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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL03030101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールの日本人医療事情

シンガポールでは、比較的容易に外国人医師が資格を得る事ができます。日本人に関しても、ここシンガポールには4つの邦人向けクリニックが存在し、14人もの日本人医師が診療に従事しています。これは、日本人に限った事ではありません。他国の外国人医師も同様に許可を認められています。

実際、シンガポールの居住人口の4分の1は外国人です。多くの外国企業を誘致し、自国の経済発展に利用している事を考えれば、そういった外国居住者にたいして、快適な海外生活を保証するのも、一つの政策なのでしょう。

シンガポールの場合、特に現地の医療レベルが低いというような問題はなく、充分な医療内容が受けられます。ただし、日本人の場合特に言葉の問題が大きいようですが、たとえ英語圏の人々でも、やはり医療文化や制度の違い等によるとまどいは存在するようです。

当地の日本人社会医療事情についてお話しすると、14人も日本人医師がいるだけに、患者さんの要求も高く、日本においてと同じように、その医師の専門を考えて受診するケースもあるようです。実際、眼科の日本人の先生はいますかとか、整形は、といった問い合わせがよくあります。手続き上は一般医としてしか登録できませんが、日本人医師はみなもともと専門を持っています。近隣諸国で日本語の通じる医師を見つけるのさえ難しい状況と比較すると、シンガポールは非常に恵まれた環境であるといえます。

とはいえ、日本人医師がタッチするのは基本的にはプライマリーケアの部分であり、より専門的な内容や入院の際は現地専門医にお願いする事になります。こちらの入院設備を整えた病院は、通常オープンシステムといって、病院内で個人個人の専門医が独立開業の形をとっており、その特定の先生に紹介する形となります。検査や入院、手術が必要なときは、病院の設備やスタッフを利用して行うわけです。

日本の総合病院とは制度が大きく違い、支払いも医師に対してと、病院に対してと別々に発生します。日本人にはあまりなじみのない制度であり、時にとまどう事もあるようです。かかりたい医師を患者が選べるという利点がある反面、チーム医療ではないので、セカンドオピニオンを得る事が難しく、医師の独断を予防する方策がない、診療費も高くつく傾向にあるなどの弊害があります。最近ではシンガポールでも総合病院形式の病院も見受けられます。

基本的にシンガポールでは自由診療なので、かかる病院によって料金はまちまちです。国の定めた医療制度になれた日本人には、上手に病院にかかるのは難しいかもしれません。そんな時に、日本人医師がアドバイスする事もあります。

なお、私事ですが、シンガポール日本人会診療所での2年間の任期を終え、この3月を持ちまして退職する事になりました。自分なりに、現地邦人の皆様の健康増進に尽くしてきたつもりであります。個人的にも大変いい経験となりました。今後、後任医師に引き継ぐ事になります。2年間どうもありがとうございました。

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇フィリピンの医療レベル

都会と地方によってかなりレベルの差があるために一概に論じることはできません。日本人クリニックのバックにあるマカティメディカルセンターは、病院は古いのですが医学のレベルは日本とほぼ変わらないと言ってもよいでしょう。

ただし、専門家の数は少ないために、休日や夜間の急病には日本と同じような対処を求めることは難しいことがあります。夜間や休日は研修医が診断することになりますが、彼らはあまり責任感がなく、時に病態への対応がまずいこともあります。それでも、こちらに駐在されている日本人は、もともと健康にそれほど問題がないはずなので、健康人が急にかかる病気には平日ならばまず問題ないと言うことはいえます。セントルークス病院も同じようなレベルだと思われます。

セブなどになるとかなり医療のレベルは落ちるようです。やはり専門家の数が少ないために、医師同士が切磋琢磨することがあまりないことにも原因があると思います。

それ以外の病院は、残念ながらレベルは低いと言わざるを得ません。地方のレベルはかなり低いのが現実です。器械も古く医療の質が悪いことが多いため、風邪くらいならよいでしょうけれど地方での治療はお勧めできません。

マカティメディカルセンターはしっかりした病院なので、急病で日本に帰れない場合は治療や検査をうけても構いませんが、言葉の問題や文化の問題もあるため、基本的には複雑な病態がある人には日本で治療をうけることをお勧めしています。


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇赤痢アメーバ症

本格的な雨期に入り、下痢を主訴に医療相談室を訪れる人が増えています。下痢の受診者は年間を通じて多く、年間総受診者の約14%を占めますが、大部分は高温多湿の気候や衛生面の悪さから生じる感染性胃腸炎で、アメーバ赤痢はその内約20%に認められます。

赤痢アメーバ症は細菌より大きいアメーバという原虫による感染症で、大部分は腸管病変だけのアメーバ赤痢ですが、時にアメーバは腸管以外にも移行し腸管外病変(主に肝膿瘍)を形成することがあり注意を要します。発症は急性型、慢性型、全く無症状で経過する場合もあり、また発熱や腹痛の程度もいろいろで症状だけでは判断できませが、検便検査で顕微鏡下にアメーバの検出により診断がつきます。

感染経路は便で汚染された飲食物を介しての経口感染で、たとえアメーバ赤痢に罹患しても日常生活上で家族や会社の人に伝染する危険はありません。日本では、99年の伝染病予防法の廃止前までは赤痢として隔離対象の疾患であったため、危険な病気との印象が強く必要以上に不安を抱く人も多く、電話相談をしばしば受けます。伝染性の疾患に違いありませんが、アメーバは糞便中にしか存在せず、排便後の手洗いさえ励行すれば人に移すことはありません。下着をひとまとめに洗濯しても、子供と一緒に入浴しても全く問題はなく、また外出禁止の必要性もなく、病気そのものもメトロニダゾールという抗アメーバ薬を内服すれば完治します。

熱帯地方では、アメーバやランブル鞭毛虫などの原虫症、回虫などの寄生虫症はごくありふれた疾患で、たとえ症状が無い人でも定期的に検便検査を受けることは重要です。

健康診断に便検査の項目がありますが、それは一般には便潜血検査で腸管からの出血の有無を調べているもので感染症の検査はしていません。医療相談室では顕微鏡による便検査も即時に出来ますので、少しでも胃腸の具合が悪い人は受診することをお勧めします。

◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇この1年を振り返ってみて

初めての海外生活からほぼ一年が過ぎました。海外生活に関してのオリエンテーションを受けてここ大連に降り立った頃に比べて随分と生活・仕事にも慣れてきたように思います。やはり今まで日本で育ってきたと言う経験から今でも当地の習慣に関してなれない部分はあります。

海外生活でのストレスと言うのはどこの国でもあるとは思いますが、当地でのその最もたるものはスピードではないでしょうか。日本にいれば何をするにしてもこのようなゆっくりしたスピード感覚はないでしょう。これに対していらいらすることはたくさんあります。患者さんは当然日本人ですから、日本のスピードを求めてきます。しかしながら中国の病院の中で日本人一人で仕事をするにあたりどうにもならないことが多々出てきます。日本人からの要求と当地のゆっくりした仕事振りの間で悩むことは非常に多くあります。

次に問題となるのは仕事の正確さでしょうか。物事を進めるにあたって日本人のように正確に進まないという状況があります。これも上記と同じように日本人の要求と当地のレベルの違いのために問題が起こることがあります。

その他にもありますが、上記のような状況はもちろん私だけでなく当地で仕事をされている日本人の多くが感じていることでしょう。これはまさに日本と当地での習慣の違いから来るものと思われます。郷に入りては郷に従えとはいうものの、今までの習慣及び日本人の要求水準と当地で可能と思われる水準との間でストレスを感じている方々も多いように思われます。

仕事に慣れない頃はこれも文化の違いと言い聞かせていた節もあります。しかしながら、今後はこれらの事情を出来るだけ改善し、より良い医療を提供できるように少しずつでも良い方向に変化させていければと感じています。