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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL00120102
シンガポール /マニラ /ジャカルタ /大連 /医療情報

◆シンガポール

シンガポール日本人会診療所 溝尾 朗

◇手足口病:シンガポールで4人の死亡者と1,000人以上の患者を出した手足口病の流行はようやくおさまり、託児所、公園、プールなどが開放されました。現在はマレーシアで流行しており、4人の死亡者が出たため一部の幼稚園、託児所が閉鎖されました。
 なおシンガポールでの流行ウイルスは、98年の台湾や97年のマレーシアで数十人の死者を出したものと同じエンテロウイルス71であったことが判明しました。

◇リフトバレー熱:サウジアラビアとイエメンでリフトバレー熱が流行しているのにともない、シンガポール環境省は同地への旅行を控えるよう勧告しました。

◇デング熱:シンガポールのデング熱の発生件数は昨年から急激に減少していて、今年はここ10年で最も少ない年になりそうです。一方隣国マレーシアのジョホール州では昨年に比べ60%の増加を認め、当局は警戒警報を発令しました。

◆マニラ

マニラ日本人会診療所 須田 秀利

◇大統領の腐敗とペソ安:現在ペソ安が異常に進行しています。ついに1ドル51ペソまで下がりました。私が当地へ着任した2年半前には1ドル30ペソ程度でしたので、当時の70%程度までペソの価値が下落したことになります。その結果、物価も同程度まで上昇しています。輸入品に依存するフィリピン経済ではペソ安は致命的です。
 理由は大統領の経済運営に対する批判です。身贔屓主義、仲間に特権を与える甘い経済運営、その引き換えの巨額な献上金による財産形成が目に余るものがあります。開発途上国では腐敗は珍しくありませんが、フィリピンの現大統領の献上金強要の姿勢は異常です。マルコス末期に比肩すると言われています。世界銀行、アジア開発銀行による開発援助ですら、資金の流用が報告されています。
 医療面でも物価上昇により、高額な医療機器の購入ができないばかりか、清潔な病院環境を維持することさえ困難になり、邦人医療の環境が悪化していく怖れがあります。

◇大統領弾劾裁判:違法賭博の上納金着服とタバコ税の違法な収奪を争点に大統領弾劾裁判が始まります。上院の2/3以上の賛成で大統領は罷免されますが、現在の情勢は混沌としており、大統領派の抵抗も無視できません。ペソ安も1ドル50ペソ程度で留まっており、さらに証券市場も下げ留まっていることから急激な変化は無いようにも思えます。
 先週末の大統領支持派の集会には150万人程度が参加しました。先々週にはアロヨ副大統領、アキノ前々大統領とラモス前大統領、シンカトリック枢機卿よりなる反大統領派が10万人程度の集会を開いています。まさに政治の季節となり、日系企業の収益性にも大きな影響を与えているようです。

◇香港での狂犬病:昨年、香港で比人のメイドが狂犬病で死亡し、香港では1982年以来の狂犬病発症でした。昨年5月にルソン島北部ターラック近郊で野良犬に噛まれ、1週間後に香港に渡り、7月に発症したものです。香港の医療機関も最後の最後まで診断できず、典型的症状が出て初めて診断されました。皮膚炎、蜂窩織炎、敗血症とさまざまな誤診がされています。
 ルソン島北部で犬に噛まれた場合には狂犬病は稀でありません。ターラックでは月単位で狂犬病が100人を超えることもあるようです。日本にも10万以上の比人が生活しているわけですから、同様なエピソードは今後十分にありうると思います。

◆ジャカルタ

ジャカルタ日本人医療相談室 熊野 浩太郎

◇チフス、デング熱に関する諸注意
 『インドネシアではチフス、デング熱の誤診が非常に多いので、インドネシアで前記の診断を受けた場合は必ず邦人対応専門医(ジャカルタには3人います)に相談してください。』
 インドネシアではチフス、デング熱ともよく見られる疾患であり、高熱が続く際にはこれらの疾患も念頭に置いて検査を受ける必要があります。ただし、ここで一つ問題があります。それは、これら疾患に関する一般病院の診断レベルの低さです。インドネシアの多くの病院、クリニックでは、熱が出ればすぐにチフスという診断、血小板が低ければすぐにデング熱という診断を下します。外国人が多く利用する、検査機械も揃っているようなレベルが高いといわれる病院でも同様です。
 例えば、下痢のみで発熱はなくしかも症状が出現して数時間しかたっていない場合に病院にかかったところ、血液検査でのWidal反応陽性(注1)でチフスと診断されたり、また、明らかな上気道炎の症状がありながら、血液検査で血小板が低くなっている(12万位)(注2)ということでデング熱と診断されたりといった事例が何例もあります。そのまま入院させられた例もあります。
 病院でチフスやデング熱と診断された場合は、必ず邦人専門医に掛かって確認することをお勧めします。(邦人専門医師がいるクリニックであっても現地インドネシア人医師の場合は安心できません。クリニックや病院ではなく、医師をきちんと選んでください。)
 インドネシアの医療レベルの低さについては、何度も言及していますが、内科診断学の基本ができていないように思われます。先進国では問診、診察をして、ある程度の病気に絞込み、さらに診断に必要な検査をして、十分な鑑別診断をあげて、その上で確定診断にいたるという筋道を通るのですが、当地ではすぐに検査をしてなにか一つでも陽性の反応が出ると、他に矛盾点があってもすぐに確定診断としてしまうのです。この国の医療で一番遅れているのは、物がない(医療機器や薬)ということではなく、このような考え方の基本ができていないことであると思っております。


(注1)Widal反応;チフスの検査の一つ。チフスの検査としては特異性が高くなくこの反応が陽性の場合でも、チフスとはいえない。また数週間ごとに繰り返して反応の結果を解釈すべきものであり、一回だけの検査では確定できない。現在のチフス診断は細菌培養検査にてチフス菌が検出されて始めて確定診断になる。尚、最近、別の特異性の高い抗体検査法がマニラなどでは行われている。
(注2)血小板減少;インフルエンザや一般の風邪などウイルス感染でもしばしば10万前後までは減少する。ただし、デング熱の場合は5万からそれ以下にまで減少することが多い。デング熱の診断は、抗体検査と症状による。


◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室 渡邊 浩司

◇防寒対策:冬至の日を境に寒さが急に増し、11月9日には大連で初雪が降りました。以後、朝夕は零度以下のことが多く、日中も冷蔵庫の中にいるような日が続いており、外出時の寒さへの備えが重要です。
 コートなどはもちろんですが、現地の人はズボン下や肌着を2枚重ねにするなど身に着ける物をしっかりとしているようです。着ぶくれしますが、やってみるとなるほど暖かく、郷に入れば郷に従うのが身を守る智恵かと思いました。

◇路面の凍結:高速道路は路面が凍結し、大渋滞となりました。スタッドレスタイヤなどは普及しておらず、あちこちで事故が見られました。積雪は少ないのですが、路面の凍結はしばしば起こりますので事故に巻き込まれないように注意が必要です。また坂道で足を滑らせて転倒し、骨盤骨折を負った邦人もおられました。冬の大連は寒さだけでなく足もとにも用心しなければなりません。

◇遠隔医療相談:大連から400km離れた地方都市で会食中に意識の悪くなった邦人出張者があり、随行した大連駐在員から深夜に連絡が入りました。搬送先の病院が現地では最高レベルであること等の情報を伝え、脳血管障害の可能性が高いことと対応はCT検査の結果によって異なる旨をお話しし、翌日CTのフィルム(デジカメ画像)をEメールで受け取りました。脳出血を起こしており、現地の医療状況を勘案しながらアドバイスを行いました。以後、日本の専門家とも連絡を取りながらメールと携帯電話で現地とのやりとりを重ねました。結局、安定した状態になるのを待って日本での手術治療に引き継ぐことができ、ほっとしました。
 直接受診ができない場合でも、以上のような方法で可能な限りサポートするように心掛けておりますので緊急の際には御相談下さい。