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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL01080101
医療情報 /シンガポール /フィリピン /中国

◆シンガポール
シンガポール日本人会診療所
大西 洋一

◇蚊による感染症:東南アジア諸国には、日本ではあまりお目にかからないような、いわゆる熱帯病や、消化器系の感染症などがあります。そのために、海外渡航や赴任前には予防接種を行い、現地では生活面でいろいろと気をつけなければいけません。しかしながらシンガポールは他の東南アジア諸国に比べ、そういった疾患の頻度はかなり低く、まれにA型肝炎やデング熱などが見受けられる程度です。近隣諸国では患者が散発するマラリアも、シンガポールでは極めてごくまれに患者が発生する程度で、その際にはニュースになります。
 マラリアは、マラリアに感染した人の血を吸った蚊に刺された際に、その唾液に混じったマラリア原虫が入り込むことによって感染します。潜伏期は約2週間で、全身倦怠感、筋肉痛、悪寒戦慄などの症状で発症します。感染様式から考えると、ひとたび近隣からマラリアに感染した人がその潜伏期内にシンガポールに戻れば、蚊の媒介によってシンガポールでも集団発生する可能性があることがわかるでしょう。実際、先日チャンギ付近でマラリアが発生しました。環境省の発表によるとチャンギにあるコンドミニアムの住人3人がマラリアに感染していることがわかり、そのうち1人が死亡したとのことです。死亡したのは89歳の女性で、家人にベッドでぐったりしているところを発見され、病院にて熱帯熱マラリア感染が判明しました。その他の2人は同じコンドミニアムにすむ父子で同じ熱帯熱マラリアでした。その後、環境省は感染者がでたコンドミニアムとその近くの住人の血液検査を実施、また、蚊を退治するために薬剤散布を行いました。それと同時に、周辺の建設工事現場の外国人労働者のマラリア検査も行いました。
 シンガポールではボウフラの発生原因となる水たまりを作ると罰金となります。役人がぬきうちで、住居にチェックにやってきます。たとえば植木の受け皿などに水がたまっていたりするのも見逃しません。マラリアだけでなく、デング熱も蚊によって媒介される感染症です。そこで蚊を駆逐することによって、それらの感染症の集団発生を防ごうということです。
 マラリアやデング熱などの感染症の予防には、蚊に刺されないことも大事ですが、蚊の発生を防ぐことも大事なのです。


◆マニラ
マニラ日本人会診療所
     雨森  明

◇A型肝炎:A型肝炎ウイルスの経口感染によって引き起こされる疾患で、東南アジアや中国および南米はこのウイルスの高度浸淫地帯として知られています。
 通常は経過、予後とも良好で慢性化はしませんが、時に治癒遷延や肝障害の再燃、劇症化といって命に関わることがあります。
 小児期に罹患すれば軽症ですむのですが、罹患年齢の上昇に伴い予後不良例や重症例が増加するともいわれています。日本人は衛生環境の良いところで生活している関係もあり、成人でもほとんどの方が抗体(病原物質を不活化する体内蛋白)を欠いています。
 これに感染すると、典型的な症状では座るのもつらいほどの全身倦怠感がでて多くは病初期に38℃以上の発熱をみます。次第に黄疸がでて全身が黄色くなりひどくなれば便の色が白っぽく変化します。まずは尿の黄染で気づくことが多いようで、発症すると約一ヶ月ほど入院になることが少なくありません。
 入院する理由は体を休めて、重症化するかどうかの経過観察をするという意味と、隔離という意味の二つがあります。罹病期には便にウイルスを排出するため人にうつす可能性があるからです。
 予防法は食事に気をつけるということにつきますが、新鮮な貝類や見た目きれいな水でうつることもあり比国では完全に予防することは難しいと思います。今は優秀なワクチンも開発され、それさえすませておけば数年間はこの肝炎にかかることはありません。時々、長期滞在をされる方にワクチン接種を受けていない方がおられますが、上記理由につき小児以外は必ずワクチン接種を受けて下さい。


◆大連
大連市中心医院日本人医療相談室
          渡邊 浩司

◇日本人が利用する上海の医療施設
 6月末に上海の医療機関を見学する機会を得ました。ごくかいつまんで報告します。
 上海には約1万人の日本人が長期滞在しているといわれ、言葉の通じない土地での医療に対する不安は強いようです。経済発展著しい大都市であり、北京に匹敵する医療技術水準を持ち、外国人向けの医療対応も他地域に比べて充実していると言えますが、先進各国からの駐在者から見れば、技術レベル、施設環境、サービスのいずれにおいてもまだまだ安心できないというのが正直なところでしょう。
 冒頭にもあげましたが先ず殆ど中国語しか通じないのが一番の問題であり、必ず通訳を同行すべきです。言葉が通じても医療文化や受診システムの違いに戸惑わされることが多く、治療内容や説明について納得しにくいことがしばしばです。こうしたときに医療コンサルタント会社を利用する、あるいは相談できる日本の医師を作っておくことが役に立つかも知れません。(大連の場合には私が直接同行したり、相談にのったりして問題を最小に留めるように努力しているのが現状です。)
 さて、とっさの時に備えて信頼できる医院・病院のリストを作っておくことは肝心です。その場になって慌てて救急車を呼んでも上海の交通事情は悪いのですぐに来てくれるとは限らず、また言葉の問題から手違いが生じることもあります。(救急車の到着がかなり早いとされる大連でも、吐血の患者さんを運ぶ救急車を呼ぶのにホテルのフロント係が急性胃腸炎と誤って伝えたために、救急隊が緊急性を低く判断してすぐに来なかった例がありました。当時、救急患者が多く、救急車がすべて出払っていたという事情もあったようです。)
 緊急時でも動かせる状態である限り、タクシーなどを使って最寄りの医療機関へ行った方がいいようです。医療機関の選択は、簡単な病気であればクリニックへ、難しそうであれば病院へと考えておけばよいですが、クリニックと病院との連携は必ずしもスムーズなわけではなく、適切な時期に紹介をしてもらえない例もあるため、軽い病状と思えない場合は最初から総合病院にかかっておいた方が良さそうです。
 日本人に対する特別なサービスに心掛けているクリニックには「上海浦東森茂診療所」、「逸仙記念クリニック」、「ワールドリンク虹橋クリニック」、「桜花クリニック」があり、このうち上海浦東森茂診療所とワールドリンク虹橋クリニックには日本人医師が常駐しています。逸仙記念クリニックでは中国人医師との通訳をする専門スタッフがおり、桜花クリニックでは日本語の堪能な中国人医師が診療にあたっています。いずれも受診料金が高い(初診料390~600元)が、急性疾患なら海外旅行傷害保険のキャッシュレスサービスが使えます。また、予防接種について他種類の輸入ワクチン(日本製もあり)を準備しているので利用されたら良いでしょう。
 診療レベルについてはさまざまな評判があり一定しておらず、実際の受診者に尋ねるか、現地医療コンサルタント会社に相談するのがよいと思います。上海の外国人向け医療サービスはビジネスと化しているきらいがあり、浮沈も激しいようです。経営問題から既に閉鎖したクリニック、鳴り物入りでオープンしたが流行らない日本人向け病院などもあります。上記のクリニックもここ3年のうちに続々と立ち上がったもので、スタッフや診療レベルについて今後変動があり得ることが予想されます。
 その時々の情報をキャッチしなければならないのが上海における外国人向け医療の難しいところです。そうした部分でかなりの情報を持っているのが「上海聖決諮詢服務公司」、「上海ウェルビー諮詢有限公司」などの現地医療コンサルト会社です。基本的には会員制ですが、海外旅行傷害保険を扱う各保険会社と提携しているので利用条件については個々に確かめて下さい。
 病院レベルで外国人向け対応を行っているのは「上海第一人民医院国際医療保健中心」、「華山病院環宇医療中心」、「華東病院特診部」、「逸仙医院」(中山医院内)、「広慈医院」(瑞金医院内)、「児科医院特需門診」などがありますが、英語は通じても、日本語対応は不十分であると考えておくべきです。
 一部の病院受付に医療コンサルタント会社が日本語通訳スタッフを派遣常駐させている場合もありますが、特定の海外旅行傷害保険加入者に限るなど一定の利用条件があります。
 その他、機能別に特殊な分野で高いレベルを持つ病院もあり(産婦人科の「上海国際和平婦幼保健医院」、やけどの「瑞金医院」など)、受診先の選択は事情を良く知る人、あるいは医療コンサルタント会社に相談するのが賢明でしょう。
 なお、歯科については、「中日合資上海厚誠口腔医院」、「DDSデンタルクリニック上海」のほか、「逸仙記念クリニック」、「ワールドリンク虹橋クリニック」内の歯科などが日本人向けのサービスを行っています。
 各施設等の連絡先は在上海日本国総領事館のホームページに掲載された、「上海における緊急連絡先一覧」(http://www.japan.org.cn/jp/shanghai/japan/qb-news-2.htm)を参考にして下さい。(一部異同があるので現地で再確認して下さい。)