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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL05010101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
吉田 泰司

◇空調とアレルギー


はじめに
2004年12月25日に発生したスマトラ沖地震による未曾有の大津波が発生しました。その犠牲者の数は現在16万人にも迫ろうとしています。幸いにしてここシンガポールでは体感できる地震もなく津波もありませんでした。しかし近隣諸国またモルディブ、遠くはアフリカまでに甚大な被害を与えました。特にプーケット、ピピ島、モルディブ等はシンガポールの邦人もよく出かけるリゾート地でありとても他人事ではありませんでした。不幸にも被害に遭われた方々には心よりお悔やみ申し上げます。


さてシンガポールは赤道直下のため蒸し暑く一年中屋内は空調が入りっぱなしです。今回シンガポールのKK CHILDREN’S HOSPITALの人が書いたAeroallergen sensitization in pediatric allergic rhinitis in Singapore: Is air-conditioning a factor in the tropics? という論文がPediatric Allergy and Immunologyに載っていました。

この研究はシンガポールの小児のアレルギー性鼻炎の環境因子を調べるために行われました。対象になる小児は何らかの物に過敏反応を持っている人です。このうち19%がカビに対する過敏反応が示されました。そしてこの論文によるとカビに対する過敏反応は、家で空調を使ってない人達と使っている人達を比較すると前者で49%、後者で10%であったそうです。空調を使ってないと半分の子供達がカビに対して過敏反応を起すという結果でした。どうやって調べたかというと過敏反応の検査結果がでた後、調査員が電話で空調を使用しているかどうかを調査したそうです。空調を使ってないという事がどの程度(本当に全然使ってないのかたまにしか使わないのか)かは分かりませんが、カビが一般には高温多湿を好み、空調により除湿できることを考えれば一応道理です。
しかし逆に空調がアレルギーの原因になっているということも事実です。空調を入れると咳が出たり、鼻水がでることも良くあります。普段の外来での患者さんからの話とちょっと違うな、という印象でした。

シンガポールは平均気温26.8度、湿度84.3%と高温多湿で熱帯雨林気候に属します。東京の8月の平均気温は28.0度、湿度66.8%ですからやや気温は低いものの湿度はかなりのものです。ご存知のようにカビは多湿を好みます。この論文にはダニに関しての考察はありませんでしたが同じように多湿を好みますので、空調を適度に使用して湿度を下げることは有効でしょう。ただし空調のこまめな清掃が必要でしょう。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
土田 穣

◇高尿酸血症(痛風)

現在日本では50万~60万人の痛風患者が存在するといわれています。
痛風発作は関節にたまった尿酸の結晶による関節炎ですが、この病気の最終治療目標は発作の痛みを抑えることではなく、高尿酸血症を改善することにあります。

この値を長期間良好に保つためには、薬物療法のみならず次のことをご留意ください。血液中の尿酸値が高くなっている主な原因は日常生活にあります。

飲みすぎ、食べすぎ、運動不足、肥満、ストレスなどが重なることで高尿酸血症になります。尿酸値を下げるためには、薬を飲みながら、これらの原因を取り除く努力をすることが大切です。具体的な注意点は下記の五項目です。痛風の発作は、日常の生活が乱れていることへの体からのレッド・カード警告とお考えください。これを機会に生活全般を見直してきてください。フィリピンでは単身赴任者が多く、生活の乱れが起き易い環境になっていますので特に注意してください。

1:肥満を解消する。BMIを25未満とする。
2:水分摂取に充分留意する。
3:軽い運動を継続する。
4:精神的ストレスを上手に発散させる。
5:節酒をする。

薬を一生飲み続けるのかどうかについては、以下をお読みください。
食べ物や体内組織に含まれているプリン体と呼ばれる成分が分解されて尿酸になることはご存知でしょう。通常なら尿酸はおしっこに溶けて排泄されますが、食べ過ぎや飲みすぎにより血液中の尿酸が過剰になると排泄が追いつかず、血中に尿酸がたまってしまいます。

これが高尿酸血症です。尿酸が多くなりすぎると血液中で結晶化します。この結晶が関節の中で炎症を起こすと痛風発作となり、激痛を起こすわけです。発作を起こしている間は炎症を抑える薬を飲み、痛みが引いたら、次は血液中の尿酸値を下げるためのお薬を飲みます。この値を低くコントロールし続けるのが目的ですので、長期間の服用が必要になります。症状が軽くなったからといって勝手に薬を中断してはいけません。但し、5年以上薬をしっかりと服用した人で、薬なしでも血中尿酸値が低く安定するようであれば、薬をやめることも出来ます。いずれにしても薬だけではうまく尿酸値は抑えられませんので上記5項目を遵守し、日常生活に気を使い、節制することが肝要です。

JOMF加盟企業の人事・労務管理者の方は特に以上ご留意の上、海外派遣社員などの健康管理に気を配ってください。 


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  


◇乳幼児・小児の健康相談が行われました

慶應義塾大学教授、南里清一郎先生(小児科)による乳幼児・小児健康相談が2004年12月9~11日、ジャカルタ・ジャパン・クラブ主催(後援:(財)海外邦人医療基金)で行われました。南里先生は小児科学での権威者であるばかりでなく、外務省・厚生労働省などからの依頼でこれまでに約70カ国で健康相談、現地医療状況のご視察をされています。これらのことを踏まえて、小児科学の最先端医療を世界的視点から非常にわかりやすく講演をしていただき、その後3日間にわたり個別の健康相談をしていただきました。

講演会は
1)「小児の応急処置」
2)「小児の成長・発達」
についておこなわれました(ジャカルタ日本人学校幼稚園、12月9日午前)。

1)については突然の発熱、腹痛、下痢、嘔吐、失神・ケイレンなどそれらの原因と家庭での対処法、病院での治療内容とその意味などについてお話がありました。
2)については、小児の成長・発達・栄養・免疫などの生理的な働きを理解した上での病態説明がありました。肉体的な発達問題のみでなく精神的な問題、言葉の遅れなどについてもお話がありました。
1)2)いずれについてもスライド、プリントを用いて非常に判りやすく説明していただきました。
講演会の後には以下のような活発な質疑応答がありました。

・どのような病状になったら病院にかかるべきか?
・発熱時の対応の仕方、解熱剤を使用しても良い病態とは?
・どのような病態のときは積極的に解熱させるべきか?
・腹痛時・下痢時の家庭での対応法は?
・積極的に止痢剤を用いてよい病態とは何か?
・処方された薬の保存可能期間は(粉、錠剤、液体)?
・小児には使うべきでない薬剤とは?
・ウイルス感染症(麻疹、風疹、水痘など)改善後の通学・通園可能な時期は病後いつからか?
・アレルギー体質に関する質問
・インドネシアの薬は日本のものと比べて「副作用が多い」?
・インドネシアでは日本と比べて“薬が強い”といわれているが心配ないか?
・インドネシアでの好ましいワクチン接種のしかた
・日本の医療が全ての面でインドネシアより優れているのか?
など数多く寄せられました。

出席された方々は、これまでジャカルタで啓蒙されてきた“誤った知識”や“誤解”がとても多いことに気づかれたことと思います。医学は非常に速いスピードで進歩しています。当地にて数年前から言い伝えられている「常識」にも、誤りや時代遅れが多いことを感じました。

12月9日午後から12月11日夕方までは個別の健康相談が行われました。
相談者個々の今後の対応・診療に役立っていただけるよう願っております。
(プライバシー保護の立場から、個別質問の内容については記しません)

最後になりましたが、ご出席いただきました方々、ジャカルタ日本人学校幼稚園PTAの皆様方、土屋園長先生はじめ諸先生方、ジャカルタカウンセリングの皆様方には大変ご協力をいただきました。感謝いたします。ありがとうございました。


(TSUNAMI)
2004年12月26日スマトラ沖地震が起こりました。
新聞、テレビで毎日のように津波による悲惨な光景が報道されています。
被害にあった人々の中には貧しい地域・国の人々が多くいます。
復興には人手はもちろん、時間もお金もかかります。

公衆衛生的には今後、呼吸器感染症(肺炎、気管支炎など)、腸管感染症(コレラ、赤痢、腸チフスなど)、マラリア、デング熱などが流行するのではないかと危惧されます。現場の医者は十分な検査機器が無い状態、培養などの時間を待てない状況ですので、臨床症状から病気を推測し治療するしかありません。
2週間が過ぎ精神的なストレスも極値に達してきています。
緊急医療援助とともに、持続的な清潔水と食料の確保、自立した生活ができるような環境づくりも大切です。

現地の自然環境や医療状況を熟知するインドネシア現地医療スタッフとの協力活動は欠かせません。「インドネシア人の医師のレベルは低いから・・・」と見下すような言葉・姿勢からは対立は生まれても協力体制が生まれるはずもありません。
交通が寸断され港や空港に着いた薬や援助物資が被災者まで届きません。せっかく送った医薬品も雨ざらしになっています。子供の人身売買も問題になってきています。

私たちは何をすべきなのか。一日も早い復興につながるような協力を私達一人一人が考えていかなければなりません。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇中国の医療事情(感染症に関して)

中国では就労ビザを取る際に必ずB型肝炎・C型肝炎・エイズ・梅毒の抗体検査の提出を要求されます。これは中国で結婚される場合や就職される場合にも必要とされます。中国は肝炎キャリアが非常に多く、大連市血液センターを訪れた際に大連市民の15%程度は肝炎のキャリアであるとの話を聞きました。国家として肝炎などの感染症対策を大きく打ち出しており、結果として就職・結婚・ビザ取得などの際にも検査を必要としているようです。

当地で診療をしていると、上記に関して時々現地法人の社長より同じような質問を受けることがあります。

曰く、
「入社時の検査では問題がなかったのに年に一度の検診で検査すると何人かの肝炎キャリアが見つかった。どのように対処すればよいのか?」
「肝炎キャリアが見つかったが現地社員からはやくその社員をやめさせないと落ち着いて仕事ができない、と言われている。どうすればいいのか?」
などなどです。

初めの質問に関してですが、中国では時に偽の診断書を買うことが可能であり、ともすればお医者さんが患者さんの言うとおりの診断書を出すところすらあります(ひどいものになれば一度肝炎キャリアと診断された患者が「私はキャリアではない。」と言いその後肝炎キャリアではない旨の診断書を持ってくることがあるようです)。

従って、もし入社時に正確な診断が必要であれば決められた病院で検査を行うべきでしょう。