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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05030101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
吉田 泰司

◇シンガポール人から見た日本人

 シンガポールの医療スタッフが日本人を見て不思議だと思うことを聞いてみました。

1.子供が母親をぶっている。
2.発熱している時に毛布を要求する。
3.予防接種を受けた後、風呂に入っていいか、ビールを飲んでいいかを尋ねる。
4.漫画が好き(大人も子供も)
5.注射、点滴が好き。
6.子供のワクチンスケジュールを守らない。

1.については主にワクチン接種のときに子供が母親をぶつのを見るそうです。まあ八つ当たりでしょうが、シンガポール人の子供はしないそうです。
2.体が熱い時にますます熱くなるのに何故と言ってました。
3.風呂とビールは大好きですから聞きたくなりますよね。
4.これはよく言われていますが、確かに外人はあまり漫画を見ませんね。
5.風邪をひいたとき等、日本ではクリニックでよくやってます。
6.シンガポール人はワクチンスケジュールを遵守するようです。お国柄でしょうか。

頷ける所もあるし、本当かなという所もありますが、なかなか面白い意見でした。

私は3月をもって2年間の勤務を終え帰国し、4月からは後任 日暮浩実 医師に引き継ぎになります。皆様大変お世話になりました。これからもシンガポール日本人会診療所を宜しくお願いします。




◆マニラ

マニラ日本人会診療所
土田 穣

◇海外長期滞在を健康で暮らすには 

小生の任期は今月で終了しますので、最後のニュースレター寄稿となります。

締めくくりとして、外国で暮らす際の健康上の心得を、海外長期滞在9ヶ国21年の小生のささやかな在外医療従事体験を踏まえて、以下私見を七項目述べさせていただきます。

1:生ものは食べないで、火を良く通した食べ物を、調理した直後温かいうちに食べる事。仮にそれらを残しても、冷蔵庫に保管し、後日食べない事。残飯は必ず直ちに廃棄する事。なるべく現地使用人に調理させない事。やむをえず調理人として働かせる場合は、採用時の健康診断並びに採用中の定期健康診断、根気強い衛生教育などを実施すること。

2:市販以外の飲料水は煮沸消毒すること。平地では最低5分間、高地では沸点が下がるので高度が100m高くなるごとに10秒を加えます。
氷も煮沸して、さました水から「自家製」として作ったもの以外利用しないこと。

3:予防接種は予め有効なものは調べておき、日本では通常受けられないワクチン以外は、日本出国前に早めに計画を立てて全てを完了すること。海外滞在中に必要な追加接種は忘れずに所定の期日に受けること。それらの証明書の携行所持も忘れぬこと。

4:高温多湿地方に在住する場合は、日射病、脱水症、日焼け対策の他、衣類や履物に留意すること。木綿の肌着、風通しのよい上着を着用し、帰宅後は着ていたものは必ず脱ぎシャワーを全身に浴びること。洗濯後の衣類については、それらに付着している可能性のある虫やその卵を殺すために、忘れず高熱でアイロンをかけること。
履物は毎朝利用する前に逆さにし、叩いて中に何もいないこと確認すること。

5:現地の最新医療事情を得るため、到着後可能な限り早い機会に日本の在外公館に在留届を提出し、その際、同館駐在医務官または領事担当官などから適切な現地医師や病院を紹介してもらう事。特に持病があり薬を常に内服している者は、予め日本より持参した英・仏・西文などによる診療情報提供書(日本語ではなく)を現地医師に手交した上、挨拶をしておきたいもの。体調を崩した時は、自己診断せず右医師或いは医療機関で受診する事。

6:急病に備えて、家族の渡航費用の保障を含む海外旅行保険に加入し、その契約番号や緊急医療相談電話連絡先(24時間日本語対応のもの)をメモし、それを常時携行すること。

7:異文化不適応を軽減させるために、出国前に出来る限り現地の社会・文化・言語・治安・宗教・習慣・教育等を勉強し,現地では朝夕涼しい時の定期的な運動と適切な間隔での休暇、そして十分な睡眠を取る必要がある。不要なストレスによる病気に対する免疫の低下を防ぐため、「郷に入れば郷に従え」などの言葉を想起し、現地ののんびりしたペースの生活リズムにあわせ、早めにこれに馴染むよう努めることが望ましいと愚考いたします。

最後にJOMF加盟企業の海外駐在員並びにその同伴家族の健やかで充実した海外長期滞在生活を祈願致しますと共に産業医及び人事・労務管理担当者の今後のご活躍を期待します。
 


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  


◇小児の転倒・転落による頭部外傷
~転びやすい床(滑りやすい大理石やタイルできている)~


当医療相談室には転倒による打撲・外傷患者さんが多く受診されます。成人においても見られますが、小児においては頭部外傷の患者さんの割合が多くを占めています。当地の床は日本のような柔らかい畳ではなく、滑りやすい大理石やタイルでできていることも原因のひとつでしょう。転倒し近くのクリニックで診てもらったが「大変不安である」と、ご両親からの電話問い合わせも数多くいただきます。
多くは、脳に後遺症を残さずに改善しますが、今回は小児の打撲・転倒による頭部外傷の病態と、受傷時の注意点について述べさせていただきます。

小児脳の特徴
1)小児は体の大きさに比べて頭部の割合が大きく、いわゆる「頭でっかち」です。脳の重量は生後300~400gであったものが生後6ヶ月で約2倍の重量になり、いかに頭部の重量が体重に比して大きいかがわかります。

2)小児の頭皮は薄く、皮下組織・骨膜も成人に比して弱くできています。骨自体も弱く、外力により歪みやすく弾力性に富むため、変形がおこりやすい。

3)硬膜(頭蓋骨の中にあり、脳を覆っている膜のひとつ)は薄く破れやすいため、打撲時に硬膜損傷を受けやすい。

4)頭蓋骨が歪みやすく陥没しやすいため、直撃損傷により脳挫傷(脳実質の挫滅)が起こりやすい。軽微な外傷で頭蓋内の血管が断裂しやすく硬膜下血腫(以下詳細参照)を起こしやすい。小児の脳は未発達であり障害時に脳浮腫(脳がむくむ)をきたしやすい。

5)打撲・外傷後に嘔吐や痙攣を起こす頻度は高いですが重傷度を必ずしも反映はしません(しかし経過観察が必要です)。また、小児は脳神経可塑性が高く、外傷後の回復は成人よりも良好と言われています。

頭部の障害は頭蓋骨骨折と頭蓋内損傷に分類されます。

I)頭蓋骨骨折
A)線状骨折、陥没骨折に分類されます。骨折があると頭蓋内血腫(頭蓋骨内での出血)の可能性は10倍高まるとされています。レントゲンまたはCT検査でわかります。

II)頭蓋骨内損傷の主な病態

A)びまん性脳損傷
1)脳振盪
受傷直後に一過性の意識障害・見当識障害(多くは6時間以内)を起こすことがありますが、CT所見では明らかな異常を示しません。健忘を伴い受傷の数時間~数日前からの記憶がはっきりしないなどの症状が見られます。ほとんどの患者さんは後遺症を残しません。

2)びまん性軸策損傷
主に頭部の回転性加速度損傷により起こり、脳の神経線維断裂による症状がでます。つまり受傷後より意識消失状態が続くような頭部外傷です。CTでは異常所見が認められないことが多く、MRI検査が必要です。

3)びまん性脳腫張
両側の大脳半球が高度の脳腫脹(むくみ)を起こし、著しい頭蓋内圧亢進(脳が頭蓋骨の中でパンパンに腫れる)をきたす状態です。CTにて診断が可能です。治療には呼吸や循環などの全身管理が大切です。

B)局所性脳損傷
1)急性硬膜外血腫
頭蓋骨骨折を伴うことが多い。頭蓋骨と硬膜(脳を覆っている膜の一つ)の間に出血が起こり血腫ができます。受傷後より意識消失のあるものや、手術直前に意識レベルの低下があるものは予後が悪いとされています。瞳孔不同や片麻痺が認められることもあります。CT検査で診断可能です。治療は、意識障害や神経症状がある場合は開頭血腫除去術が行われます。

2)急性硬膜下血腫
脳を覆っている硬膜の内側で出血・血腫ができたものです。貧血・ショック状態になることもあります。CTで診断が可能です。瞳孔不同や片麻痺が認められる頻度は、急性硬膜外血腫よりも高く、急性硬膜外血腫よりも予後が悪いとされています。このような症状がある場合には早期の外科的治療が必要です。治療としては、穿頭(頭蓋骨に穴を開ける)もしくは開頭術による血腫除去が行われます。

3)脳挫傷・脳内血腫
受傷と同時に発症し、脳実質の挫滅を意味します。受傷直後のCTでは明らかでないこともあり、時間をおいてCT検査を繰り返す必要があります。脳内出血や脳浮腫が高度の場合には手術治療の適応となります。


C)いざという時、自宅ですべき観察:
外見上は傷が無くても頭蓋内での病変が起こっている可能性があります。以下のような点に注意して医師に告げましょう。
a)意識レベル
・刺激しなくても覚醒していますか?
・刺激すると覚醒する状態ですか?
・刺激しても覚醒しない状態ですか?

b)開眼反応
・自発的に開眼しますか?
・指示や痛みを与えると開眼しますか?
・何をしても全く開眼しない?
・眼球は両側が同じように動きますか?

c)言葉が理解できる小児においては以下の点も観察しましょう(言葉の反応)。
・家族の呼びかけが理解できますか?
・ウーとか、アーとかの意味不明の発声のみしかでない?
・声かけや刺激をしても発声が全くない?

d)運動反応
・家族の指示に従い手足を動かせますか?
・手足は左右両側とも同じように動かせますか?
・つねれば手足を動かしますか?
・何をしても全く動かない?

e)痙攣発作はありませんか?
小児期の頭部外傷で痙攣が頻発するときは、脳挫傷や頭蓋内血腫が存在する可能性が高いといわれています。

f)嘔気・嘔吐はありませんか?
頭蓋内圧の亢進により、嘔気・嘔吐がしばしば認められます。このような時は頭蓋内血腫や脳浮腫の存在も考えなければなりません。

g)外見上傷が無くても眼球運動障害、視力障害、耳鳴り、難聴、鼻出血、耳内からの出血が無いかを確認しましょう。

(追加)眼窩底骨折:顔面の骨折の一つです。ボール、他人の頭・肩などが顔面にぶつかることによって起こります。外見上傷が無くても眼球の動きの障害(右目と左目が同じようには動かない、物が二重に見えるなど)があれば必ず受診してください。

***外見上傷があっても無くても「激しい頭痛」、「嘔気・嘔吐」、「意識障害」や「痙攣発作」をともなうようであれば必ずCT検査をしてもらいましょう。その後も上記a)~f)などの症状の有無を含めて経過観察も必要です。CT検査で異常が無く、意識障害(-)、神経学的異常所見(-)、痙攣(-)、嘔気・嘔吐(-)であれば多くの場合心配ありません。

***出血・外傷があり、傷口が不潔であるような場合は必ず破傷風予防処置もしてもらいましょう。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇帰国を前にして思ったこと

私が来連してもう3年となり、もうすぐ任期が終わり4月には帰国の段となります。

この3年間を振り返ってみるといろいろな思い出がありますが、その中で仕事上忘れられない思い出の一つに往診があります。初めのうちは基本的にはすべての申し出を受けていましたが、在住日本人の増加も含め対応できないこともあり、結果として取捨選択させていただき、言葉や医療制度の問題も含め現地医療機関でも十分対応可能であろうと思われる症例に関しては面倒ではあるが現地医療機関を受診して頂きました。
その選択の際に往診を引き受ける条件として一番重要なのは患者の重症度でありました。交通事故や脳血管疾患・心疾患などの重症度の高い病気はやはりすぐさま引き受けることとなりました。その往診の思い出に残っているものの内の一つをここで書かせていただきます。

それは夏の時期のことで、当診療所の協力機関である大連商工クラブの会員からの「当社の社員が交通事故にあった。至急往診に来てください。」との電話で始まった。その会員は大連から遠く離れた町の方であった。また、運の悪いことに診療時間内に起こった。

ここ大連では日本では起こりえない問題がすぐに頭に浮かぶ。私の医師免許はあくまでも期間・地域限定であり、期限は一年、地域は大連市内のものである。つまり基本的に大連市外では私は医者ではないのである。また、当診療所は日本人向けとして開設された当地大連唯一の診療所であり公的な意味が非常に強い。したがって休診とするには基本的に事前に在住日本人に広報しているのである。

もし往診に行くのであれば在住日本人に知らせることなく突然の休診を行わなければならず、またその時点では小さな日本人社会であるからプライバシーの観点から見てできる限り往診で休診とは書かないほうがよい。ひとつの方法として医師免許の問題及び診療所の公的性格からも往診を受けないこともありうるが、患者は交通事故で重症。結果、商工会及び医療基金の承諾を取った上で理由を公表せずに休診とし往診に出かけた。

急がねばならず、タクシーに乗り、およそ3~4時間はかかったように思う。往診を終え、帰宅の途についたのは10時頃だった。その頃は中国語もおぼつかなく、中国社会の複雑さも知らなかったから、看護婦より「先生、知っている人のいないところに行くのは危険です。おやめなさい。」とも言われたがその本当の意味が理解できるのはやはり中国に住んで2~3年たってからであった。今から考えれば随分と無理をしたとも思う。その後、大連では突然の休診があったと噂された。

当地大連で医療を行っていて難しいと思われる問題が随分とあったがそれらの困難は大きく二つに分けられると思います。一つは中国と日本の医療文化の違いから来る困難で、もう一つは日本にも存在するが地域医療としての困難である。北海道などの医療過疎地では例え個人の医療機関であっても数少ないもしくは唯一の医療機関ということもありうるためにどうしても公的性格を帯びてくると聞きます。この3年間でそれらの地域医療の大変さの一端を当地で垣間見た感じはします。