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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL03010101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールの医師事情

シンガポールは東南アジア諸国の中でも高い医療水準とサービスを誇り、近隣諸国からの患者の流入は、大きな外貨獲得手段となっており、この国の経済戦略上、医療は重要な位置を占めます。ところが最近ではシンガポール国内での医療費の高騰と、クアラルンプールやバンコクによる医療サービスの充実により海外からの患者の数は減少傾向にあります。そんな中でシンガポールは様々な方針変更を打ち出しています。
シンガポールでは先進国に比べ医師数が不足しています。例えばアメリカでは医師一人当たりに対する国民の数は400人、イギリスでは600人ですがシンガポールでは720人です。

そこでシンガポール大学医学部では医学部以外の学部を卒業した者の医学部入学を受け入れる方針を発表しました。また、従来医学部には女性入学数の上限が決まっていました。女性医師が家族の世話をするため引退してしまえば、医師養成に投じた国費が無駄になるという論法に基づき、1979年より毎年の新入生のうち女性の割合を3分の1以下と決めていたのです。しかしながら、医師を引退する率は男女でそれほど違いはなく、人材確保の観点からも女性に男性と同等の機会を与えるよう、方針を変更するようです。新たな医科大学新設の動きもあります。

従来からも主にイギリスやアメリカなど外国の大学を卒業した医師を認めたり、その他の外国人医師を限定付きで受け入れたりしてきました。現在外国人医師数だけでも150人以上にのぼります。これについても将来的な医療サービスの拡大と医療の質の向上を目指して、より積極的に行っていく方針のようです。通常、医師の資格というものは、ある種の利権のようなものであり、諸外国では外国人には、なかなか資格をくれません。ところがシンガポールは逆の発想で、むしろ外国人医師を多く受け入れることにより、利益を誘導しようと考えています。
シンガポールは、今後医療サービスを海外からの患者が来るのを待つのではなく、アセアン経済ブロック誕生をにらんで、様々な形での関係諸国への医療サービスの輸出ということを考えています。将来どのように変化していくのか大変興味深いところです。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇駐在日本人の生活状態、男は辛いよ

 フィリピンに長く住む人たちによれば、フィリピンに駐在する日本人とその生活の質がここ数年で大きく変わったといいます。具体的には派遣者の数が減って、年齢層が下がり、駐在者の数は減った分仕事が忙しくなったということです。小さな子供を持つ親が増えましたが、単身赴任者の数も増えたそうです。日本の経済状態が悪くなり、各企業はお金がかからない若い人を派遣し、ブレインとなるエグゼクティブクラスをなるたけ日本にとどめておこうという戦略があるのだと聞きました。昔はフィリピンに派遣されていた人は危険手当として給料を多くもらい、競争企業相手も少ないためにそれほど忙しく働く必要はなく、金持ち生活を謳歌して楽しんだ人も多かったようです。現在では、人件費の安い国へ進出してきた企業間で競争が激しく、日本とそう変わらない給料で駐在員たちは夜遅くまで働き、疲れている人が多い印象を受けます。日本で行われていた競争が単に海外に場所を移して行われているかのようです。ストレスや生活環境の変化から、高血圧や高脂血症などの生活習慣病が悪化するひともいます。また、知識のなさから性病にかかる人も多くいます。男性は仕事や日本人の接待で夜遅く帰り、家族がいてもすれ違いと言うこともまれではありません。
日本人はもともと海外にどんどん進出し土着するような攻撃的な性格ではないと思います。そういう人種が余裕のない海外生活を送れば、いずれ精神や健康を慢性的に害する病気を発症することになるのではないかと心配します。


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇皮膚真菌症(白癬)

いわゆる「かび」による感染症を真菌症と総称します。その大部分は白癬といわれる皮膚糸状菌感染による皮膚病変です。白癬菌はケラチンを分解することができ、皮膚、爪、毛などに持続的かつ慢性的に感染します。症状は一般に痒みを伴う発疹で、感染部位によって、足・爪白癬(みずむし)、体部白癬(たむし)、股部白癬(いんきんたむし)、頭部白癬(しらくも)、手白癬などにわけられます。感染経路は接触感染で主として人から人へ感染しますが、最近は犬やねこなどのペットからの感染が増えています。

高温多湿のインドネシアでは白癬、特に足・爪白癬(みずむし)が多そうに思われますが、Japan Foot Week研究会の調査によると、実際は日本より少なくむしろロシアなどの寒い国の方が多い結果となっています。気温よりも靴をはく習慣の方が感染のリスクが高く、サンダル履きや床にマットを使用しない当地では皮膚に白癬菌が付着しにくく、罹患率は低いと考えられます。最も感染のリスクが高いのは家族内感染で、加齢、男性、ゴルフ、高コレステロールなどがリスク因子に挙げられています。ゴルフをする機会が多い駐在員の方は、シャワー室のマットやスリッパから白癬菌が感染する場合が多く注意を要します。また長時間靴をはいていると足が蒸れて増悪しますので、出来るだけ靴をぬいで風を通し、足を乾燥させるよう心掛けてください。

白癬菌を短期間で治癒させる薬はなく、外用薬を根気よく長期間使用することが肝要です。ただ爪白癬に関しては外用薬の効果が期待できないので内服薬が必要です。病変に細菌の二次感染を起こしてから来院する人が多々ありますが、症状が痒みだけの時に早めに受診し治療することが大切です。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇冬季の大連の医療状況

中国大連に在住し始めてはや9ヶ月となりました。今この原稿を書いている時点では、日本ではもう年の瀬も押し迫り年末の雰囲気が漂っている頃でしょうが中国及び周辺の中華文化圏では2月の旧正月のほうが遥かに重要です。大連在住日本人も中国にならってか新暦の正月に帰国されたり、仕事を休まれる方はおよそ半分くらいで残りの半分は1月1日元旦以外は仕事をされているようです。よって、私自身もあまり年末の慌ただしい雰囲気という感じがしません。当相談室のスタッフも元旦自体は普通の休日と同じように過ごすようで、新年を迎える宴会などはまったくありません。(その代わり中国では一般に1月末に行われるようです。)

さて、現在の大連の状況ですが以前のニュースレターに書いた通り当地では夏から秋を飛ばして冬になるといった感じで10月半ばより突然寒くなりました。その後は全くの冬で、最近は最高気温ですら零下2~5度といった具合です。以前私は青森に3年間在住していましたがさすがにこの寒さは経験したことのない寒さです。このような寒さの中ではいきおい外での娯楽はなくなるようで地元中国人や在住日本人に関わらず運動不足になるようです。実際に冬の間は何をしているのかと地元の人に聞いてみるとテレビを見る、麻雀を打つ、皆で集まっての食事などの家の中での娯楽だけのようでした。在住日本人も同じような状況でこのような寒さの中でもゴルフをされる方もいらっしゃるようですが、ほとんどの場合は地元の人と同じような状況のようです。このような中では運動不足により糖尿病や高血圧、高脂血症の管理に必要な運動療法の指導も難しくなってしまいます。実際に上記のような生活習慣病の悪化が冬季には起こるようで、血圧の上昇や血液検査の数値の悪化を認めることが多いです。

このような状況の中での指導というのも難しいものがありますが、慢性の生活習慣病に関しては日々の生活指導が治療の最も根幹をなすものですから家の中で出来る簡単な体操などを指導したり、ホテルに住まわれている方などにはスポーツクラブでの運動を勧めています。
また、冬季は当地でも日本に同じく感冒が非常に増えてきます。中国といえばインフルエンザの発生源ともされていますので非常に警戒していましたが実際に診療していると日本と比べても特に多いとは感じられません。11月にインフルエンザワクチンの接種を機会を捉えて何度も勧めてきたこともあり、また、日本に比べて当地のほうがワクチンを接種されている方の割合が多いこともあるためか全外来数に比べてのインフルエンザ患者の割合は少ないと感じました。今後とも予防できるような病気に関しては積極的に予防措置の啓発を行っていきたいと考えています。(この一環として1月には当地で昨年非常に流行したA型肝炎セミナーを行う予定でいます。)