞳撮影)などはクリニック内で施行可能です。また、日本人教授による婦人科健診を年2回実施しているとのことです。

院内投薬が可能で、海外旅行傷害・疾病保険利用によるキャッシュレスサービスの利用が可能です。病院を紹介するホームページ、病院発行のメールマガジン、クリニック紹介パンフレットなどもあります。

上海グリーンクリニックは親病院である財団法人倉敷成人病センターと上海瑞金病院グループの合弁で設立されました。

日本人医師(医科2名、歯科2名)、中国人専門医7名(外科、内科、婦人科、超音波、放射線など)、日本人看護師、日本人放射線技師他約40名のスタッフから構成されています。

診療内容は一般外来に加えて、健康診断、人間ドック、予防接種、(入院を必要としない)小手術などです。

診療は“予約制”で、土曜日の診療時間は9時-15時となっています(ただし、日曜日、中国の祝日は休診)。

検査は、視力検査、聴力検査、血液検査(各種腫瘍マーカー [CEA, CA19-9, CA125, PSA]など)、尿検査、心電図、胸部X線、超音波(腹部、甲状腺、乳腺、前立腺、経膣)、上部消化管造影、上部消化管内視鏡、下部消化管造影、眼圧測定、眼底検査 (無散瞳撮影)などが可能です。CT、MRI、乳腺X線、負荷心電図(トレッドミル)などは外部医療機関に委託していますが、自前のメデイカルラボ(血液自動分析装置)を保有しています。検診結果は約2週間後に受診者宛てに郵送にて通知されます。

電子カルテを導入している、患者様を対象とする“一般診療部門”と健常を対象とする“健診部門”が分かれているという特徴があります(これは感染等を防止する上で大変、重要です)。

予防接種は子供の場合、MMR(麻疹、おたふく、風疹)、ポリオ(小児麻痺)、日本脳炎、BCG、成人の場合はA型肝炎、B型肝炎、旅行者用に、腸チフス、破傷風、狂犬病などを実施しています。A型・B型ワクチンについては抗原抗体検査後、ワクチン接種(A型は2回、B型は3回、A型B型混合は3回接種)を行い、実際に抗体が出来ているか確認(抗体確認検査)を行うという手順になっています。必要な場合には、破傷風、狂犬病、腸チフスなどの予防接種も可能です。

こちらも、院内投薬が可能で、キャッシュレスサービス 海外旅行傷害疾病保険ならびにカード付帯の保険も使用可能です。現金の場合、USドルでの支払も可能です(クレジットカード、デビットカードでの支払いも可能)。

“時間外診療”については、診察時間終了後、22時まで当直医師(日本語を話す中国人医師)が緊急の場合のみ、応急処置又は電話でのご相談に対応しています。医師一人の当直のため対応に限界があることをあらかじめ患者様に御了承いただいているようです(休診日の“時間外診療”は9時より22時まで)。

他の日系クリニック同様、ホームページ、メールマガジン、クリニック紹介パンフレットなどがあり、受診の仕方、(スタッフや設備面を含めた)診療内容についての理解が得やすいよう、配慮がなされており、参考にすべき点が多々ありました。

また、上海グリーンクリニックにはデンタル部門もあり、邦人がよく利用しているようです。診療は原則として、“予約制”で、土曜日の診療時間も平日と同様です(日曜日ならびに中国の祝日は休診)。“時間外診療”については原則として、現在治療中の方のみで、日本人医師が対応しています(診療日は21時まで。休診日は10時より17時までの“電話相談”のみ)。

診療内容は歯科一般(歯科検診、3歳時歯科検診、歯面・口腔清掃、歯石除去、虫歯の治療、歯周病治療)、歯の外科治療、顎関節治療、小児歯科治療など歯・口腔疾患の初期治療などです。医療機器としては、歯科デンタルX線(フィルムレス、LANにて院内コンピューターに接続)、歯科技工室、消毒滅菌システム、子供専用診療室などを完備し、電子カルテが導入されています。


まとめ:上海の日系クリニックでは在留邦人数に比例して患者数も多い。そのため、外国人(日本人を含む)クリニックの数、日本人スタッフ(医師、看護師、検査技師、薬剤師、事務員など)の数も大連と比較して充実している。

健康診断部門と一般診療部門が独立している、性別・年代別に独自の検査項目を設定するなど料金体系がしっかりしている、(外注でなく)自前のラボ(血液自動分析装置)を保有している、各種予防接種が可能である、フィルムレス・電子カルテ・LANの導入、カード付帯の保険利用(クレジットカード・デビットカードならびにUSドルでの支払い)が可能であるなどの特徴が見られた。

クリニックを紹介するホームページ、メールマガジンやクリニック紹介のパンフレットなどを有するクリニックも見られた。

当地での他科(内科以外)受診、専門医の紹介などが適切であること、急病あるいは緊急手術が必要な場合に、提携する医療機関があり、入院が可能であるなど、他の医師、医療機関との連携がしっかりしている印象を受けた。

今後、上海の日系クリニックで取り入れられているシステムを参考にして、大連においても、邦人が少しでも受診しやすい医療環境を整備する必要があると思われた。