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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL04010101
シンガポール、フィリピン、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
吉田 泰司

◇SARS再来

 またSARSの患者が発生してしまいました。12月27日に疑い例として発表された広東省の男性が1月5日WHOとの協議の結果最終的にSARSと確認されました。幸いな事に男性の状態は安定しているようですし、密接な接触のあった人達も今の所問題なさそうです。今回はシンガポールや台湾の様に研究所のSARSウイルスが漏れたのでは無く、自然環境からの感染では2003年7月5日にWHOがSARS終息宣言を出してから初めてのケースです。研究所からの2例の時、私はもしかしたら次にSARSが流行する原因は研究所からの漏出が原因になるかも知れないと考えていましたが、終に自然界からも出てしまいました。この男性から得られたSARSウイルスは野生のハクビシンが感染するものに良く似ていると香港大学の研究チームが発表したことを受けて中国の衛生局は野生動物市場にいるハクビシン一万匹を処分することにしました。もともとハクビシンのウイルスは人間には病原性は無いようですが、たまたま人間に病原性をもつものが変異して現れることもあるのでしょう。

 そういえばSARSにかかり易い人種とかかりにくい人種がありそうということで、台湾の研究者が発表した事がありました。それはHLA-B46と呼ばれる組織抗原がある人はSARSにかかり易く、無い人はかかりにくいというものでした。このHLA-B46は福建、広東地方やベトナム等中国南方系の人達に多く、日本人には少ないそうです。一時期、日本人にSARS患者が出ない理由に様々な事が言われていましたが(ワサビ等)、科学的な説明がされるかもしれません。

 SARSは最近迅速診断キットが日本から発売されたようですが、未だ有効な治療法もワクチンも無い状態です。手洗い、うがい等基本的な事を続けていくしかないでしょう。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
土田 穣

◇肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌はご承知のように呼吸器感染症の病原体の中で、その病原性が最も強いといわれています。
わが国の肺炎の死亡率は依然として第4位(フィリピンでは第3位)で、ここ数年は上昇傾向すらみえています。その内約半分がこの肺炎球菌での死亡です。
小児では、肺炎のほか中耳炎、髄膜炎などの起炎菌としてこの肺炎球菌が1乃至2位を占めており、高齢者と共に小児の死亡率の高い疾患の原因菌なのです。

インフルエンザウイルスに多くの種類があるごとく、肺炎球菌には約90種類もあり、その内23種の菌型が成人肺炎の原因となる事が多いため、この23価の肺炎球菌多糖体ワクチン(pneumococcal polysaccharide vaccine 通常PPVと略されています。)が現在製造されています。但し日本やフィリピンでもこのワクチンは認可されていますが、製造されていませんので、輸入品です。
日本では萬有製薬が「ニューモバックス」という名前で発売しております。
当診療所では、Aventis Pasteur社の「PNEUMO 23」を本日現在1,190ペソの料金で実施しております。

又、日本でもフィリピンでも未だ認可されていない7価の肺炎球菌蛋白結合多糖体ワクチン(pneumococcal conjugate vaccine 通常PCVと略されています。)がありますが、これは2歳未満の乳幼児を対象としたものです。
米国では2002年からCDC(米国防疫センター)の勧告で、対象の全ての乳幼児にPCVの接種が勧められるようになりました。
2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、12~15ヶ月時の4回接種が推奨されています。

上記PCVが先にニュースレターで記述しましたヘモフィルスインフルエンザB菌(Hib)ワクチン等と共に一日も早く日本でも認可されるよう願ってやみません。日本の小児科医のみならず、日本のこれから生まれてくる子供達のためにも、厚労省などの関係当局の英断が待たれるところです。

肺炎球菌の多剤耐性が増加している現状では、次のハイリスクを有する人には特に肺炎球菌ワクチンの海外派遣前接種が大変重要であると考えます。
1:65歳以上の高齢者。
2:心臓や呼吸器に慢性の疾患がある方。
3:糖尿病の方。
4:腎不全や肝機能障害のある方。
5:脾臓摘出などで脾臓機能不全のある方。
6:免疫抑制作用を有する治療を予定されている方。

日本での同ワクチンの接種可能な医療機関については、お近くの保健所、かかりつけ医などにお尋ね下さい。
 


◆ジャカルタ

*医師交代により今月号は休載とします。
  


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇当相談室とSARS

大連で2度目の正月を迎えることができました。今年は昨年とは違いSARS騒動があったので、発熱患者を直接診察することができないという事態が続いております。しかしながら、このままSARSの流行がなければ恐らくは今春には発熱患者の診察は可能になると思います。そのような訳で今年は昨年ほど診察の仕事は忙しくはありません。ただ、SARSに関しての企業の関心は高く日本からの来訪者や在大連企業の訪問、問い合わせは増えております。

1月7日現在SARS患者は広州に1名発生しているだけであり、昨年のように非典型性肺炎に間違われ広く流行するというような状況はありえず、今現在の大連の医療体制(発熱患者は発熱外来へ行き、一般外来を受診することができない)を出来れば少し緩和したほうが在住日本人にとっては利益があるように見えます。発熱患者は原則的に診察することが出来ないためにインフルエンザ患者が増加してきているという状況にもうまく対処できていません。これは一昨年に当地で大流行したA型肝炎に関しても同じで、初発症状は感冒と似ているために流行状況把握のために昨年今年とも開催した肝炎セミナーにて在住日本人に向けて感染状況把握のための協力をお願いしました。

このような状況ではありますが、春に向けてできる限り日本人社会の健康を守るために工夫しながら診療を行っていくつもりです。