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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL02050101
シンガポール、フィリピン、マニラ、インドネシア、ジャカルタ、中国、大連、医療事情、医療情報

◆シンガポール


シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールでの医師活動について

 医師の資格というものは国家資格であるので、通常資格を与えた国では通用しても、それ以外の国では通用しません。運転免許のような国際免許があるわけではないので、海外での医療活動にはその国からの承認が必要になります。シンガポールではシンガポール医療評議会(SMC:Singapore Medical Council)という組織があり、そこから免許を受けなければ医療活動は行えません。したがって私もそこから免許をいただいています。それは私のような外国人医師に限らず、シンガポールの現地医師も同様に医療評議会からの許可が必要です。

 この組織は医師の承認だけでなく、登録医師の管理、教育も行っています。

 シンガポールでは新規に登録を受けた医師は医療評議会主催の宣誓式に出席しなければなりません。全員で医師としての宣誓文を読み上げ、右手を挙げて宣誓します。そして宣誓書をひとりずつ受け取ります。形式的なことではありますが、一人一人が医師としての自覚を持つことは重要なことだと思います。

 そしてこの資格は1年ごとに更新されます。今現在は、基本的には無条件に更新がなされていますが、来年より制度が変わります。現在も、医学会や講演会、講習会、研究会などに参加したり、論文を書いたりすることがポイントとして積算されていますが、来年からはそれが年間一定ポイント以上にならないと次年度に資格が更新できなくなります。これは医療継続教育システム(CME:Continuing Medical Education)といい、それぞれの医師が医療における知見や技術の急速な変化に遅れることなく、それにあわせて個人個人のレベルを高め、ひいては患者の期待にこたえることができるようにする事を目的としています。

 そしてまた、主要疾患に対する最新の知見を取り入れたガイドラインが冊子として疾患ごとに不定期に作成され、全登録医師に送付されます。近年、医者個人の主観によらない、エビデンスに基づいた、客観的で均一な医療の実践が世界的にも言われていますが、シンガポールでは早くから制度として取り入れられているわけです。

 このようなCMEシステムは2000年よりIT化されており、CMEに関係した各種情報提供および、各医師ののポイントはインターネット経由で登録したり、確認できたりします。さらには、日常業務が忙しくなかなか研究会などに出席のできない医師のために、インターネットを利用しての自習システムが近々始まるようです。

 日本ではひとたび資格を取得すると、よほどのことがない限り資格を失うことはありません。医師の継続教育システムは様々な形で存在しますが、あくまでも医師個人個人の努力義務です。もちろんこういったことは本来自主性の上に成り立たせるべきものであって、制度として導入すると形骸化するおそれもありますが、患者さんの利害に関わることでもあり、シンガポールのように医療全体として取り組むことも大切だと思います。


◆マニラ


マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇駐在員の方へ、当地で健康診断を

 日本では事業所に勤める従業員は健康診断を受ける義務があります。健康診断の目的は、普段の健康状態を従業員自身が把握するということ、予防医学の立場から生活習慣病の発生を防いで結果的に生産性の低下を来さず、事業所にとって医療費その他の費用の節約になるということ、その他従業員が労働災害にあったときに過去のデータがないと不都合が起こること等があるからです。

 海外の企業には健康診断を従業員に受けさせることで未然に疾病の発生を防ごうという意識があまりありません。特に発展途上国では予防医学の概念は未発達です。従って、健康診断で現地の一般医を受診した場合、なぜ愁訴もないのに検査に来るのかと不審がられるでしょう。日本で一般的に健康診断で行われているデータ項目も、当地の一般医療従事者にしてみれば何をはかればいいのかわからないかも知れません。レントゲン等に関しては、何か症状があるから撮ってもらいに来たのだろうという医療従事者側の思いこみもあってやたら結核など病気の診断がつくこともあるでしょう。確かに日本では結核の見逃しは多いと思われますが、症状もないのにレントゲンを頼んだ場合に当地では過剰診断は多いようです。

 当クリニックでは、日本で行われる場合と全く同じように健康診断が実施されています。

 運動不足に陥りやすく、味付けが濃く油分の多い食事をとる生活では生活習慣病に陥りやすいのは当然です。一年に一度は健康診断を受けて、自分の体の状態をチェックしてください。


◆ジャカルタ


ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇デング熱流行

 ここジャカルタでは予想された通り、今年になってデング熱が流行しています。

 ジャカルタ特別州保健局は、4月24日までに1,643人が発症し19人が死亡したと発表しました。邦人社会においても大流行で、当医療相談室でも4月までに延べ43人のデング熱による受診者がありました。この人数は血清学的に確定診断されたもので、実際にはもっと多くの方々がデング熱に罹患したと思われます。州保健局では5月が流行のピークと見ていますので、今後もより一層の注意が必要です。

 デング熱は蚊の媒介で伝染するウイルス性疾患で、抗生物質は無効のため治療は点滴などの対症療法しかありません。予防ワクチンは現在未開発で予防は蚊に刺されないことに尽きますが、通常自然治癒する良性の疾患ですから、発病したとしても必要以上に不安になることはありません。ただ、2回目に感染した場合、時に著明な出血傾向やショック症状を示すデング出血熱と呼ばれる重症型になることがあります。

 そのため、全身状態の把握、適切な全身管理が必要で、経過観察が十分に行なわれなければなりません。重症化した場合でも速やかに対応できる医療機関を受診することが重要です。

 当医療相談室を受診された方の中には入院された方も数人おられましたが、経過は良好でショックになったり輸血を受けた方は幸いありませんでした。


◆大連


大連市中心医院日本人医療相談室
横矢 佳明

◇大連の印象

 私は今年度4月より渡辺先生の後任として大連に赴任してきました。今後大連在住邦人の健康管理に携わっていくわけですが未だ当地での経験も浅いため、今回に関しては私の当地の印象などを述べたいと思います。

 ひとまず大連の第一印象は「人が多い」ということです。既にご存知のとおり中国の総人口は13億を越えており日本の10倍以上であり、大連市の人口も550万人とのことです。私の出身地である大阪府の人口は890万人弱ということもあり実際に住んでみるまではそれほど意識していませんでしたが、とにかく人、人、人の波で、労働節の時期に大阪に一時帰国した際は非常にさびしい感じがしました。改めて中国の人口圧の凄まじさを感じました。と同時にこのことからか、人命の重みが日本ほどでないという印象を受けました。診療が始まって間もないですが、これは私が関わっていく医療の面でもしばしば感じることがあります。私は日本との医療格差を出来るだけ埋めていくという趣旨で当地に派遣されたわけですが、大連ではその必要性が十分にわかるような医療事情であることは否めません。

 次に感じたこととして「人とのつながり」が非常に重要であるということです。もちろん何をするにも人脈が重要なのは日本でも同じことですが、当地でのその重要性というのは日本でのそれとは質も量も異なる感じがします。診療を行っていく上でも日本以上に人脈が重要ですので日常の診療行為以外にも人脈の開発とその維持に時間を割かねばならないという事情があることがわかりました。

 最後に感じたこととして「人が大きい」というものです。これはもちろんそのまま額面通りで大連市内を歩いていると非常に大きな人が多いです。女性でも170cmを超える方も稀ではなく、平均身長は165c mくらいだそうです(日本人は159cm弱です)。また、内面に関しても私自身の日本でのイメージと随分違い人柄も非常におおらかな感じがします。これは診療の面でも随所で認められるため困った事態も多々発生しておりますが、郷に入りては郷に従えで、緊急事態でなければ基本的に中国式で診療所を運営していきたいと(せざるを得ない)思いますので、大連在住日本人の方々にはご迷惑をおかけすることもあるとは思いますがその際は何卒ご容赦くださいますようにお願いします。

 大連に住み始めておよそ一カ月となりますが、ひとまずは私の大連に対しての印象はおおむね良好で、また、やりがいと言う面からも当地で医療を行えることは非常な喜びとなってきております。おおまかですが以上が私が感じた大連とそれに関連する医療状況です。