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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL03020101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールでの上気道感染症

 この原稿を書いている時点で、日本ではインフルエンザが猛威をふるっているとのニュースが報道されています。ここシンガポールでも最近、インフルエンザの患者さんが見うけられます。

 突然の高熱と全身倦怠感に見舞われた人がクリニックで検査をしてみると、日本と同じように、A型インフルエンザが検出されます。年末年始の休みに日本へ一時帰国した人や受験で日本に渡った人がシンガポールに持ち帰ったりするようです。

 もちろんそれは日本人に限った事ではありません。北半球の欧米諸国の人々も同様です。北半球でインフルエンザや上気道感染症の増えるこの時期、シンガポールに持ち込まれる感染症は増加し、患者数も増加します。

 シンガポールは常夏のため、いわゆる風邪や、インフルエンザなどはあまり存在しないと思われがちですが、現実にはそうではありません。インフルエンザに関しては年に2回の流行があります。南半球が冬である時期に、オーストラリアなどからインフルエンザが持ち込まれるのです。したがって予防接種も年に2回必要になります。

 シンガポールは確かに暑い国で、降雨量も多く湿気が多いです。しかしながらビルや乗り物など、ひとたび中に入ると、必要以上に冷房が効いているのに驚かされる事が多いです。外はどこも暑いですが、逆に屋内は涼しすぎるほど涼しくエアコンの影響で湿度も低いです。この内外温度差で体調を崩す人がたくさんいます。外で汗をかいて、室内で汗が冷えて風邪を引いたりもします。

 また、湿度が低い環境で生活すれば喉の粘膜も乾燥し、ウイルスなどの病原体の付着侵入を容易にします。インフルエンザが日本で2月に最も流行するのは、この時期に空気が最も乾燥するからです。シンガポールでインフルエンザをはじめとした上気道感染が流行するのは、この事が影響しているのでしょう。またエアコンを効かすために室内は閉め切られる事が多いので、一人感染者が出れば容易に同じ室内で過ごす人々に感染が広がるわけです。

 したがって、当地で生活するにあたっては、その事をよく肝に銘じ、汗を冷やさないように注意をする事、こまめに水分を摂取したりうがいをして、常に喉を潤わす事が重要です。あまり冷房を効かせ過ぎないようにし、時に換気をする事も必要でしょう。

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇全身倦怠と腸チフス

 マニラで邦人を診療していると、長く続く全身倦怠感のみを症状として来院する方がおられます。日本ではおそらく心身症とか更年期障害とか、あるいは鬱病などと診断されるような症状です。中には微熱がある人もいますが、この人たちの何人かに腸チフス抗体が陽性で出ます。本来は腸チフスの診断は便や血液の培養をして、実際に菌がいることを証明しなければなりません。

 ところが、もともと便は種種雑多な菌の固まりであり、血液中の菌は、濃度そのものはそれほど濃くなく、従って培養してもよく分からないということが少なくありません。患者さんに腸チフスの症状が強ければ、悪さをしている菌の量も多いでしょうが、症状が軽い人では菌は当然少ないということもあるでしょう。このように菌の証明は難しいことが多いし証明に時間もかかるので、やむを得ず抗体をチェックすることで間に合わせるのですが、この抗体が陽性に出る方が多いのです。

 上記のような症状を持つ日本人が腸チフスに効く抗生物質を服薬すると、一日で長く悩まされていた症状が消失してしまうことも珍しくありません。もちろん抗生物質が効くからと言ってそのすべてが腸チフスというわけではないのでしょうが、確かに腸チフス抗体が陽性の人がいます。

 日本人は生活程度が良く、もともとの健康状態にも問題がない人たちなのでチフス菌が体に入ってもその数そのものが少なく、体にも抵抗力があるからなのかもしれません。抗体が陰性でも、菌が少なければ抗体が測定できないレベルまでしかあがらないことも考えられます。

 日本で読む本には、腸チフスに罹患すると高熱が出るとか、腸に穴があくことがあるとか、放っておけば死ぬことも多いとか恐ろしいことが書いてあります。

 確かにかつて日本でも腸チフスやパラチフスがありふれた疾患だった頃には、そのような経過をたどって死んだ人も多かったのです。今でも、一般的なフィリピン人の間ではかつての日本と同じで腸チフスはありふれた病気で、もちろん死ぬ原因となり得ます。

 全身倦怠感と腸チフス、教科書には載っていない、とてもおもしろい現象だと思います。

◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇虫垂炎

 いわゆる「盲腸炎」といわれている虫垂炎は、最近減少傾向にありますが、依然として頻度の高い急性腹部疾患です。

 虫垂は右下腹部に位置しており、大腸の始まりである盲腸の内側から外へ突起状に突出した長さ約7cmの紐状の管腔臓器です。糞石や異物、あるいはウイルスの感染などにより虫垂の内腔が閉塞すると腸内の細菌が異常に増殖して炎症を起こします。虫垂管腔のリンパ濾胞の発達する10~20歳代に最も多く、5歳以下では比較的稀ですが、小児では進行が早く発病後1~2日で腸穿孔を起こし緊急手術が必要となる場合があります。

 症状はまず最初にみぞおちに鈍痛が起こり、炎症の進展とともに腹痛は右下腹部に限局し、手も触れられないような持続性の疼痛となります。悪心、嘔吐、食欲不振、便通異常などの消化器症状、炎症による発熱も出現します。

 診断は自覚症状の経過、腹部診察所見、血液検査(炎症の度合)、超音波検査(虫垂の大きさや腹水などの有無)などで行いますが、確定診断は意外にむずかしく、虫垂摘出手術が実施された例でも実際には虫垂炎でなかった場合がしばしばあります。

 鑑別診断としては、胃腸炎、憩室炎、尿路結石、婦人科疾患などが挙げられますが、インドネシアでは特に感染性胃腸炎が多く確定診断は一層困難となります。当地の医者は重篤な穿孔性虫垂炎の可能性を危惧するあまり、腹痛、発熱があれば即座に虫垂炎の診断をつけ緊急手術を勧めますが、症状の増悪傾向が無ければ手術を急ぐ必要はありません。

 歩行が普通に出来たり、あるいは点滴や抗生物質投与により腹痛などの腹部症状が改善すれば経過を見ていても手遅れになることはまずあり得ません。当地の医療水準では術後管理に問題があり、術後合併症のリスクも高く、虫垂炎の早期開腹手術は勧められません。

◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇中国の旧正月

 前号で書きましたとおり、中国では農暦にしたがって旧正月のほうが新正月(1月1日)よりも重要なようです。中華圏(香港・台湾など)はもちろんのこと、韓国や東南アジアでも農暦を重要視するようで、アジアで旧正月を特別視しないのは日本くらいなものでしょうか。

 中国に赴任してもうすぐ一年になりますし、海外生活というのも初めてなものですから、外国から見る日本は内から見る日本とは違って見えます。海外で医療をしていて習慣やメンタリティの違いで初めのころはかなり違和感がありましたが、今ではその中国にも慣れて、ものの見方も少しは変わったように思えます。

 仕事面で言うなら、日本では何か症状があると検査をする頻度が中国に比べて多いように思えます。また、薬を処方する機会もやはり中国に比べて多いように思えます。もちろん、検査をして異常がないのを確認することは重要なことですがそれにしても検査・投薬が多いように思えます。これは一つは日本独特の医療制度にあるとも言えますが。

 旧正月に話を戻しますが、この時期は昔の日本の正月のような雰囲気があります。最近の日本では正月だから休業する店というのは減ってきていますが、中国では春節の一週間前よりぼつぼつと閉店する店が出てきます。

 また、年末は春節に向けての買い物をする人で店は非常に混雑しております。その際に驚かされるのは一人一人の買い物の量です。もともと感じていたことですが、春節前は特に日本人の私から見ると非常に多いように思えます。

 最近は中国人の買い物の量が多いのには慣れてきたはずですが、それでも違和感を感じるくらいの買い物をします。そのほかにも新年を迎えるにあたり色々な物を新調したり、髪型を変えたりして新年を迎えます。これも縁起をかつぐことを非常に好む中国人独特の習慣でしょうか。

 また、日本ではおせち料理を用意しますが中国では大晦日に家族みんなで餃子を作るのが習慣なようです。以上の様に最近の日本では、年末の慌しい雰囲気が徐々にですがなくなってきていますが中国では未だに健在です。

 さて、大連在住日本人についてですが、上記のように春節は非常に重要な行事であるためにほとんどの中国人は春節の間は実家に帰ります。工場の工員のほとんどが大連在住者ではないことが多く、よって工場なども操業不可能になるために在大連日本企業もこの時期は休みになるところがほとんどです。このために大連在住日本人は帰国されたり、どこかに旅行されたりする方が多く、大連在住日本人はかなり減るようです。

 当相談室も春節の間は休業いたします。春節明けは昨年度はA型肝炎が非常に流行したために、1月に肝炎セミナーを開き、ワクチン接種を呼びかけました。しかしながら肝炎には注意しながら診療を行っていきたいと思います。