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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL04100101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
吉田 泰司

◇経口ワクチン

 ワクチンといえばポリオワクチンを除き一般的には注射を思い浮かべますが、最近は異なるものが開発されています。例えばインフルエンザワクチンはアメリカでは2年前から鼻スプレータイプのものが出ています。先日のシンガポールの新聞ではある飲み物がワクチンとして使えると報告していました。それは牛乳などに含まれる乳酸菌にワクチンとしての効果を持たせるものです。

 現在のワクチンは注射形式が主ですので、痛みがあったり、針を刺すので恐怖感があったりしました。しかしこの飲み物タイプのワクチンになればもっと簡単にワクチンが使える様になります。この乳酸菌は無害ですし、ワクチンを安く作る事ができます。あるウイルスについては既に効果が確認されています。

 どのようなワクチンかというと乳酸菌にウイルスの一部分の遺伝子情報(毒性が無く、抗体の標的として適当な部分のみ)を組み込みます。すると口から体内に入った乳酸菌は遺伝子情報通りにウイルスの一部分のタンパク質を分泌します。人の体はそれに対する抗体をつくりますので、結果としてそのウイルスに対する免疫が作られることになります。

 この経口ワクチンにはもう一つ注射タイプに無い特徴があります。それは粘膜免疫を賦活させる、ということです。通常の注射タイプのワクチンは全身系の免疫は賦活(血液中に抗体を作る)させますが、大多数のウイルスが侵入してくる、咽頭や腸管の粘膜には抗体はでてきません。粘膜には粘膜固有の抗体しか存在しませんが注射タイプのワクチンはこの粘膜固有の抗体はできないのです。そして経口ワクチンは粘膜固有の抗体と血液中の抗体と両方を作らせることができます。又、腸管の粘膜を免疫すれば体の全ての粘膜免疫(例えば咽頭や鼻粘膜)が賦活されることも分かっています。
 針が必要ないワクチンは本当にいいですね。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
土田 穣

◇Health Record

JOMF加盟企業の産業医並びに労務管理に当たられておられる人事部乃至国際部などの担当者は海外赴任者(随伴家族を含む)の健康管理においても、常日頃意を配して居られる事と思います。

最近加盟企業の当地駐在員(家族を含む)の一部に、慢性疾患罹患者でその服用している薬剤の継続処方を本人の診断書や紹介状なしで、所望してこられた方がおりました。
又、お子様で当地の学校に編入などされる際に必要な予防接種証明書(母子手帳など)を持参されずに当診療所にその証明依頼のためにこられる保護者がおりました。
更に、過去の予防接種記録を持参せず、なにそれの予防接種をしてほしいと希望してこられる方も少なくありません。

当診療所で該当する薬は入手できる範囲で従来処方しておりますが、持病のある方で薬を服用している方は可能な限り薬は一般名(商品名ではなく)でその患者の医療記録に明記することを徹底して頂きたく、よろしくお願いします。

産業医が把握されない社員(かかりつけ医などがいて)については、海外派遣前のオリエンテーションなどを必ず実施して、持病のある方は当地では英文の診断書、紹介状などを持参するよう促していただきたく、よろしくお願いします。
ご存知のとおり、労働安全衛生規則で事業者は6ヶ月以上の赴任予定者には渡航前と帰国時に健康診断を行うことを義務づけています。
この規則の遵守をあらためてお願いするしだいです。

繰り返しますが、赴任者とその家族には、健康診断記録、既往歴・家族暦・予防接種暦などを含む個人の医療情報を英訳又は現地語訳した「Health Record」を必ず携帯させてください。出来ればFD又はCDにこれらを書き込み、それらと共に一枚その写しの紙を持参させていただければ幸いです。

当地の医師でこれらの記録を持参していないことや小児の母子手帳(日本で英文のものが入手できる)を携行していないことなどが時々話題に出て、お互いに眼を見合わせて顔に皺を寄せることがあります。

資源の殆どない国日本の生きる道は、海外との経済交流をおいて他にないことは申し上げるまでもないことです。このために海外に出られている企業関係者は今後益々増えることと思います。中国を初めとする怒涛のような日本の経済進出と裏腹に官民ともに未だに極めて不十分なのはこれらの人たちへの健康管理に関する対応振りではないかと小生は愚考いたします。彼らの健康を守り、幸せを掴むために進出企業と産業医をはじめとする医療従事者、労務管理者のより一層のご理解とご努力をここに再度お願いする次第です。
 


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
菊地 宏久  


◇心肺停止に遭遇した、さあ、どうする?

2004年9月9日インドネシア、オーストラリア大使館が自爆テロの攻撃を受けました。大使館に隣接するMetro Medical Centerには心肺停止も含めて多数の患者さんが次々に担ぎこまれました。とても悲惨な光景でした。
「もし、目の前で愛する人が倒れたら、あなたはどうしますか?」
命を救うのはあなたしかいないかもしれません。

心停止になんか誰も遭遇したくありません。でも今回のように職場で、学校で、海で、山で、プールで、ゴルフ場で、飛行場で、自宅で出会ってしまったら、どうしたらよいでしょう。
そうです。直ちに心肺蘇生法の処置を取らないと“その人”は死んでしまいます。
でも心停止って何? 心臓から血液を全身に送り出せなくなることです。
心肺蘇生って何? 心臓マッサージと人工呼吸などをすることです。
さらに疑問を持っていただいた方はすぐに家庭の医学類の書物で「救急」のページを開いて読んでください(今回は心肺蘇生の詳細について説明しません)。
そして電気ショックをかけてください。
「電気ショックなんて、そんな危険な医療行為が市民にも出来るの?」。
そうです。出来るようになったのです。 

AEDという言葉を聞いたことがありますか。2004年7月1日、日本厚生労働省から、「非常時に医師や救急救命士以外の一般市民がAED(automated external defibrillator自動体外式除細動器(電気ショック))を使用しても、医師法に違反しない」という報告が出されました。

AEDとは自動的に心電図を解析し、電気ショックが必要な状態かどうかを判断し、「心臓電気ショックをかけなさい」と自動的に指示を出す器械です。突然死の死因のほとんどは心臓疾患です。その大部分は「心室細動」という病気です。(※「心室細動」による死者は、年間約5万人と推測されています)。「心室細動」になると心臓がけいれんし、ポンプとしての役割が果たせず、助かるチャンスは1分経過するごとに約10%ずつ失われ、10分後にはほとんどの人が死に至ります。

この「心室細動」を正常な状態に戻す唯一の方法は、除細動(心臓への電気ショック)なのです。心室細動は、AEDさえあれば循環器科や救急科の専門医でなくても、一般市民が自分の手で救える唯一の心臓病なのです。しかし使える人が周囲にいなければAEDも役に立ちません。そこにいる人が「使い方を知らない」では助けられません。

いま日本では、市民の多く集まる場所、空港、学校、職場、公民館、サッカー場などにAEDが設置され始めています(米国ではすでに市街地の各地に設置され、市民による積極的な除細動による救命活動に取り組んでいます)。日本でも日本救急医学会、日本循環器学会、日本医師会などが中心となり医療関係者のみならず一般市民にも使用法の講習に取りくみ始めています。

皆様のように海外に住んでいる方々は海、空への移動も多く、緊急時の救命処置についても熟知しておく必要があります。日本各地で講習会が開かれています。一時帰国などの際、時間がある方はぜひ参加して、いざというときにすぐ対応できるようにしておきましょう。ジャカルタにおいても機会をつくり、「心肺蘇生法」、「応急手当」などの講習会を開き、皆さんと一緒に勉強していきたいと思っています。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇冬場の風邪流行に対して

今年で最後の大連になりましたがそろそろ冬場にさしかかり、空気は非常に乾燥しており風邪などの上気道炎がはやりやすい状況です。昨年はSARSの再発があるのではないだろうかとやきもきしていたら、再発はなかったもののトリインフルエンザが発生し、人間への感染力を持てば大変なことになるとの報道がなされ、またまた大変な思いをしました。皆さんご存知のとおりインフルエンザは中国南部での発生説が有力であり、今までの新型インフルエンザが発生した場合の被害の甚大さは報道でなされるとおりです。

たまたまSARSが流行したときには当地大連で診療を行っておりました。当時中国では政府が国民に衛生観念を植え付けようと色々なキャンペーンを行っておりましたがどうも最近はそれも忘れ去られているように思えます。また、インフルエンザの流行防止に関して有効な政策が打たれるのは難しいであろうと考え大連在住日本人社会に対しては一般的な風邪予防のための啓発とインフルエンザ予防接種の励行などを地道に行っていこうと動いております。