• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

海外医療相談 (会員用メニュー)

会員ID(半角英数字)

パスワード(半角英数字)

会員用メニュー(海外医療相談)
の内容についてはこちら>

ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL02060101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール


シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールの医療コスト問題

 シンガポールには立派な設備を備えた民間病院がいくつかあります。病室はたいていは大変立派で、なかにはホテルのスイートルームのような部屋もあります。もちろん入院費用もそれなりにかかります。日本人をはじめ海外から赴任してきている外国人は、こういった病院にとってはお得意さんのようです。

 こういった病院のお得意さんは外国人居住者だけではありません。インドネシアやマレーシアなどの近隣諸国から、シンガポールの高度な医療を求めて患者さんが集まってきます。シンガポール政府も医療機関や医療関係業者の育成に力を入れており、アジア各国から先進治療を求める患者をシンガポールへ集める政策を進めています。しかしながら、そういった外国人患者は当然のことながら裕福層で、そういった人たちを対象にするあまり、設備投資などにお金をかけすぎ、結果的に国内の一般患者の医療費まで高騰することが懸念されています。

 その一方でこのような民間病院以外に公的医療機関もあり、そこでは比較的安い費用で医療を受けることができます。

 シンガポールには日本のような健康保険制度はありません。その代わり、個人個人に年金を積み立てる義務があり、病気などで入院して医療費がかかった場合には、それを充てることができます。ただし、なるべくはいざというときのために、使わずに維持しておいた方がいいわけです。

 ところが例えば、高齢の親を持つ子供たちは、親に不自由のない入院生活をさせたいとか、親戚に対し体面を保とうと考え、比較的費用の高い入院施設に入院させたがる傾向があるようです。そのため支払い能力を超えるほど入院費の高い病室を選択して、本人や家族が借金をすることもあるようです。

 最近ではマレーシアやタイの一部の病院では、シンガポールと変わらず最新の医療が受けれるようになりました。しかも人件費など必要経費が安いだけに、医療費も安くすみます。それをうけて、シンガポール政府は医療業界に対して国際競争力を意識した料金体系を維持するよう求めています。


◆マニラ


マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇雨期にはやる腸炎
 マニラも雨期となり、涼しくも湿度の高い日々が続いております。
 雨期に入ると感染性腸炎の患者が増えてきます。以下に日常生活上問題となる下痢症をあげました。

アメーバ感染症
 アメーバ性腸炎は、便の検査ですぐに診断が可能です。診断できればMetronidazoleなどで駆虫でき症状も数日ほどで改善することがほとんどです。Metronidazoleは吐き気や下痢の副作用が強くでることがあり服用期間も一週間以上と長いので、当診療所ではTinidazoleやSecnidazole等日本では入手不可能な他の駆虫薬を使うこともあります。

 症状は人によりけりですが、ほとんど症状のない人から、軟便が少し続く程度の人、嘔吐と水様下痢を伴い点滴を必要とする人までいます。粘血便が認められたり、残便感が強いにもかかわらず少しずつしか排便がないというのが典型的な症状です。

細菌性下痢症
 日本では一般に抗菌薬の投与は、便回数が1日10回以上、水様便かつ膿または血便、体温38℃以上、重度の腹痛、嘔吐5回以上の内、下痢症状を含む最低二項目以上が該当する症例を対象とし、症状緩和と周囲への二次感染防止のために発症初期に使用するのが原則で、解熱あるいは腹部症状が改善した時点で投与中止となります。フィリピンでも原則は同じですが、感染性胃腸炎の患者が多いため、原則よりは早めの抗菌薬投与となっています。

サルモネラ腸炎
 サルモネラ菌は多くの型に分けられる菌種でそれだけに実際には様々な症状を呈するのですが、そのうち腸炎がもっとも目立つ症状です。自然治癒傾向の強い疾患であり、抗生物質によっては治療後の再排菌を来す例があり、逆に罹病期間が長くなる場合さえあります。耐性菌(抗生物質の効かない菌)も増加してきたため症状が軽ければ、教科書的には抗生剤の適応とならない病気です。実際は、血や便を採ってサルモネラ感染症かどうか結果がわかるまで治療を待っているわけにもいかないので、症状にあわせて細菌感染性下痢症としての治療を行っています。ただ、排菌が続いていても症状さえなければ一週間ほどで抗生剤の投与は中止します。

腸チフス
 これらを起こす菌もサルモネラ菌の一種ですが、他のサルモネラ感染症とは臨床症状が違います。病初期は熱や悪寒、頭痛で始まり、典型例では最初の一週間で徐々に衰弱してきます。1/3の症例では水様下痢を伴い長く続きます。色の白い人では約半分の症例に体幹に直径1から5mmくらいの紅斑が皮膚に認められます。ただし色が黒い人ではわかりにくいようです。また不思議なことに手足にはほとんど紅斑はでませんし、ちゃんと治療が行われれば数日で突然消失します。治療をしなければ典型例では約四週間の経過をたどり治る病気ですが、教科書的には腸が破れたり重篤な状態に陥ることもあると書いてあります。日本人の場合は生活状態と栄養状態がよく、栄養失調や寄生虫疾患その他重篤な基礎疾患を持つ人はいないし、一度に大量の菌を体内に取り込むような機会もないので、重症化する人はほとんどいないと思います。

 治療ですが、昔はクロラムフェニコールという抗生物質しかなかったのですが、現在は耐性菌が増えたこととほかによい抗生剤ができてきたこと、クロラムフェニコールで治療すれば10~20%という高率で再発する人がでることなどのためクロラムフェニコールは使われなくなってきています。
 3年間は予防に有効な予防注射があるので、学童以上の年齢に達している人は注射を受けた方がよいかもしれません。(幼児には強い症状はでないため必要ない)

その他
 A型肝炎の初期でもまるで感染性下痢症のような症状を呈することがあります。やはりこれも水系感染なので飲用水には十分気をつけてください。

附記
 すべての下痢症に共通する症状として脱水があります。暑い国で下痢になれば症状の軽い内から積極的にスポーツ飲料等の飲水に努め、なるたけ体調よく保つようにして下さい。



◆ジャカルタ


ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇腸管感染症
 日本では医療の進歩、衛生状態の向上にともなって伝染病としての腸管感染症は減少していますが、当地ではまだありふれた疾患で十分な注意が必要です。これらの感染症にはコレラ、腸チフス、細菌性赤痢などの細菌感染症、赤痢アメーバやランブル鞭毛虫(ジアルジア症)による原虫症があります。感染症新法ではコレラ、チフス、赤痢は第2類感染症に原虫症は第4類に分類され、日本では行政上の感染対策が十分講じられていますが、当地では全く行なわれていません。したがって自分自身の健康は自分で守るしか方法がありません。

 腸管感染症はいずれも経口感染で飲食物を介して伝染する疾患で、生ものさえ摂取しなければ基本的には予防は可能です。しかし実際には食べ物に対しての注意には限界があり、当医療相談室においても毎月何人もの方が罹患して来院されています。

 これらのうち臨床上特に問題となるのは腸チフスです。高熱が何日も続き体力の消耗が激しく、さらに確定診断が難しいこともあり治療期間は数週間にもわたり、長期の入院や療養を余儀なくされます。また時に重篤化し腸出血や腸穿孔を起こすことがあり厳重な経過観察が必要となります。

 当医療相談室では今年になって4人の方が腸チフスにかかり入院しています。幸い重篤な方はおりませんでしたが、腸チフスに対しては予防接種がありますのでぜひ接種を受けるようにしてください。


◆大連


大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇日差しの強さ、食事

 前回は赴任直後の中国の感想を書いてみました。

 当地に住み始めて2カ月経ち、やっと仕事にも慣れてきました。今回よりは診療上、生活上で気づいたことを報告していこうと思います。

◇日差しが非常に強いので注意が必要

 4月8日より当地に赴任してきて非常に気に入った点として、天気が良いことがあります。赴任より2週間くらいは全く雨が降らないどころか、ほぼ毎日快晴に近い天気で朝などは非常に気分が良かったです。早朝に散歩でもしようものなら大連は素晴らしい、と大連赴任の喜びをかみしめるひとときもありました。しかしそれもつかの間で、5月の労働節を過ぎてしまうと夏の気配が見えてきて日差しが非常に強く、また空気の乾燥もひどくなってきております。日本と同じように行動していても大連のほうがはるかに疲れやすいのはそのためでしょうか。それ以外の中国特有の原因もあるにはあるのですがここでは触れても仕方がないので上記条件下にても健康に過ごすために心がけるべき点を以下に書いて見ます。外出時は帽子をかぶる、日傘をさす。水分をこまめに摂取する。また、目の保護のためにサングラスは必携でしょうか。一つ一つはつまらないことだとは思いますが確実に実行すればこの夏も健康に過ごせることと思います。

◇食事にも注意が必要

 大連に限りませんが、海外の食事は日本人にとってなじみにくいことがあります。大連の場合はもちろん中華料理となりますが、こちらでしばらく生活をして食事に関して感じたことを以下に記します。私自身は日本に住んでいた間は熱烈な中華料理ファンでして、毎日なにかしらの中華料理を食べており中国への赴任前は食事に関してはなんら問題ないだろうと考えていました。しかし、私が日本で食べていたのは中華料理ではなく中華風日本料理だということに気づくのにはそれほど時間を要しませんでした。そう感じるくらい当地の料理は味ももちろんのこと、油の量・質、出される料理の量などが全くと言っていいほど日本のそれとは違うのです。このことから大連在住日本人の食事に関する苦悩が始まります。その訴えは以下のとおりです。下痢が止まらない。体重が増えた。胃の調子が悪い。これらの患者さんの訴えを踏まえて本場の中華料理を味わうに当たり注意するべき点は以下の意見に集約されると思います。「食べ過ぎないこと」。これに加えて中国の習慣的として付き合いをしていくうえでどうしても避けて通ることのできないのは「酒」ですが、これにより体調を崩される方も多いので、自分の限界を知った上でお酒と付き合うようにせねばならないと思います。