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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL01100101
医療事情 /シンガポール /フィリピン /中国

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇シンガポールでのエイズ対策:シンガポールは日本、韓国とならび、成人のエイズ死亡者が少ない国です。1985年に初めてHIV感染者が報告されて以来、昨年末までの感染者数は1360人あまりです。うち死亡者は約500人とのことです。先日、国連総会のエイズ特別会議でチョン・スーセン上級政務次官が、シンガポール政府は教育と予防措置によりエイズ蔓延をくい止めていると強調しました。その対策とは、輸血用血液の厳しいチェック、マスメディアによる教育、学生その他に対するプログラムなどです。

 外国人労働者の多いシンガポールでは、国民だけでなく外国人に対しても様々な対策をとっています。外国人のHIV感染者はシンガポール人のそれより遙かに多く、実際、昨年までのHIV感染者数は外国人の場合3500人を超えます。

 シンガポールで働くにあたって、外国人がその許可を得る際には健康診断の義務があり、その中にはHIV検査が含まれます。当初は全員に施行されましたが、現在ではパスの種類によって自己申告ですんだり、検査が義務づけられていたりしています。HIV陽性の外国人居住者は、ビザがおりないか、現在おりているビザも2週間に短縮されてしまうのが現状です。要するに在留が許可されないわけです。

 このことに代表されるように、シンガポールではHIV陽性者に対するいくつかの制限が存在します。その是非についてはここではふれませんが、最近は緩和されてきていることもあります。一つはHIV陽性の、シンガポール人の外国人配偶者に対して当地在留が許可されました。そしてもう一つはエイズで死亡した人の埋葬を24時間以内にしなければならないという規制が撤廃されたことです。

 いずれにしてもシンガポールのように多くの外国人をかかえ、人の出入りの激しい国では、感染症の管理も容易ではないのでしょう。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
雨森 明

◇フィリピンの首都圏で良い医療を受けるために
 日本は医療保障制度が発達しており、国民は安い医療費で、均質でアクセスの容易な医療を受けられる。しかし、極端な価格統制のもとで競争原理の働かない医療社会主義は、医療上のアメニティや医療レベルはある程度低いところに設定されざるを得ないという二面性も含まれている。例を挙げれば、保険適応のない医療は病院の持ち出しになるため行われず、疾患によっては選択できる治療法が限られている。海外で効果の認められた医療でも、保険適応が認められるまでは日本では行われない。患者が多く待ち時間は長い。病室ではプライバシーを認められず、サービスの質は高いとは言えない。それでも、日本は、医師のやる気と経済発展に伴う社会・経済インフラの整備、生真面目な国民性から社会全体として高いレベルの医療が維持されてきた。

 フィリピンでは、一般国民にたいする医療保障は貧弱である。その裏返しとして、富・知識・資本の偏在が顕著なこの国では、一部の特権富裕階級の享受する医療はアメニティを含めレベルは高い。

 医療システムを取り巻く状況はおおざっぱに言って以上のような違いがあると理解できる。では、医学そのものの内容はどうであろうか。

 実は、フィリピンの医学生や研修医は米国式の教育システムのなかで、日本よりも厳しい訓練を受けており、医学にたいする考え方、疾病にたいする治療検査方針等は日本人医療従事者と基本的に同じである。特権階級が利用する施設は、機器もレベルも日本の大病院と比べ遜色ない。ここにも富と知識、ハードとソフト両面の資本の偏在が如実に現れている。

 日本人がフィリピンでかかった医療費は日本の保険でカバーできるし、保険料を査定されることはない。日本よりも安い費用で、日本より適切な医療を受けることも可能である。ただし、医療というものは、患者が納得した上で行われるべきものであり、そのためには当地で医療を受ける人は、自分の体は自分で責任を持ち、検査や治療内容も納得ゆくまで説明を受け、場合によっては主治医を変えるくらいの気構えは必要である。

 最後に、救急で外来にかかった場合は、病態によってはかなり待たされたりすることもあり、必ずしも期待できるような特権的医療を受けられるわけではないということを附記しておく。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
渡邊 浩司

◇大連・中心医院の透析事情:旅行者や出張などで大連を訪れる方の中で、透析を受けたいと相談される方があり、当方では年に2~3人程度対応しています。大連の場合、約15の施設で透析が行われており、全て中規模以上の病院に付設した透析室です。透析専門の病院は大連には見当たりません。人口約500万人(市街地人口150~200万人)の大連市ですが、400~500人ほどの患者さんが透析を受けていると言われます。

 費用は当院の場合、日本の方が初診でエリスロポイエチンを使用した場合でも1000元程度(約1万5千円)で済み、日本から見れば低い水準です。ただし、地域・施設によって費用が異なりますので御注意下さい。現地の方が定期的に受ける場合の基本費用は350元。医療保険で94%がまかなわれると言いますから本人負担は21元と計算できます。週3回の透析として毎月250元程度の負担になりますから、一般の給与水準(中心医院の職員で1000元/月程度)から考えると決して気軽に受けられる治療ではないように思います。日本のように国民皆保険ではありませんから、今のところは保険が利用できる優良な勤務先の関係者などに限られたサービスと言えるのかも知れません。

 中心医院の透析室はアメニティに配慮がなされており、マイクロバスの送迎があるなど院内でも特にサービスの良い部門となっています。患者ごとにシーツを取り替えなど衛生面にも神経が使われています。中心医院では朝夕の2サイクルで透析を実施しており、16台の透析機が稼働。70~80人の患者さんを管理しているそうです。ドイツ製の透析機が主に使われており、日本製は3台。ダイアライザーはJMS、ニプロといった日本メーカーの現地生産品とドイツからの輸入製品が使われていました。

 当相談室に直接御連絡を頂ける場合はいいのですが、旅行社経由で現地の病院と連絡を取る場合には注意が必要です。こんなことがありました。現地旅行社から透析日の予約連絡が入ったあと音沙汰なく、打ち合わせの連絡もありません。運良く本人から確認のメールが入り、ギリギリになって日本での透析データ届きました。結局現地の旅行社から打ち合わせに来てもらえません。当日はホテルまで私が迎えに行って案内しましたが、当日に旅行社から派遣された通訳者は透析室の場所さえ知りませんでした。中国では細かなサービスや事前の案内は受けられないのが普通と思って、旅行社に透析の予約を依頼する場合は、細かな打ち合わせと確認をしておくべきでしょう。当相談室の場合には、直接Eメールや電話で御相談いただいた方がよろしいと思われます。