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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL00090101
シンガポール /マニラ /ジャカルタ /大連 /医療事情

◆シンガポール
シンガポール日本人会診療所
医師 溝尾 朗
◇気管支喘息:ここ10年気管支喘息の罹患率や死亡率の上昇が問題となり、アメリカを始め世界各国で治療ガイドラインが作られてきました。
 シンガポールも例外ではなく、この10年で喘息患者が倍増しており、子供の罹患率はオーストラリア、ニュージーランド、ペルーに続いて世界で4番目にランクされています。56カ国の13歳から14歳を対象にした1998年度の国際調査では、シンガポールの喘息罹患率は20.1%で、日本の19.8%を超えアジアで最も高い数字でした。
 気管支喘息の治療は、以前から気管支拡張薬が主流となっていますが、ガイドラインでは抗炎症薬としてのステロイドやインタールの吸入療法、抗ロイコトリエン内服薬の重要性が強調されています。最近、「吸入ステロイド療法が喘息死を減らした」という内容の論文も発表されており、喘息を持っている人は、症状に合わせた適切な治療が行なわれているかどうか、専門医に一度は相談してほしいと思います。

◇結核:結核罹患率の増加もしくは減少鈍化は最近の世界的な傾向ですが、アフリカとならんで東アジア、南アジアも新発生結核患者が多い地域です。
 人口10万人に対し欧米諸国が5~10人、日本が34人、シンガポールが48人前後です。インドやフィリピンでは100人を超えますので、東アジア、南アジア赴任に随行する乳幼児には、特に結核性髄膜炎予防に有効であると考えられているBCGの接種を強く勧めます。日本では0歳時に接種することになっていますが、忘れていないかどうか赴任前に確かめましょう。

◆マニラ
マニラ日本人会診療所
医師 須田 秀利
◇大気と水の汚染:ミンダナオ島でのイスラムゲリラによる外国人誘拐とマニラでの爆弾事件は依然として解決されていませんが、生活の基本条件である空気と水に関して看過できない発表がありました。
 マニラの大気汚染の原因物質である浮遊粒子が国際基準の6倍ほどに増加し、世界最悪の状況に近いことが環境省から報告されました。軽油の質の粗悪化とマニラの大衆の乗り物であるジプニーと中古バスからの大量の排煙が主因と考えられています。
 邦人の利用しているミネラル及び蒸留水でさえ、安全でないとINTERNATIONAL BOTTLED WATER ASSOCIATIONが警告を出しています。家族内で発熱、嘔吐を呈する症例が増えています。配達されるミネラル水の汚染によるのではと疑わざるをえないこともあります。

◆ジャカルタ
ジャカルタ日本人医療相談室
医師 熊野 浩太郎
(編集部注:本紙78号に使用人に対する結核健診の重要性と取り組み方針についての報告がありましたが、今回はその続報です。尚本稿は、熊野医師の長文のレポートから一般向けの部分を、編集部が抜粋しました。)
◇使用人の健康診断<結核>:日本人学校・幼稚園のスクールバス運転手に対する結核健診は、現在実施に向けての準備段階に入っております。次の段階は、各家庭、特に小さいお子さんをお持ちの家庭の使用人の結核健診を考えておりました。インドネシアのほとんどの邦人家庭には使用人がいます。運転手やメイド各1人から2人、他にベビーシッターなどです。
 先日、ある邦人家庭のベビーシッターの健診(胸部レントゲン撮影)をしたところ、肺結核を発見しました。彼女が世話をしているのは生後3カ月・BCG未接種で、もし感染すれば重症化しやすい乳児です。
 これを契機に、ジャカルタジャパンクラブ医療委員会が中心となって、邦人家庭の使用人に対する結核健診を大々的に広報し、積極的な健診実施を促すことといたしました。

◇使用人の健康診断<結核以外>:ジャカルタには結核以外にも各種の感染症が蔓延しております。雇用者から使用人の健診についてよく相談を受けます。現在の私の考えでは胸部レントゲン検査以外の検査はあまり必要ないと考えております。

●B型肝炎も当地は濃厚汚染地域で、B型肝炎のキャリアーが10%とも20%とも言われております。この検査に関しては、通常の日常生活では感染しないことから、ベビーシッターなど比較的濃厚に接触する方以外にはあまり必要ないかもしれません。しかし検査で陽性になった場合にどうするかは難しい問題です。解雇するにしても人口の5分の1から10分の1の方がキャリアーでありますし。
 ただしこのような状況から、子供さんにもB型肝炎の予防注射を積極的に勧めております。
●C型肝炎も当地は濃厚汚染地域ですが、感染力が弱く、日常生活からの感染はほとんど心配ないことや、予防ワクチンもないですし、ほとんど検査はしておりません。
●経口感染症(各種寄生虫、アメーバ、チフス)は結核よりもはるかに高い発症率であり、毎月のように患者さんが出ております。ただし、これらの感染はメイドからというよりも、多くの場合は不潔なものを摂取したという方が多いと考えられます。また、感染しても比較的短期間で治ることが多いので、優先順位としては結核よりも低いと考えております。
●その他の成人病、癌検診などの検査は、通常は必要ないと考えます。一般的には他人に移すような感染症のチェックだけでよいと考えます。
●これまでに経験した特殊例として、運転手が薬物(麻薬など)に手を出して中毒になっていたという例や、50歳代の運転手が高血圧、糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患を併せ持っていたという例もありました。このようなときに雇用者としてどうすべきかも課題であると考えます。

◆大連
大連市中心医院日本人医療相談室
医師 渡邊 浩司
◇交通マナー:出張からの帰りで空港へ向かう日本人の乗ったタクシーがセンターラインオーバーの小型トラックに衝突されるという事故がありました。避けきれず側面に衝突されたタクシーは一回転し、ひとりは鎖骨骨折、もうひとりは肋骨を4本折って救急室に運び込まれました。幸い命に別状はありませんでしたが、しばらくの入院を要しました。
 中国では「歩行者優先ではなく、車優先」が一般の常識のようです。交通ルールが徹底せず、横断歩道や信号機の数も少なく、ドライバー達はちょっとした隙を狙って左折(中国は車右側通行)や路線の乗り換えを行い、他車の通路を塞ぐことはお構いなしです。横断者は車の流れを読んで車道に突進しなければなりません。センターラインに立ち止まって流れる車をやり過ごしながら、向こう側へと渡りきる機会を待っている歩行者が路上で横一列に並ぶ姿がどこでも当たり前のように見られます。横断歩道であっても車が人を待って止まるということは期待できません。
「外国では日本の常識で動くと大変危険」だということに改めてご留意下さい。

◇出発前に常備薬のチェックを:持病に糖尿病のある旅行者が、「インスリンを忘れてきた」と来院されました。幸い当院にも在庫がありましたが、本人お持ちのペン型注射器に合うカートリッジが無かったので、注射器と薬の両方を購入していただきました。
 中国でも大都市の主要病院であれば日本で使われている薬品の大半は手に入ります。しかし、渡航前には主治医と相談して、必要量の常備薬携行を忘れないようにチェックをしておきましょう。万が一、大連近くで常用薬が不足した場合には、遠慮なく当相談室にご相談下さい。

◇水不足:大連では50年来の干魃により、現状のままでは来年3月に水源が底をつくという厳しい状況にあります。節水の呼びかけ、超過使用に対する水道料金への重課金、新たな水源の開発など様々な対策が市政府により進められています。日本でも水不足は時々話題になりますが、最近の大連は現地邦人も節水を強く意識せざるを得ない状況です。