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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL02070101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールの医薬品について

 最近、シンガポールで医薬品にまつわる事件が話題になりました。スリム10という中国製の痩身薬があるのですが、それを服用していたシンガポールの女性タレントが劇症肝炎となり入院、最終的には生体肝移植を受けて一命を取り留めたというものです。果たして本当にこの薬が原因なのかどうかは定かではありませんが、その後も同じくこの薬を服用していたインド人女性が劇症肝炎となり死亡し、その関連性が一気にマスコミで報道されました。スリム10はシンガポールでは有名な痩身薬で、多くの女性が服用していましたが、現在では市場から撤去されています。

 これを受けて、先頃シンガポールの保健省は、この薬剤の調査に乗り出しています。それによるとスリム10には中枢性に食欲を抑制する作用のある交感神経作用薬のフェンフルラミン、ビタミンの一種で糖質、アミノ酸、脂質などの代謝を円滑にするニコチン酸アミドが含まれています。そして、保健省はこれまでに、上記の劇症肝炎症例2例を含んだ計3例の肝障害症例と、12例の甲状腺機能亢進症症例の報告を受けているとのことです。これらの報告については現在その因果関係を調査中で、現段階では本当にこの薬剤が原因であるのか確証は得られていません。しかしながらスリム10を服用した人については、肝機能および甲状腺機能をチェックし、経過を追うようにとの事細かな通達が各医療機関になされました。

 シンガポールでは基本的に医薬品は輸入品であり、日本ではなかなか認可されないために手に入らないような医薬品、例えば生活改善薬といわれるような痩身薬や育毛薬といった類のものも多数手に入れることができます。また、中国などから漢方薬やそれに類する医薬品がたくさん入ってきます。もちろん、保健省は常に目を光らせているわけですが、得体の知れないものもないわけではありません。

 こういった薬は市販されているわけですが、思わぬ成分を含んだものもあります。効能だけに目を奪われてしまうと思わぬ事態に遭遇するかもしれません。海外での医薬品購入には十分注意しましょう。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇最近の気になる感染症状況

赤痢アメーバ

 赤痢アメーバの患者も一時期、来院する方が増えて六月中に合計十人ほどでした。症状は渋り腹が少しあって便の回数が多いだけの方から、嘔吐と下痢を繰り返し点滴を必要とする方まで様々です。

 急性期は服薬で数日間で症状が消失します。薬によっては頭痛や全身倦怠感、嘔吐等の副作用が強く出ることがあるので、副作用が出た場合には薬を変更します。


サルモネラ腸炎

 サルモネラ菌は多くの型に分けられる菌種でそれだけに実際には様々な症状を呈するのですが、そのうち腸炎がもっとも目立つ症状です。自然治癒傾向の強い疾患であり、抗生物質によっては治療後の再排菌を来す例があり、逆に罹病期間が長くなる場合さえあります。症状が軽ければ、教科書的には抗生剤の適応とならない病気です。しかし、症状からは他の細菌による下痢症と区別がつかない場合が多いので、治療は他の細菌性消化管感染症に対しても効果がありサルモネラであっても後の再排菌が少ないニューキノロン系の抗生物質を服用します。


腸チフス

 これらを起こす菌もサルモネラ菌の一種ですが、他のサルモネラ感染症とは臨床症状が違います。病初期は熱や悪寒、頭痛で始まり、典型例では最初の一週間で徐々に衰弱してきます。1/3の症例では水様下痢を伴い長く続きます。典型例では約四週間の経過をたどり治りますが、抗生物質がなかった時代の死亡率は10%を越えていたそうです。現在は死ぬ病気ではありません。

 昨年一年で当診療所では、血清検査で腸チフスと診断する(本来は細菌培養検査で診断するのですが、外来では手技上の問題で行いにくいため主に抗体検査と古典的検査の二種を実施しています)患者が10人以上発生しています。これまでのところ、患者の症状は軽い腹痛と長く続く微熱および強い倦怠感等ですんでいます。あるいは確定検査(培養検査だが擬陰性が多い)を行っていないために擬陽性の患者が含まれているのかもしれません。

 3年間は予防に有効な注射があるので、学童以上の年齢に達している人で移動立ち食い出店などをよく利用する人は注射を受けた方がよいでしょう。(幼児にはまれなため必要ない)ワクチンは当クリニックにあります。


デング熱

 去年はデング熱の当たり年でした。今年も六月中に二人の患者がいました。幸いなことに現時点では外来通院ですんでしまっています。


◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇A型肝炎
 肝炎を起こすウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型などがありますが、日常生活で特に問題となるものはA型とE型肝炎です。これらは汚染された飲食物を介して伝染する経口感染ですので、なまものの摂取には十分注意が必要です。日本では衛生環境の整備とともに発生数は大幅に減少して、急性肝炎としては2000年の感染症動向調査の報告ではA型379例、E型4例となっています。当地では衛生状態が悪く感染症調査も対策も十分には実施されていないため、これらの伝染病は日常的に流行しています。今年1月から6月までの間に当医療相談室に黄疸で来院された4人の方が、急性A型肝炎で入院加療となっています。

 A型肝炎は38度以上の発熱、全身倦怠感、咽頭痛、頭痛、下痢、腹痛等の風邪症状を示すことが多く、風邪と診断されている場合があります。通常、小児では病状も軽く黄疸を示すことは少ないのですが、成人では症状が重く、約1%は重篤な劇症肝炎になり命取りになることがありますので注意が必要です。風邪が長引く場合は血液検査を受けるようにしてください。A型肝炎はB型、C型と違って慢性化はしませんので治癒すれば経過観察の必要はありません。

 予防は加熱した物以外は口にしないことで可能ですが、あまり病気を恐れて生野菜や生のジュースまで控えるということは実際的でないと思われます。最近は安全で効果的なワクチンが開発されていますので、是非接種を受けるようにしてください。日本では95年から接種が可能になりましたが、3回接種が必要で時間的に間に合わないという方が多いと思います。当相談室では1回目の接種後2週間で90%以上の人に予防効果があるとされているワクチンを常備していますので、予防接種未実施の方は至急受診されることをお勧めします。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇気候、下痢

気候

 前回のニュースレターでは既に初夏の兆しが出てきたと書きましたが、あれから既に一ヶ月経過しかなり夏らしくなってきました。当地での夏は当然初めてですので、日本に比べてどのような違いがあるか非常に興味があります。気候面では明らかに日本よりは(少なくとも僕の出身地である大阪よりは)かなり過ごしやすいです。6月末現在では気温・湿度とも日本に比べて低く、朝方などは冷え込むこともあるくらいです。また、日陰に入れば日中でもそれほど暑くなく今のところ冷房は必要ないと個人的には感じております。当地で過ごされている方も健康のためにもできる限り冷房を使わないで過ごされることをお勧めします。


下痢

 さて、当地で診療していて最近特に増えてきた訴えは「下痢」です。診療患者の半分以上は下痢を訴えております。また別の訴えで来院されている患者さんにアットランダムに尋ねてみると、やはり下痢もしくは軟便の方がほとんどでした。(ご協力くださった患者様、大変ありがとうございました。)大連在住歴の長い方ほど下痢をしていないというのではなく、気にしていないという方が多かったです。また、当地発行の雑誌をひもといてみたところ前々任者の方も夏には非常に下痢の患者の割合が増えるという記述がありました。以上の結果から考えると夏場には大連在住日本人のかなりの方が下痢に罹患していると考えられます。また、日本に比べて当地での患者の特徴は罹患期間の長さ及び程度のひどさがあると思います。罹患期間としては来院された時点ですでに5日間くらい続いている方が多く、長い人だと2週間くらい続いているという方もおられました。(平均期間はすべての患者の経過を追うことは難しいので不明です。)程度に関しては来院される方は「日本では経験したことのないような水下痢」を訴えられる方が多いです。

 その理由を考えてみるに、一つは当然夏場ですので食べ物が腐敗しやすくなっているという気候的な要因が考えられます。この要因に関しては日本でも同じですが、これに加えて現地人の衛生観念のなさがあります。夏場以外は大連は気候的に厳しく(冬場の平均気温はマイナス5度くらいだそうです。)、それが衛生観念の不足を補っているのでしょう。それ以外にもこれは夏場に限りませんが油の質・量も日本とは違いますし、また、調味料などの刺激物も日本人にはきついかもしれません。

 以上を踏まえた上で対策を考えてみるに夏場は出来るだけ生ものは避ける。夏場に限らず食事の内容に関しても特に外食時は気をつける。さらに外食時は店選びも大切かもしれません。また、もし不幸にして下痢に罹患してしまっても当地での下痢の場合は不必要に抗生剤・非特異的止痢薬などは使用せずに一旦は病院にかかり必要なチェックを受けた上で整腸剤などで時間をかけながら治療していくというスタンスで望むべきでしょう。