• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

海外医療相談 (会員用メニュー)

会員ID(半角英数字)

パスワード(半角英数字)

会員用メニュー(海外医療相談)
の内容についてはこちら>

ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05020101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
吉田 泰司

◇季節の変わり目

今この原稿を書いているのは中国正月の前日です。シンガポールに赴任して2回目の中国正月ですが自分の気持ちとしてはいま少し盛り上がりません。しかし地元の幼稚園に行っている子供達は一週間前からもうすぐお正月だ、と騒いでいました。私が思うのは今年も少し前から雨が降らなくなって乾季になったなあということです。日本と比べれば然程ではありませんが確かに体はその変化を感じるようで、何となく体の不調を訴える人も少なくないと思います。このような気象の変化を感じているのは何も人間だけではないはずです。今回はちょっと植物の話をしましょう。

植物(被子植物)はある決まった季節に花を咲かせ、その後実を結ぶようになっています。日本では春なら梅、桜、バラ、レンゲ、ツツジ、藤、ボタン、秋ならチューリップ、コスモス、キク、彼岸花と、開花の時期は明確に種別に決定されています。それに対して熱帯地方は赤道付近にありご存知のように一年を通じて気温変化に乏しい所です。僅かに雨季と乾季が存在する程度ですが、様々な時期に色々な花が咲きます。シンガポールが含まれるマレー半島からスマトラ、ボルネオも熱帯地方になりますが、ここ東南アジアの熱帯地方だけに見られる特徴的な開花様式があり、これは一斉開花現象と言われています。

この一斉開花は一つの種の花が一気に咲くのでは無く、相当数にわたる種の樹木の花がそれこそ一斉に咲き乱れるのです。正確にいうと異種の花が全く同時期に咲くのではなく、数週間単位で少しずつ遅れて咲いていきます。この一斉開花現象は実を結ぶために必要な受粉の必要性からおこります。東南アジアの熱帯雨林では植物の種類が非常に多く、自分の種が近くにある可能性は非常に低いものになっています。そのため自分の花粉を遠く離れた同じ種の所まで送るのを確実にするために工夫が必要になります。一斉開花により咲く花の数が多くなるとその花の蜜を目当てにくるハチなど鳥などの花粉を運んでくれる動物の数が多くなります。そしてしかも花の間でそれらの動物の取り合いがおきないように花の咲く時期を微妙に変えているのです。

ではこの一斉開花の時期はどのようにコントロールされているのでしょうか。当初は植物がある気温の変化を感じ取ってその時期を知ると考えられ、非常に低い気温が数日続くと一斉開花のタイミングとしていると考えられていました。しかし最近では植物が降水量に着目していて降水量が非常に少ない日が数日続くとこれが合図になる、といった考え方が主流のようです。

日本に住む我々は長く生活するうちに体に四季のリズムが植え込まれていると考えられます。私達の体も意識はできませんが気温や湿度の変化を察知して体に次にくるべき季節の準備をさせているのでしょう。しかし実際には日本の四季のような変化が訪れるべくも無く、シンガポールではその植え込まれたリズムが乱されてもおかしくはありません。特に来星されたばかりの方はこのような不調を感じたら無理をしないようにしましょう。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
土田 穣

◇メタボリックシンドローム

読者の皆様の年齢はまちまちでしょうが、一昔前に言われた一部の女性が男性に求める「三高」という表現があったことをご記憶でしょうか? 高身長・高学歴・高収入でしたね。

今は「三低」といわれているようです。低リスク・低姿勢・低依存だそうです。なるほど頷けますね。女性が自分の心に正直に生きたいという気持ちの表れともいえますね。

ところで定期健康診断の結果にも「三高」があるのです。それは、高脂血症、高血圧、高血糖です。さらにこれら三つに肥満が加わった状態をメタボリックシンドロームというのです。肥満は日本ではBMI(体重指数)が25以上を指しますので、この高BMIを加えて「四高」といっても良いでしょう。これら四つの因子の一つでも高度であれば動脈硬化性疾患を発生し、それらの因子が重なるほど心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こし易くなりますが、実際の臨床の場ではいずれも軽度のものを併せ持つ症例が一般的です。

私はこれら4因子に加えて先月のニュースレターで取り上げた高尿酸血症を加えて「五高」と申しあげたいと思います。何故なれば7.0mg/dl以上の高尿酸血症群は正常群より肥満、高中性脂肪血症の割合が多いからです。個々のこれらの危険因子は軽度でも、その重複により冠動脈疾患などの危険度が増す状態について、これまで様々な概念が提唱され「死の四重奏」「シンドロームX」「内臓脂肪症候群」「インスリン抵抗性症候群」などの名称で呼ばれてきました。WHOはこれらを総称して「メタボリックシンドローム」という名称としました。1999年と2001年にWHOと米国コレステロール教育プログラム(NCEP)はそれぞれその診断基準を発表していますが、日本では未だこの基準には問題点も多く、未だ決まっておりません。国内のそれぞれの専門医学会で意見を調整し、日本版メタボリックシンドローム(危険因子重積症候群)の診断基準を作成中であるとのことです。

「四高」については、今のところ次の基準がたたき台となっています。
1:中性脂肪値が150mg/dl以上で、HDL(善玉コレステロール値)が男性で40mg/dl以下、女性で50mg/dl以下。
2:血圧が140/90mmHg以上 
3:空腹時血糖値が110mg/dl以上。
4:BMI{体重(キログラム)÷身長(メートル)の二乗}が25以上、腹部CT検査で内臓脂肪面積100平方センチメートル以上、ウェスト周囲径85cm以上(男)、同90cm以上(女)。

過栄養や運動不足といった環境因子の変化を背景として、欧米やわが国において最近こうした過体重を基盤とした病態が増加してきたこと考えると肥満、糖尿病(耐糖能障害―境界型糖尿病或いは糖尿病前症と日本の一部の人が申していますものを含みます)、高血圧、高脂血症のそれぞれに対してのみの治療をしていくのではなく、他の病態が共存している可能性に対しても診療に当たる必要性が出てきたわけです。

上記四事項(高尿酸血症を加えると五事項)に一つでも該当する方はその数を減らすよう日常生活の留意事項を守ってください。三つ以上該当する方は要注意です。その場合、冠動脈疾患の発生頻度が30倍を超えるハイリスクになるということです。
 


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  


◇ジャカルタの救急搬送事情―交通事情の悪さ

今回、重症患者を他の病院へ自分が同乗し搬送する機会に続けざまに遭遇したのでその一例を述べる。
私が勤務するジャカルタ・ジャパン・クラブ・日本人医療相談室(Medikaloka Health Care Centerの一部門、Medikalokaは全科を持つ総合病院であるが外来のみ)は夜間の救急患者にも対応しているが、入院設備はない。
これまで何度も他の病院へ患者様の入院をお願いしてきた。
患者様の病態が極めて重症である場合は、ナースのみでなく救急医薬品・器具を持参し自分も救急車に同乗して搬送する。

今回は消化器疾患による重症の脱水の患者様であった。ジャカルタでは多くの病院が自前の救急車を所有している。Medikalokaも救急車を所有しているため、随時搬送は可能であった。
今回の乗員は患者様本人と家族1名、運転手1名(医療従事者ではない)、ナース1名、そして私を含めた合計5名。プライバシー保護の関係から患者様の詳細については述べないが、患者様の状態は極めて重篤で持続点滴をしながら万一のことを考えて搬送した。ショック状態(全身性の循環不全により重要臓器に十分な酸素や栄養が供給されない状態、血圧も異常に低下し死亡に直結しうる)や呼吸不全に陥る可能性も考えられたためそれらに対応できる医薬品・器具類を用意した。

持ち運んだ医療器具はMedikalokaに救急用として常備されている聴診器、血圧計、ショックにも対応する薬品類一式、呼吸不全時の挿管チューブ、喉頭鏡などである。

幸いにも患者様の病態は救急車内では悪化しなかったため、昇圧剤を使うこともなく、気管内挿管することもなく入院先病院まで搬送できた。相手病院で夜間当直の専門医に引継ぎをしてMedikalokaまで帰ってきた。今回の経験から、日本のドクターカーとほぼ同じ治療内容が救急車内でできると感じた。

しかし大きな問題が一つあった。交通事情の悪さである。
患者状態や医療処置についての問題はなかったが、病院にたどり着くまでの交通事情が極めてひどいことを感じたので書いておく。

救急車はMedikalokaを夕方出発した。その直後から日本で聞くと同じような“サイレン”を鳴らしながら走行した。しかし周囲の自動車は全く道を開けてくれない。たまに横によけてくれる自動車があっても、ここぞとばかりに一般の自家用車や何十台という大勢のバイクが横から救急車の直前に入り込んでくる。救急車の横に書いてある「Ambulance」のマークや「サイレン」の効果はどこにあったのか?
サイレンを鳴らして効果があったのは赤信号をびくびくしながら走りきったことくらいである。
これまで他の救急車がサイレンを鳴らして走っているのを見て“サイレンの効果が出ていないな”と感じていたが、いざ自分が重症患者を搬送している立場になると「助かる命も助からない」と思う緊張の片道2時間であった。ドライバーによれば、道がすいていれば片道20分くらいの距離だとのことである。
ジャカルタ交通事情の解決をすることも生命を守る大きな要因であると感じた。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇春節について

2002年に大連に赴任して以来3回目の春節を迎えようとしています。いつものことですが春節は昔の日本の正月といった雰囲気で、大晦日には家族が集まって一緒に新年を迎えます。その一緒に過ごす家族というのも日本で言うところの家族の範囲ではなく、祖父から孫やいとこまで一族郎党という感じです。

中国人にとって春節を家族と過ごすということは非常に重要です。大連には大連以外の地方出身者の出稼ぎ労働者がいますが、彼らも年に一度か二度の帰省の準備に追われます。春節に向けて大量のお土産を買い,、列車に乗って彼らの故郷に帰るのです。ですからこの時期は非常に百貨店や市場などがにぎわいます。列車などの交通機関は非常に混み合い、切符などは伝手がないと購入できないほどです。

また、非常に残念なことですがこの時期は強盗などの犯罪が非常に多発します。これは帰郷の際に物やお金を持って帰るわけですが経営者が給料を支払わなかったりするからだ、と新聞では報道しています。実際に知り合いでもこの時期にすりや強盗に遭ったりしたことのある人が結構います。日本人の方でも強盗に遭い当相談室に搬送された方もいました。

大晦日になれば普段は非常に賑わっていたレストランや商店がほとんど閉店して、人通りが非常に少なくなってきます。そしてあちこちで爆竹や花火が打ち上げられると新年を迎えます。新年を迎える時、これらの花火類の音は眠ることの出来ないほどの大きな音でしかも長く続きます。そして家族で蕎麦ならぬ餃子を食べるようです。