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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL02120101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇サラダバーの安全性について

日本のファミリーレストランなどでお馴染みの生野菜のサラダバーは、ここシンガポールでも、多くのローカルフード店やレストランチェーンで見受けられます。新鮮生野菜のサラダは栄養やダイエットの面からも人々に人気があり、また手の加えられていない食料は、より健康的だと考えられているようです。

しかしながら日本でも貝割れ大根からO-157という大腸菌が検出されたことが一時話題になったように、アメリカやカナダでもアルファルファなどの野菜からO-157やサルモネラ、リステリアなどが検出されたという報告があります。

新鮮とはいえ、野菜は病原体に暴露する多くの機会をはらんでいます。生産地では土壌中に存在する菌だけでなく、動物や人の腸から排出されたカンピロバクター、大腸菌、サルモネラ菌などが汚水や不適切な肥料などを介して、付着する危険性があります。その後の運送、保管、集配時も汚染の危険性は少なくありません。ひとたび汚染され、不適切な温度や時間の条件下にサラダバーとしておかれれば、菌が繁殖し病原性を発揮する可能性があります。

そこで先日、シンガポール環境省の食品管理局が、レストランのサラダバーの野菜とドレッシングについて微生物の検査を行い、その結果が報告されましたのでその内容について触れてみたいと思います。

分析の結果、サンプルの野菜からはサルモネラ、O-157大腸菌、ボツリヌス、赤痢、カンピロバクター等の病原菌は全く検出されず、サンプル全体の0.03%からブドウ球菌が検出されたのみとのことです。ドレッシングからは何も検出されなかったようです。

この結果について食品管理局は、野菜の適切な取り扱い、保存、加工、陳列を行うためのマニュアルにそって準備がなされている成果だとコメントしています。そして最低限、以下のような事項を遵守すべきと結論づけています。

1. 直に手で取れるものはより近くにおくように。
2. サラダをとる用具は大きめのものを使う。
3. 消費者がその場で味見したり、一度とったものを戻したりすることのないよう、内容表示を明確にする。
4. 手で取ったり、その場で食べないよう注意書きを掲示する。
5. 定期的にサラダバーの状態や消費者の素行をチェックするスタッフを多くする。
6. 生野菜と肉類のブースを分離する。

なるほどと思える内容と、何もそこまでと思える内容もありますが、様々な生活習慣の異なる人種の集まるシンガポールですから必要なことかもしれません。それに暑い国ですから、食品の衛生には十分注意したいものです。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇売春について

性を交換の対象とすることは古くからフィリピンの生活の一部であった。一方、産業としての売春は、米軍がフィリピンに駐留するようになってからこの国に根付き発展してきた。性産業は当初、スービックやクラークなど米軍基地周辺で栄え、その後マルコスの観光奨励政策のもとに売春が黙認され大都市に広がっていったのである。米軍基地はなくなったが、オーストラリアや日本、その他の国々からの観光者がこの国の性産業を支えている。

日本とフィリピンの性産業との関わりは、マルコスが1972年に戒厳令を敷いて治安がよくなり、日本人にとって身近な場所で渡航費がそれほどかからないことに日本の旅行会社が目をつけ買春ツアーを組織したことに始まる。1972年に日本からフィリピンへの渡航者の数は6803人であったが、翌年には2万1728人、79年には17万5691人と増加し、8割が観光目的、さらにこのうち9割以上が男性であった。同時に、このころからフィリピンから日本にくるフィリピン人も増加した。81年代以降、戒厳令が解除されフィリピンからの渡航が比較的自由になったことも来日フィリピン人の増加に拍車をかけた。日本へ不法入国したフィリピン人女性が売春業に従事し、ジャパ行きとして日比両国の社会問題となったのもこのころからである。景気がよかった頃は、日本人がフィリピンで札束を切って一流ホテルで買春を行う光景もあり、現在ではフィリピンに一万人以上の日比混血児がいると言われている。今は日比両国の締め付けと、景気の鈍化があって、性産業はかつての規模の3割ほどになっているという。

性産業に従事するエンターテイナーの多くは貧困層出身者で、親戚を頼って都会に来た者もいるがほとんどは紹介業者によって田舎からリクルートされてくる。フィリピンは貧富の差がきわめて大きく、貧困層の生活環境は悲惨であり、健康や人権に対する最低限の保証もない。無教養なため中には性奴隷として、最初から売春宿(置屋)に売られることもある。買春ツアーが盛んだった頃は日本のやくざも絡んでおり、今でもやくざは怖い女衒のイメージとともにフィリピン人なら誰でも知っている単語である。かれらエンターテイナーの目的は金であり、最終的には外国人と結婚することである。あるいは海外で金を稼ぎ、裕福になって帰国することである。フィリピン人は大家族主義で生活態度は刹那的で、もうけの多い者は1人で何人もの定職のない親戚を養うことになる。そのため、稼ぎの大部分を店がとるとしてもセックスワーカーはなくならない。もちろん売春はフィリピン人にとっても恥ずかしいことであるのだが。

フィリピンの性産業は現在過剰気味であるが資本主義の流れの中で競争をし、外貨獲得の一翼を担っている。ちなみに、エンターテイナーの性病対策は、客である外国人を性病から守るために存在すると言われている。


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇尿路結石症

尿路結石症で医療相談室を訪れる人は、日本と比べ多く認められます。尿路結石症は尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が存在する病態です。尿中にある尿路粘膜上皮の脱落細胞や細菌塊、小結晶などが核となり、尿の溶解物質がその表面に次々に析出して大きくなり結石となります。結石成分としては、約9割がカルシウムを含むもので、高尿酸血症に伴う尿酸結石はそれほど多くはありません。高温多湿の当地では発汗に伴う水分の喪失量が多く、体はいつも脱水気味で尿量は少なくなり、結石ができやすくなります。

一般に結石ができても無症状ですが、結石が腎盂や尿管などの尿路に嵌まり込み、尿の流れを妨げると、下腹部や腰部に激痛が出現し、しばしば、肉眼的血尿、悪心、嘔吐や冷汗も伴います。

大きさが5㎜位までの結石は自然排出が期待でき、まず内科的な治療を行います。疼痛発作の時には鎮痛剤の投与を行いますが、その痛みの程度は大変激しく、時に麻薬を必要とする場合があります。症状には重篤感がありますが、緊急手術を要することはほとんどありません。疼痛が治まった後は、積極的に飲水と運動に努め、結石の自然排出を促します。

内科的治療がうまくいかない場合は、外科的治療の適応となります。最近は、開腹手術をせず、体外から衝撃波を当て大きな結石を砕いて小さくし、自然排石を促す方法や内視鏡的手術で結石を摘出する方法がよく行われています。

結石が一旦消失しても、尿路結石症は再発することが多く、常に経過観察が必要です。

また、当地では尿量減少が誘因となる尿路感染症(膀胱炎、腎盂炎)も多く、予防には日頃から十分な水分の補給に努め、尿量を増やすことが日常生活上大切です。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇当地でのインフルエンザ対策

大連では11月末現在既に最高気温は5度前後、最低気温は零下5度前後となっており感冒が流行してきております。これから当地でのインフルエンザ対策について書いていきたいと思いますが、インフルエンザ・普通感冒に関わらず外出先から帰宅時のうがい・手洗いの励行や室内の加湿、充分な休養などはその予防に最も重要です。

さて、当地のインフルエンザ対策に関してですがインフルエンザはウイルス感染という意味においては感冒の一種ですが、その違いというのは
①一時的に大規模な流行を引き起こし
②肺炎などの合併症により高齢者を中心に多数の死者を出し
③ワクチンなどによりある程度の予防が可能で、かつ、最近は抗インフルエンザ薬が存在する、
という点において普通感冒とは大きく違います。

日本では
①ワクチンを接種することを勧め
②診断に関しても咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液などによる簡便な迅速診断キットが存在するため素早い診断が出来
③感染後も抗インフルエンザ薬を投与し
④インフルエンザの感染状況などのサーベイランス情報網も充分に機能している
というインフルエンザ対策に関しては非常に有効な対策が打たれています。
また、抗インフルエンザ薬というのは感染後早期投与が必要なわけですが、二次医療医療レベルの24時間救急医療が多数存在しているために結果的に早期診断・早期治療が可能という一般的医療状況も非常に整っております。

当地の医療事情としてはワクチンの接種は勧められているものの、経済的事情から日本ほどは普及していません。これは一時的に大流行を引き起こすインフルエンザを押え込むという意味ではワクチンの普及率は非常に重要と考えられるために日本に比べて状況は良くないと言わざるを得ません。また、抗インフルエンザ薬も存在するものの高価なためにほとんど普及しておらず重点病院ですらないことが多いというような状況です。迅速診断キットも存在しないため、抗インフルエンザ薬があったとしても早期治療は難しく結果的には治療は普通感冒と同じく対症療法が中心となります。サーベイランス情報は存在するようですがインフルエンザを予防するためには日本が実行している①~④が十分に機能して初めて有効と言えるためになかなかうまく機能していないというのが実状です。

当医療相談室としてはこのような状況の中で、できる限りのインフルエンザ対策を打ち出さなければなりませんが上記対策の中で当相談室に出来ることに限りがありますが、インフルエンザワクチン接種を勧めること・抗インフルエンザ薬を用意できるだけ確保すること・日本人社会の中のインフルエンザ感染動向を踏まえつつ治療に当たること、などを念頭に今後のインフルエンザ流行時期の診療を行っていこうと思っています。