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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL02020201
シンガポール、マニラ、ジャカルタ、大連、医療情報



◆シンガポール


シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールの感染症事情

 シンガポールは東南アジアの都市の中では、かなり近代的です。したがって、いわゆる熱帯病や伝染病は、他の都市ほど多くはありません。

 シンガポールで就業ビザを取得する際には、原則として肺結核とHIVの検査が必要です。その結核とHIV感染に関する2000年度の統計が最近発表されました。

 それによると人口10万人あたりの新規結核患者数は46.5人で、年々減少傾向にあります。(1960年当時は307人でした。)そのうち52.4%が50歳以上で、71.4%が男性でした。15歳以下の子供に限っては10万人あたり5人でした。また結核による死亡者は96人でそのほとんどが60歳以上の男性でした。(1960年当時は646人。)シンガポールでは1957年から、日本と同様に、すべての子供にBCGが行われていました。日本と若干スケジュールが異なり、出生時、およびツベルクリン反応の結果に応じて12歳、16歳時に行っていました。しかしながらWHOの反復BCGは推奨しないとの見解を受け、昨年度より生下時以外は廃止となりました。

 HIVに関しては、新規患者が226人で前年比9.7%の増加でした。HIV患者数は、100万人あたり69.3人となり、増加傾向にあります。新たに診断を受けた人の64.0%は40歳以下で、特に30代が多く、女性は全体の8分の1です。最近では独身の男性会社員が普通の性交渉によって感染するというのが典型のようです。

 その他の伝染病については、2001年について11月までの統計が発表されました。最も多いのはデング熱で2248人でした。(前年は602人)これは他の東南アジア諸国でも流行が見られたのと一致します。デング熱はシンガポール国内でも感染します。マラリアは219人(前年253人)、腸チフスは72人(前年73人)、コレラは4人(前年10人)でした。これらの伝染病のほとんどは国外から持ち込まれた輸入伝染病です。A型肝炎については43人で意外に少ないです。予防接種の効果もあるのでしょう。

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◆マニラ


マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇フィリピンの結核

 つい先日、当地の首都圏で行われた医療従事者のための結核セミナーの内容からお伝えいたします。

 以前にも書いたとおり、フィリピンは結核が蔓延しており、個人の健康という問題だけではなく、社会の衛生状態を保つという目的からも、この国は結核の対策に神経質になっています。

 胸部レントゲン上で結核らしき像が認められるが症状のはっきりしない場合に、果たしてそれが結核なのか、結核であるとすれば活動期なのか治癒瘢痕なのか、非活動期だとしても将来的に発病するのかどうか、等は判断が難しい場合が少なくありません。その上、フィリピンでは多剤耐性結核(二剤以上の抗結核薬が無効)の割合が非常に高く、治療歴のない結核患者の場合でも1.5%が多剤耐性菌によるもので、過去に治療を受けたことがある結核患者(一般的治療で治っていない結核患者)でいえば14%以上が多剤耐性です。抗結核薬一剤またはそれ以上の耐性菌による結核患者は全結核患者の25%を上回ります。これは旧ソ連の一地方に次ぐ世界第二位の耐性率だそうです。

 このため、海外に就職にゆくフィリピン人で結核と疑わしきレントゲン写真が得られた場合には、たとえ症状がなくても過去に結核の治療歴があるかどうかが問題となり、全く治療歴がない場合は海外渡航を許可されず、少なくとも一ヶ月の抗結核薬服用歴が必要となるそうです。また、予防投与も含めて治療をする場合には最初から多剤投与を行い、患者が中途半端に服薬を中止することによって結核菌を耐性化させないよう患者指導が行われます。

 実は、日本は先進工業国の中では未だに結核罹患率は著しく高く、現在でも欧米の3倍以上です。97年には結核新患者数4万3千人弱と前年の新患者数を上回りました。海外への旅行者も増え感染症もグローバル化する中、やや気になるフィリピンの結核事情です。

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◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
横内 敬二

◇デング熱流行の兆し

 バリ州政府保健局は、バリ島でデング熱患者が激増していると発表しました。昨年の患者数は、926人で一昨年の198人を大幅に上回っているそうです。今年になって、患者数はさらに増化傾向を示していて、死者も何人も出ているとのことで、住民に厳重な注意を呼びかけています。流行のピークは、5月までと予想しています。

 デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症ですので、予防は蚊を発生させない対策、刺されない工夫が必要です。ジャカルタでも、雨季が本格化し、毎日のように雷雨があり、道路が冠水する被害が続発しています。0メートル地帯が市街の約4割を占めるため、水はけが悪くすぐに洪水となり、あちこちに水溜りが認められます。蚊の大量発生が危惧され、デング熱の大流行が懸念されています。

 現在のところ、JJC医療相談室を訪れるデング熱の患者さんはまださほど多くはありません。入院された方はおりますが、重症化せず無事退院されました。

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◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
渡邊 浩司

◇霧と交通事故

 今年の大連は意外な暖冬であるが、そのためか霧の発生が多く交通事情に影響を与えている。1月には幹線高速道路上で50台近くの玉突き衝突事故が起こり、1名が死亡。事故処理のため道路が封鎖される事故が起こっている。このように大きな事故は珍しいが、霧の中を通勤している途中に見かける事故車の数はいつもより多い。

 割り込みのひどさなど交通マナーの問題、信号の少なさなど路上安全装置が未発達なことなど、普段でも小事故はあちこちで見かける。通勤の行き帰りに事故を見ない日が稀なくらいだ。事故処理も日本の常識とはかけ離れており決してスムーズにはいかない。当地では交通事故に巻き込まれないように用心することが第一である。

◇霧と飛行機

 大連の飛行場は山裾に拓けた土地にあって霧がたまりやすいという弱点がある。風の通りが悪く、1日中霧が晴れないため航空機の離発着が制限されることもある。これから春先にかけてが霧の多い時期で、フライトスケジュールが大幅に乱れることがあるが、天を見上げて待つしか仕方がない。日本からの航空機は瀋陽、北京などへ着陸したり、時には引き返して翌日のフライトとなる場合もある。イライラしてもどうしようもないので、この時期はギリギリの計画を立てないようにするのが賢明である。

◇STDに油断は禁物

 昨年1/4~3/4半期分の集計で全国のHIV感染者数は5,600余名、AIDS発症患者数は320数名と増加傾向が続いている。昨年9月までの累計ではそれぞれ約28,000人および約1,200人という数になっている。こうした統計は可能な限りの報告をまとめたものであり、実際のHIV感染者数は2000年の時点で60万人に上ると推計されている。中国衛生部ではAIDSの予防教育活動など対策に力を入れているが感染拡大を押さえるのは容易ではない。

 淋病、梅毒といった古典的な性行為感染症も当地では依然多い。当方でも相談を受けることがあるが、「いつも付き合っている人なので大丈夫だと思った。」など現地の実状が日本とは異なることを忘れているのではと思われるような話が多い。主要な性感染症について正しい知識を持つことは健康管理の一つとして重要な問題と考えるべきである。各企業の健康管理部門では、この方面についても充分な啓蒙と対策をお願いしたい。