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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL01110101
医療情報 /シンガポール /フィリピン /中国

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールでの生物兵器テロ対策:アメリカでの炭疽菌事件以来、日本でも生物兵器による脅威が騒がれていますが、ここシンガポールでも事態は同様です。シンガポールのような小さな国では、ほとんどの生活物資は輸入に頼っており、一緒に何が入ってきてもおかしくはありません。シンガポールは水さえもマレーシアから購入しており、出所のはっきりしない噂から水を買いだめする人々もでてきました。

 そんな中、シンガポール政府より、生物兵器についての通達がありました。炭疽菌をはじめ、ボツリヌス、ペスト、天然痘についてです。それぞれの病気についての特徴、診断法、対処法などの情報が盛り込まれています。

 炭疽菌感染は芽胞を形成する菌で、通常これが感染を引き起こします。自然界で最も多くみられる感染は皮膚であり、汚染された動物の皮や肉、毛などから感染します。黒く覆われた皮膚の潰瘍ができます。その他に、消化器系や呼吸器系の感染形態があり、テロで問題になるのは吸入による呼吸器からの感染です。この場合、熱、気分不快、全身倦怠感、咳などで始まり、一時的には症状が軽快します。しかしながらその後24時間以内に呼吸苦、ショック症状に陥り、いったん重篤な症状がでてしまうと、治療の甲斐なく、たいていは36時間以内に死亡します。その致命率は80%以上といわれています。

 したがってこの疾患が疑われた場合は、検査結果を待たずに、すぐに治療に踏みきるべきです。通常はシプロフロキサシンやドキシサイクリンといった抗菌薬を用います。

 政府はこれらの伝染病の感染の疑いがあったり、確定診断とした場合にはすぐに環境省に報告するようにと伝えています。またこれらの患者に関しては、公立の救急病院に紹介し入院させるように勧めています。ただしペストと天然痘に関しては感染症の専門病院であるタン・トク・セン病院に限定しています。

 このような情報提供や万が一の場合の手順の整備は、医療従事者だけでなく一般の人々にとっても大変ありがたいものです。しかしながら、これが実際に活用されることなくすむように願いたいものです。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇風邪と空調:フィリピンでは一般的にホテルやデパート、事務所、病院でさえも冷房が強く利いており22℃の温度設定など当たり前です。冷房機にサーモスタットなどなく、あっても日本の冷房機ほど温度に敏感に反応してくれません。このため、昔、日本で言われた冷房病とでも言うべき症状を訴える方が多くいます。すなわち、体が冷えて、鼻炎や咽頭炎のような症状が出る、しょっちゅう風邪を引きそれが治りにくいなどです。密閉した部屋の中で、空気を循環させ、冷やしすぎているために体の抵抗力も落ちて風邪を引きやすくなるのではないかと私は想像しています。

 また、都会では大気汚染もひどく、1日部屋の掃除をしなければ、机の上などは薄くほこりが積もっているのが分かります。粒子が均一で細かく、黒色をしているので、おそらく従来から言われているようにディーゼル車の排気ガスなのでしょう。大気汚染の有害な空気を空調でかき回し、且つ温度を冷やしすぎているために軽い呼吸器障害が起こりやすくなっているのだと思われます。

 今年はインフルエンザの当たり年で、10月末現在、日本人学校に至っては全校生徒の15%ほどが欠席をしています。唯一、温度に関しては個人レベルである程度は対応可能なので、風邪など引かぬようこちらに商用等でこられる際には、必ず、薄いカーディガンのような、羽織れるものをお持ちになって下さい。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
渡邊 浩司

◇中国の病院改革:「大連医科大学附属第一病院が、“全国、市民が安心してかかれる病院”に推薦されました。つきましては皆さんの貴重な御意見をお聞かせ下さい。電話、ファックス、Eメール、電子投票は…。」これは中華病院管理学会がこのほど大連の大手地方紙に出した公示です。リップサービス的ではあるにせよ、「お客様は神様」に近い発想がこちらの医療界にもめばえ始めたようです。

 国営企業体質を引きずってきた中国の病院もここ数年は改革の嵐の中にあります。公立病院と言えども採算性を求められるようになり、病院の改装やサービスの向上を打ち出し宣伝する病院が目に付くようになりました。今年からは営利性の病院と非営利性の病院とが区別され、補助金は受けられなくなるものの利益を追求して構わない病院が法的に認められることになりました。病院民営化の夜明けとも言えます。自信のある病院経営者は非営利病院として登録されることを選び、経営・診療内容について、これまでより自由な裁量権を手に入れることになりました。

 こうした流れが真に医療サービスの向上、医療の質向上につながるのかはまだわかりません。ISO取得に向けての努力を行って標準化やより開かれた運営を目指す病院も出始めるなど、それなりの動きは出ているものの、みな「勝ち組」に残りたいという一心の表れとも見えます。いずれは高級な治療と安価な治療との二分化が進み、現在の日本のような均質な医療供給体制とは異なった状況が生まれるのではないかと想像されます。アメリカの医療制度改革から学ぶ光と影とともに、中国の医療(および保険)改革も“巨大な実験”であり、日本の医療サービスの将来を考えていく上で目が離せないものと思われます。

◇炭疽菌の治療薬:炭疽菌に対して主に使用される抗菌薬は中国内でも広く使われているものです。

 ペニシリンは青 素あるいは 尼西林、シプロフロキサシンは 丙沙星と書かれます。 丙沙星は100mg錠で1錠10円程度の販売価格です。(価格、販売名称はメーカーによって異なります。)

 10月下旬の時点では中国内で炭疽菌の感染報告はありません。報道では、白い粉末の入った郵便物がオフィスなどに届いた例が数件報告されているものの、いずれも炭疽菌はなかったということです。郵政局では郵便物の検査を強化し、白い粉末状の物質の郵送を禁止するなど水際防止に努めているようです。